眠れない夜が、思考を乱す

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🛌 眠りと、頭の中の「制御装置」

夜しっかり眠れなかった翌日、考えごとが頭に残り、思考がうまくまとまらない──そんな感覚に覚えがある方も多いと思います。

仕事の失敗、気まずいやり取り、思い出したくない場面ほど、なぜか勝手に浮かんでくる──今回取り上げる研究は、こうした「止めたい考え」を人がどう抑えているのか、そして「睡眠不足」がその働きをどう変えてしまうのかを、実験的に丁寧に調べたものです。

脳の中で起きている変化を、心理課題と身体反応の両面から確かめました。

さらに読み進めると、中医学で言う「睡眠」と「心の安定」の関係とも重なってくる部分が見えてきます。

日常の睡眠の質が、思考のコントロールに深く関わっていることを示した研究です。

では、続きを見ていきましょう。


🧪 どんな研究?

この研究が調べたのは、「思い出したくない記憶を止める力」が、睡眠不足でどう変わるかです。

参加者はまず、「顔」と「場面写真」を組み合わせて覚えます。写真には、嫌な気分になりやすいものと、感情が動きにくいものが含まれています。

翌日、「思い出す」テストをします。

まず顔だけが画面に出ます。枠が緑なら写真を思い出し、赤なら思い出さない。赤枠のときは、別のことを考えて逃げるのではなく、関連する場面が浮かばないように止めるよう指示されました。

その直後、「まったく浮かばなかった」「一瞬浮かんだ」「何度も浮かんだ」の三段階で自己申告します。研究者は、このうち浮かんでしまった回数を「抑えきれなかった指標」として扱います。

条件の違いは睡眠だけです。一方は一晩しっかり眠り、もう一方は徹夜で24時間以上起きたまま、同じ課題に取り組みました。

さらにこの研究では、本人の感覚だけに頼らず、写真を見たときの気分の変化に加えて、皮膚反応や心拍のゆらぎといった身体の反応も測っています。思考と感情の変化を、できるだけ客観的に捉えるためです。


📉 結果は?

この研究でまずはっきりしたのは、寝ていないと「思い出さないようにする働き」が低下するという点です。

徹夜した人たちは、「思い出さないでください」と指示されている場面でも、嫌な記憶が頭に入り込みやすくなっていました。研究では、この「入り込みが、よく眠った人に比べてかなり多く起きています。

本来こういった課題では、繰り返し練習するうちに、だんだん思い出さずに済むようになります。ところが睡眠不足の状態では、その慣れの効果が弱く、いったん抑えられても、次にまた浮かんでしまうことが増えました。考えをコントロールしたりブレーキをかけたりする働きが安定しにくい状態でした。

さらに重要なのは、その影響が気分や体の反応にも及んでいたことです。

しっかり眠った人では、「思い出さない練習」をした嫌な写真ほど、翌日に見たときの不快感がやや弱まり、体の反応も落ち着く傾向が見られました。

一方、徹夜した人では、そうした気分が軽くなる変化がほとんど見られませんでした。

つまり、睡眠不足は「考えを止めにくくする」だけでなく、気持ちを切り替える力まで削ってしまうことが示されています。


🌿 中医学の視点では?

今回の研究で示された現象は、中医学の考え方とも自然につながります。

中医学では、睡眠は体を休めるだけでなく、思考や感情を安定させる働きと深く関係すると考えられています。眠りが不足すると、考えがまとまりにくくなり、不要な思考が浮かびやすくなると説明されます。

今回の結果で示された「睡眠不足で、止めたい考えが入り込みやすくなる」「気分の切り替えがうまくいかなくなる」という変化は、心の制御が十分に働かない状態として中医学的にも理解できます。

現代の実験で見えてきた変化は、中医学が考えてきた睡眠と心の関係とも重なる結果となりました。


📝 よく寝ることは心を安定させる

この研究が伝えているのは、睡眠不足が「眠い」「集中できない」といった不調だけを招くわけではないという点です。

眠れていない状態では、思い出したくない考えが入り込みやすくなり、いったん浮かんだ気持ちを切り替えることも難しくなる──その変化が、感覚ではなく、実験の中で確かめられました。

うまく考えを整理できない日や、気分を引きずってしまう日は、意志や性格の問題として片づけられがちです。

しかしこの研究をでは、それが脳の働きそのものの変化として起きている可能性が見えてきます。

「止めようとしても止まらない」のは、努力が足りないからではなく、休息が足りていないからかもしれません。

何かを前向きに考え直す前に、まず眠る──考えを整える力や、気持ちを切り替える力は、「睡眠」というごく基本的な条件の上に成り立っています。

この研究は、そのことを示しています。

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