こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「漸進的筋弛緩法」は「ぜんしんてききんしかんほう」と読みます。英語では「Progressive Muscle Relaxation」というので頭文字をとって「PMR」とも言います。
不安・恐怖・焦りなどで体が緊張してリラックスできない、眠りが浅い、夜中に何度も夜起きてしまう、疲れが取れない時などに役立つリラクゼーション方法の1つです。
「漸進的筋弛緩法」は1920年代に内科・精神科医・生理学者のエドモンド・ジェイコブソン博士によって1920年代初めに開発された方法で、「筋肉の緊張状態を制御し観察して学習する技術」です。
「筋肉の緊張状態を制御し観察して学習する技術」とはどういうことかというと、「意図的」に筋肉を緊張させた後、力を抜いて「脱力した感覚」を手掛かりに「リラックス状態」を作る方法です。
「漸進的筋弛緩法」は心理的ストレスの低減や主観的幸福感の向上、疲労感の軽減、妊婦さんのリラクゼーションなどの心理的効果も報告されているだけでなく、「あがり」の対策としての有効で、慢性的な緊張だけでなく、「急性の緊張」に対しても有効であることが報告されています。
不安や恐怖などで緊張した時の「Fight or flight response」という体の反応があります。日本語では「闘争・逃避反応」と言いますが、「戦う」か「逃げる」かという切羽詰まった時に起こる体の反応で、筋緊張が高くなります。
このような「戦う」か「逃げる」かの状況で「リラックスして」と言われてもそう簡単に力を抜けるものではありませんが、力が入りすぎれば思うように動けなくなることもありますし、緊張から不安や恐怖がさらに大きくなってしまい、身動きが取れなくなってしまいますので、緊張に振り回されないようにすることが大切です。
では、どうやったらその緊張をやわらげることができるのでしょうか。
実は、筋肉には一度緊張させてから力を抜くと、脱力しやすくなるという特徴があります。
「漸進的筋弛緩法」は、このような筋肉の特性を利用して体を「リラックス状態」に導く方法で、特定の筋肉を意図的に強く緊張をさせ、その後一気に力を抜いて脱力させることで、リラックスした時の体の状態を作りだすことができます。
人は不安や心配事、悩み事などのストレスを感じているとき、無意識のうちに体に力が入り「緊張」します。この状態が続くと、肩こりや頭痛、腰痛などにつながることもありますし、「緊張」から「不眠」になることもあります。
「漸進的筋弛緩法」続けていくと「体が緩む感覚」を感じやすくなります。そうすると「緊張している状態」と「リラックスしている状態」の「違い」を感じることができるようになります。
「緊張している状態」であることに気づくことができれば、「漸進的筋弛緩法」で力を抜くことができますし、意識的にリラクゼーション状態を作ることができるようになります。
どのような時に「緊張」するのか気づき、その「緊張」をコントロールできるようになれば、苦手な環境に置かれた時に起こる体の「緊張」を自分で「リラックス」させられるようになり、身体の緊張をコントロールできるという自信につながり、緊張することへの「不安」が和らぎます。
例えば、特定の「状況」や「人物」、「物」に恐怖を感じやすい人が、それらに接する前に、「漸進的筋弛緩法」を用いることで、恐怖を感じにくくすることができるようになります。
また、多くの人が経験する、その日のできごとや、何かしらの「不安」などが頭の中がぐるぐる巡って「緊張」して「眠れない」という状況を、「漸進的筋弛緩法」を行うことによって「緊張」を静めて、眠りにつきやすくすることもできるようになります。
「漸進的筋弛緩法」が開発された1920年頃は、不安や恐怖、焦燥感が強い患者さんに使用できる薬が少なかったため、このような「精神療法」が積極的に活用されていました。
日本の精神医学の治療は「薬物療法」が中心です。
「薬物療法」はとても有効な方法ではありますが、薬がなくても「緊張」をコントロールできる方法があるのであれば、その方法は身につけておくことは緊張で起こる様々な有用です。
さて、前置きが長くなりましたが、「漸進的筋弛緩法」の方法を見ていきたいと思います。
内容は「文部科学省 CLARINETへようこそ」、図は「大阪府こころの健康総合センター」より引用
<基本的なやり方>
○ 基本動作
各部位の筋肉に対し、10秒間 力を入れ緊張させ、15~20秒間 脱力・弛緩させます。
○ 身体の主要な筋肉に対し、この基本動作を順番に繰り返し行っていく。各部位の筋肉が弛緩してくるので、弛緩した状態を体感・体得していきます。
心と体は密接に繋がっています。体の緊張を取ることは心の緊張を取ることにもつながります。体の緊張を取るための方法として「漸進的筋弛緩法」は心理カウンセリングでも、体の困った反応をコントロールする方法として用いられます。
「漸進的筋弛緩法」を続けることで、体の緊張を緩める感覚が身につき、心のあり方も穏やかにすることができます。部位を選べばどこでも実践することができます。体が緊張しているな…と感じる時にぜひ試してみてください。
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