歯ぎしりの原因は多因子性で根本治療が難しい病態の1つです
「歯ぎしり」は歯科的には「ブラキシズム(Bruxism)」といい上下の歯の「非機能的な接触」のことを言います
寝ている時に起こる場合は「睡眠時ブラキシズム」といい、目覚めている時に起こる場合は「覚醒時ブラキシズム」といいます
ブラキシズムには以下の3種類があります
・グラインディング(いわゆる歯ぎしり)
・タッピング(上下の歯をカチカチと咬み合わせる)
・クレンチング(かみしめ)
睡眠時ブラキシズムは基本的には中枢性の問題であり、睡眠関連疾患と考えられ、覚醒時ブラキシズムは様々な条件に伴って獲得された習癖と考えられています
睡眠時ブラキシズムは小児で10~20%、成人では約5~8%、高齢者で2~3%と加齢とともに減少し、大きな性差はないことが報告されています
また睡眠ポリグラフィー検査により、睡眠時ブラキシズムは睡眠の中でも浅い睡眠と言われる「ノンレム睡眠」のときにみられ、睡眠時ブラキシズムが起こる時は、「交感神経の亢進」と「副交感神経の低下」がみられ、脳波活動が活発になり、心拍数が増えたり、微少覚醒も確認されています
睡眠時ブラキシズムは覚醒時ブラキシズムと異なり、自分自身では気付きにくく、家族や歯科医から指摘されて初めて自覚することも少なくありません
ブラキシズムの問題点は
・知覚過敏
・歯のすり減り
・歯周病の悪化
・顎関節症の発症
・詰め物、被せ物が割れる
・頭痛、肩こり
などがありますが、ひどい時は歯が割れたりすることもあります
歯の「割れ」は歯周病、虫歯に続き、歯を失う原因の第3位ですので、「歯ぎしりくらいで…」と軽視してはいけません
ブラキシズムの対策には「ナイトガード(スプリントやマウスピース)」の装着があります
ナイトガードの装着によって、歯や顎にかかる力を緩和させることができ、歯のすり減りや、詰め物・被せ物、歯そのものが割れるリスクを低下させることができます
しかしブラキシズム自体をなくすわけではなく、根本治療ではありません
このほか、噛み合わせの調整、認知行動療法、催眠療法、低周波治療、バイオフィードバックや薬物(ラベプラゾール、ガバペチン、クロナゼパム、ジアゼパム、クロニジン、メトカルバモール、ボツリヌストキシンなど)が試みられることがありますが、根本治療にはなりにくく、日本補綴歯科学会のブラキシズムの診療ガイドライン(PDF)でエビデンスがない、推奨されないものもあります
睡眠時のブラキシズムの原因は多因子性と考えられ、ストレス、性格、遺伝、薬物の影響、飲酒、喫煙、他の疾患などさまざまな因子の関与が考えられており、考えられる原因へ個別に対処が必要で、西洋医学的には根本的な解決が難しい病態の1つです
「歯ぎしり」は漢方相談の中では、相談の中心になる不調というよりは、他の不調に付随する不調としてお聞きすることが多い症状の1つです
そして、大きな不調の改善とともに減っていくのも特徴です
中医学的には「ブラキシズム」は「肝」のトラブルと考えます
「肝」には「血」を貯蔵する働きがあり、その「血」が「筋」を栄養します
そのため「肝」に不調があれば「血」が「筋」を栄養できず、動きにトラブルが起こります
その1つとして「歯ぎしり」や「食いしばり」が起こります
そのため、中医学的には「肝」の調整を中心とした治療を行います
同時に、なぜ「肝」が不調になってしまったのか、原因についても考えていきます
「肝」は中医学的には「疏泄(そせつ)」をつかさどる働きがあり、「疏泄」とは「通りをよくする」「上昇する」「発散する」「下降する」を一言でまとめたような働きです
「肝」は「のびのびとした状態」を好む臓器で、過度なストレスを受けると「肝」の「気」が滞り、機能が低下してしまいます
そのため精神的なストレスは「肝」の機能を低下させる原因の1つになりますので、精神的ストレスが多い場合はそれに対するケアも必要となります
「歯ぎしり」の漢方では前述したように「肝」のケアが中心となります
「肝」の「血」が消耗していれば、その「血」を補い、ストレスなどで「肝」の「気」が滞っていればその「気」の滞りを取りのぞきます
「血」を補う生薬には主に肝の血(肝血)を補うものと心の血(心血)を補うものに大きく分けられ歯ぎしりでは「肝血」を補うものが中心となります
「肝血」を補う生薬には当帰、芍薬、鶏血藤、熟地黄、何首烏、枸杞子、阿膠、竜眼肉、酸棗仁などがあります
特に「芍薬」は肝血の不足を補い、肝気・肝陽の昇動を鎮静して柔和にし、疏泄を正常に行わせ、気血の流れを調整する「柔肝(じゅうかん)」という働きがあります
この働きにより筋肉(平滑筋と骨格筋の両方)の緊張や拘攣を鎮め、鎮痛に働くため、歯ぎしり、食いしばりの治療にはよく用いられます
「気」の滞りを取り除く生薬は理気薬と言われ、そのうち精神状態や自律神経を安定させるものに、柴胡、香附子、半夏、厚朴、薄荷、蘇葉などがあり、ストレスの緩和に用いられます
これらの生薬を中心とした処方を用いながら、体質、そのほかの不調に合わせて調整しながら、歯ぎしり、食いしばりを治療していきます
「歯ぎしり」は「歯」の健康を損なうだけでなく、「睡眠」の質も低下させてしまうため、「癖だから…」「体質だから…」と放置せずに、根本的な改善のために「漢方」を役立ててください
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