ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)からの報告です
ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)からの報告で生殖補助医療での「2個移植」は正当化されるものではないという内容の発表がありました。
現在日本は「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」として
・生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。ただし,35 歳以上の女性、または 2 回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては2 胚移植を許容する。
・着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)の結果で移植適合胚と判定された胚を移植する場合は、単一胚移植の原則を堅持する。
というのが現時点での日本のスタンスです。
上記の報告を簡単にまとめると
◉ 選択的単一胚移植(eSET)は、安全で効果的な生殖補助医療の形と考えられ、国際的な専門組織においても推奨されている方法。
◉この推奨によりヨーロッパでは、二個胚移植(DET)の割合が減少し、選択的単一胚移植(eSET)が増加している一方で、推奨事項がすべての国で同じく遵守されていない。
◉妊娠合併症のリスクが明らかに増加する。
◉以下の「母」「子ども」「家族」「社会」の側面からも選択的単一胚移植(eSET)がすすめられる。
▶︎母親
・安全なお産↑
・経膣分娩↑
・妊娠高血圧腎症↓
・妊娠糖尿病↓
・緊急帝王切開↓
▶︎子ども
・満期出産
・より健康な子ども時代
・未熟児↓
・発育遅延↓
▶︎家族
・子どもとの関係性↑
・疲労↓
・心理的な負担↓
・病気休暇↓
・経済的負担↓
▶︎社会
・健康な子ども↑
・健康な家庭↑
・財政的負担↓
◉選択的単一胚移植(eSET)が二個胚移植(DET)よりも累積出生率(CLBR)が劣っているというデータはない。
と報告しています。
この報告を見て「いや、妊娠率は2個の方があがるよね?」と考える人もいると思います。
2004年に1個胚移植と2個胚移植の総妊娠率について調べたランダム化比較試験があります。
この試験は36歳以下初回または2回目の治療で少なくとも2個以上の良好胚がある場合の新鮮胚移植例を対象にしたものです。
その結果、1回の胚移植あたりの出生率は1個胚移植で27.6%、2個胚移植では42.9%が有意に高い結果となっています。
しかし1個胚移植の場合は翌周期以降の移植周期で出生する例があるため、それを合計した「累積」の結果では、1個胚移植の出生率はは38.8%となり、1個胚移植と2個胚移植の出生率には有意差がなくなっています。
1回の採卵で取れた卵について、1回の移植あたりで見ると2個胚移植の方が1個胚移植より妊娠率は高くなりますが、複数個の採卵できた場合は凍結するため、その後の移植まで含めた「累積」の妊娠では1個胚移植でも2個胚移植でも「出産」という結果で見れば差はなかったということになります。
不妊治療の最終ゴールは「妊娠」ではなく「出産」です。
2個胚移植の問題点は「双子(またはそれ以上)」の妊娠です。おそらく一般の方の「双子」について「喜びも倍!」であると思いますが、医療従事者は「リスクは倍以上!」という認識です。
「双子」のリスクを軽んじる傾向に対して「警笛」を鳴らした形の報告となっています。
別の側面からでも、1個胚移植のメリットの報告もあります。1個胚移植と2個胚移植の医療費を比較した報告では、不妊治療の医療費は1個胚移植でも2個胚移植でもあまり差がなく、また分娩までの医療費でも1個胚移植の方が2個胚移植よりも医療費はかからないと報告しています。
これは海外の報告でも同様です。
今回のESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)からの報告を受けて日本の胚移植の状況について変わっていくかもしれません。注意して見守っていく必要があります。
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