無痛分娩と漢方

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

「無痛分娩」と「漢方」にどのような関係があるのか不思議に思われた方もいらっしゃると思いますが、「漢方」で「無痛分娩」ができるというのではなく、「無痛分娩」の「合併症」を「漢方」で和らげることができることがあるというお話です。

 

近年「無痛分娩」での出産件数が少しずつ増えています。2016年の調査では無痛分娩の実施率は 6.1% でしたが、2022年の調査では 8.6% に増えています。

 

「無痛分娩」は、一般的には「硬膜外(こうまくがい)麻酔」という方法で行われます。

座った状態で背中を丸くして、腰の付近から硬膜外腔(こうまくがいくう)というスペースまで針をさし、その針の中にカテーテルという細い管を通します。このカテーテルを通して麻酔薬を入れて痛みを和らげます。

麻酔薬は神経の付近への投与のため、鎮痛効果がしっかりあるにも関わらず血管に入りませんので、赤ちゃんへ届くことはありません

 

 

日本産科麻酔学会HP 無痛分娩 Q&A Q4. 硬膜外鎮痛法とはどんな方法ですか?」より引用

 

「無痛分娩」では、心臓や肺の負担を和らげたり、血圧の上昇を抑えたり、「痛み」がないため出産時の体力を温存させることができます。「痛みがない」というのは想像以上に体の負担を軽くすることができます。

また分娩中に赤ちゃんの状態に異常が見つかり、緊急帝王切開を行わなければいけない状態になった場合でも「無痛分娩」中であれば、速やかに手術に取りかかることができます。トラブルがあった時の「備え」という意味でも「無痛分娩」を選択することにはメリットがあります。

一方、「無痛分娩」にもデメリットはあります。

実際の無痛分娩で問題になるのは「微弱陣痛」によって分娩に時間がかかることです。その際には陣痛促進剤を使ったり、吸引分娩になることがあります。

このほか、発熱、血圧低下、腰部、背部痛、頭痛、排尿障害、しびれなどが見られることがあります。またまれですが、麻酔が脊髄くも膜下腔まで入ってしまうと呼吸の筋肉まで麻酔がかかってしまうことがあります。その場合は呼吸管理をして麻酔が切れるのを待ちます。

 

このうち「頭痛」は「硬膜穿刺後頭痛(Post Dural Puncture Headache:PDPH)と言って、硬膜外麻酔や脊椎くも膜下麻酔の合併症として知られいます。

大部分は麻酔後48時間以内に起こり、頭を高くすることで悪化する頭痛、嘔気・嘔吐、項部硬直、光過敏などが主な症状です。頭痛は前頭部〜後頭部にかけての拍動性です。

 

この「硬膜穿刺後頭痛」の機序として2つの原因が考えられています。

1つは脳脊髄液がゆっくり漏れ出ることで脳脊髄圧が低下し、頭蓋内組織が下垂し牽引性の頭痛を引き起こすとするもので、もう1つは脳脊髄液の減少により相対的に脳内の血液量が増えることで、血管が拡張し痛みを感じるセンサーが刺激されておこるとするものです。

 

「硬膜穿刺後頭痛」は慢性頭痛へ移行することもある重大な合併症です。

 

一方でこの頭痛に対して、明確な治療法はありません。薬物治療ではテオフィリン、NSAIDs、アセトアミノフェン、カフェイン、ヒドロコルチゾン、ガバペチン、プレガバリン、スマトリプタンなどが試されています。

これらの薬で効果が見られなければ硬膜外自家血注入(ブラッドパッチ、epidural blood patch:EBP)が行われることがあります。

EBPでは自身の静脈から採取した血液を注入した血液を、脊髄を覆っている一番外側の膜である硬膜と脊髄を保護している背骨の間にある脂肪組織に注入します。

女性なら20mL 男性なら30mL程度注入しますが、注入された血液は硬膜に薄く広がり髄液が漏れていた部分に「糊」として働き漏れた部分をふさぎます。

 

さてこのようなちょっと厄介な「硬膜穿刺後頭痛」ですが、漢方が奏功することがあります。

分娩時の疼痛緩和のもの区的で無痛分娩を選んだものの産後に頭痛がつらいのは、出産を終えた妊婦さん方にとっては育児の妨げとなり、心身両面にとってストレスとなります。

妊婦褥婦において、簡単で安全性の高い漢方薬治療は臨床的意義が大きいです。

 

このようなところでも「漢方」は役立っています。

 

 

「無痛分娩」についてのご相談を受けることがあります。「無痛分娩で産みたいのだが、本当に大丈夫か」という内容のものです。

無痛分娩について、2017年に事故が相次いで報道されました。

これは、「無痛分娩」自体が問題ではなく、「無痛分娩」を行うための、病院側の経験・知見が豊富かどうか、体制が整っているかが問題となったものです。

 

産科医が麻酔も分娩管理も行うパターンでは、一人で麻酔も出産も管理する必要があり、トラブルがあった場合、対応が遅れる可能性があります。

無痛分娩が一般的な米国では出産時は産科医と麻酔科医が管理します。しかし、日本の出産は痛みを伴う自然分娩がいまだに一般的で、「無痛分娩」の普及が遅れています。

日本は産科医も麻酔科医も不足していますので、通常の出産に麻酔科医が立ち会うことは多くありません。

日本の出産には妊婦を過度の痛みから守る予防医学の概念がまだ十分に育っていません。

分娩時の激しい痛みは妊婦の呼吸を早め、子宮内の胎児に悪影響(過呼吸→低酸素)を及ぼすことがしばしばあります。

分娩時の激しい痛みは妊婦さんと赤ちゃんにメリットはありません。「出産は痛くて当然」という、昔からの習慣が、日本の周産期医療の進歩を妨げていると言う人もいます。

「無痛分娩」に関連する事故を減らすため、2019年2月から、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)が無痛分娩に関する情報提供を行っています。

登録された施設数は多くありません。現時点で相模原地域では「北里大学病院」と「愛育病院」の2施設のみです。

 

「無痛分娩」を希望する場合は、まずはその施設が、経験や知見が豊富かどうか、「無痛分娩」が行える体制かどうかを確認する必要があります。

「無痛分娩」が一般的になるためには、さまざまな問題を解決しなくてはいけませんが、多くの方が選択できるようになって欲しいと思います。

 

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