母親の心が疲れるとき

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🧪  親子の心の関係を見直す研究

これまで、親の気分の落ち込みが子どもに影響を与えることは、さまざまな研究で確かめられてきました。親のストレスや不安が、子どもの心の健康に関係していると考えられているのです。

けれども最近、「子どもの心の状態が、逆に親の気分に影響を与えるのではないか」という見方も注目されています。特に、思春期にさしかかる年齢の子どもたちは、心の揺れ動きが大きく、その変化が家の中の雰囲気や親の気持ちに関係している可能性もあると考えられています。

今回紹介するのは、カナダで行われた母と子どもの大規模な調査です。子どもの気分の変化が、時間をおいて母親の心の状態にどのように関係しているかを、数年にわたって丁寧に調べたものです。

中医学では、心の不調は体だけでなく、家族との関係にも影響するとされています。

特に、親子は気持ちが通じやすい存在として見られており、子どもの心の状態が親に伝わるという考え方にもつながります。

この研究は、そうした視点から見ても興味深い内容になっています。

では、続きを見ていきましょう。


🧑‍🧑‍🧒‍🧒 子どもの心と母親の心、その関係をどう調べたのか

この研究は、カナダのカルガリーで暮らす母親と子ども、合わせて1,800組以上を対象に行われました。調査に参加したのは、10歳から13歳ごろの子どもたちで、思春期に入る少し前の年齢です。

研究チームは、4年にわたって、同じ親子に4回アンケートを取りました。その中では、子どもの感情や行動、母親の気分や疲れやすさなど、心の状態をくわしく記録しました。

ポイントは、「そのときの様子」を見るだけでなく、「前の時期の変化が、そのあとにどう影響しているか」を調べたことです。たとえば、1回目の調査で子どもの気分が落ちていたとき、2回目の調査で母親の気分にも変化があったか、というように時間の流れに注目しています。

そして、子どもが親に影響を与える場合と、親が子どもに影響を与える場合の両方について、同じように調べたのがこの研究の大きな特徴です。


🧠 母親から子ども? 子どもから母親?

この研究では、子どもから母親への影響と、母親から子どもへの影響の両方を比べる形で分析が行われました。

その結果、子どもの気分が落ち込んでいた時期のあとに、母親の気分も下がっているというパターンが、いくつかの時期で見つかりました。つまり、子どもの心の変化が、時間をおいて母親に影響している可能性があるということです。

一方で、母親の気分が落ち込んでいた場合に、その後の時期の子どもに明らかな影響が出ている、というはっきりした結果は見られませんでした。

これまで多くの研究では、親の心の状態が子どもに影響すると考えられてきましたが、今回のように「子どもの変化が親に関係している」という結果は、これまでの見方に新しい視点を加えるものといえます。


💸 所得と心の関係、見逃せないポイント

この研究では、家庭の収入が、親子の心のつながりにどう関係しているかも分析されました。

その結果、収入が高い家庭では、子どもの気分の変化と、その後の母親の気分との関係がよりはっきりと見られました。つまり、子どもの心の不調が、母親の心理状態に影響していると考えられる場面があったのです。

一方、収入が低い家庭では、そのような関連は明確に見られませんでした。

ただし、これは「子どもが苦しんでいない」という意味ではありません。子どもが心理的な不調を抱えていたとしても、生活のストレスや不安が大きい状況では、親がその変化に十分に気づけなかったり、他の要因によって親の気分の変化が目立ちにくくなっていたりする可能性があります。

また、子どもが男の子か女の子かといった性別による違いは、今回の結果からは確認されませんでした。


🪷 中医学の視点で考える「心」の連なり

中医学では、「心(しん)」は単に感情だけでなく、思考や意識をつかさどる重要なはたらきを持つと考えられています。

特に、子どもと母親の関係は、気や血の流れが密接につながっているとされ、心の変化も相互に影響しやすいと見られています。

今回の研究で示されたように、子どもの気分の変化が時間をおいて母親に関係しているという結果は、このような中医学の考え方とも重なります。

中医学では、「心神(しんしん)」が乱れると、眠れなくなったり、不安が強くなったりすることがあります。子どもの心が不安定なとき、家庭全体の「気の流れ」が乱れ、それが母親の状態にも表れてくる──そうした見方は、現代の研究にも通じるものです。

現代医学と中医学はアプローチの方法が異なりますが、こうして重なる部分も少なくありません。両方の視点から見ることで、親子の心のつながりをより深く理解できる可能性があります。


🔁 親の心は、子どもの心から

この研究から分かったのは、子どもの気分の変化が、時間をおいて母親の気分に関係していたという点です。

今回の研究では思春期の前後にあたる大切な時期に、そうした関係が何度か確認されました。

これまでの多くの研究では、親の心の状態が子どもに影響するという見方が中心でした。でもこの結果は、それとは逆の可能性を示しています。子どもが感じている不調が、家庭の中で母親の気分にも影響していたのです。

こうした見方が広がれば、支援の仕方にも変化が求められるかもしれません。子どもだけ、あるいは親だけに注目するのではなく、家族全体のつながりに目を向けることが必要になってきます。

家族の中で起きている心の変化は、一人の問題ではなく、つながっているものとしてとらえる。

そうした支援の考え方が、これからのメンタルヘルスにとって大切になると考えられます。

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