🧬 認知症は運命ではない
年齢を重ねれば誰でも認知症になる、そう言われることがあります。
毎日のちょっとした生活習慣や環境の工夫で、将来の認知症リスクを大きく下げられる可能性があるというのです。
しかもその効果は「わずか」ではなく、「かなり」。
耳や目の健康、血圧やコレステロールの管理、気持ちの落ち込みへの対応など──特別な人だけが実践できるわけではなく、今日から取り入れられる行動ばかりが並びます。
世界中の研究データを集めた今回の報告は、そうした積み重ねが「脳を守る力」になることを示しました。
さらに興味深いのは、この考え方が西洋医学の予防の視点だけでなく、中医学が大切にしてきた「体全体のバランスを整える」という発想にも通じていることです。
血の巡りや気の流れを意識する中医学の知恵と最新の科学が出会うことで、認知症予防の方法はさらに広がっていきます。
では、続きを見ていきましょう!
🔹 なぜ今「認知症予防」なのか
認知症は記憶や判断力が衰え、日常生活が難しくなる病。
かつては「老いの一部」と受け止められていましたが、今や世界中で「予防できる病気」として認識され始めています。今回の報告は、その流れを後押しする重要な転換点です。
2019年時点で世界の認知症患者は5700万人。2050年には1億5300万人に達すると推定され、高齢化だけでなく、生活習慣や社会的要因も増加の背景にあります。
注目すべきは、高所得国では年齢別の発症率が低下しているという事実。生活の工夫や社会的変化でリスクが下がっているのです。
脳の病変があっても発症しない人がいることから、「脳の予備力」を高めれば発症を遅らせたり防げたりする可能性が示されています。
🧭 「14のリスク」について
報告では、認知症の原因になりうる「生活や環境に関係する要因」を14個にまとめています。
もともと2020年には12個でしたが、今回は新しく「見えにくさ(視覚障害)」と「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の高さ」が加わりました。
その14個は次の通りです。
- 子どもの頃の教育が十分でない
- 聴こえの悪さ(治療していない場合)
- 高血圧
- 喫煙
- 肥満
- 気分の落ち込み(抑うつ)
- 運動不足
- 糖尿病
- お酒の飲みすぎ(週にかなり多めの量)
- 頭部のけが(外傷性脳損傷)
- 空気の汚れ(大気汚染)
- 人とのつながりが少ない(社会的孤立)
- 見えにくさ(治療していない場合)
- 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高い
これら全てに対処すれば、理論的には発症を約45%減らせるとされます。つまり、ほぼ半分の人で発症を先送りできる可能性があります。
📊 「45%」が意味すること
報告で示された「約45%」という数字は、すべてのリスク要因を取り除いた場合に、理論上どれくらい認知症を防げるかを計算したものです。
これは「発症をほぼ半分遅らせられる可能性がある」という大きな数字ですが、あくまで「理論上」の話です。
現実には、生活習慣や環境の要因をすべて改善するのは難しく、人によって改善できる部分もあれば、難しい部分もあります。それでも、一部の要因を改善するだけでも、確実にリスクは下げられるとされています。
👂 耳・目のケアが大切
今回の報告で注目されたのは、「耳」と「目」の健康が、認知症予防の中でより重要な位置づけになったことです。
聴覚障害は以前からリスク因子として挙げられていましたが、今回は「補聴器の使用」がはっきりと効果的だと示されました。
具体的には、高リスクの人が補聴器を使うことで、認知機能の低下が大幅に抑えられたという研究結果もあります。これは、聞こえが悪いまま放置することが脳に与える負担が大きいことを意味します。
このほか、未治療の視覚障害も新たなリスク要因として今回新たに加えられました。
見えにくさは外出や交流を妨げ、脳の活動を減らします。白内障や緑内障など、治療や眼鏡で改善できる場合は早期対応が重要です。耳と目は外の世界と脳をつなぐ窓。
ここを曇らせないことが、予防の第一歩です。
💓 血圧・コレステロール・心の健康を守ることが脳を守る
今回の報告では、「血管の健康」と「心の健康」が認知症予防に欠かせない柱として再確認されています。
高血圧は脳の血流を妨げ、長期的に認知機能に影響します。減塩や食事改善、薬物治療での管理が予防につながります。
また、新たに加わった「高LDLコレステロール」も重要です。高LDLコレステロールは動脈硬化を進め、脳の血管を弱らせるため、生活習慣の改善や薬による管理が推奨されます。
さらに「抑うつ」にも注意が必要です。気分の落ち込みは活動量や交流を減らし、脳への刺激を奪います。
心の健康を保つことは、脳の健康にも直結します。これらはすべて日常的にケアできる要素であり、脳を守る「土台」となります。
🚶♀️ 運動・交流・環境づくり
体を動かすこと、人と関わること、そして住む環境を整えることは、脳を元気に保つための基本です。今回の報告では、運動不足や社会的孤立、大気汚染なども認知症のリスクとして明確に挙げられています。
軽い運動は血流を良くし、脳の可塑性(新しい刺激に適応する力)を高めます。交流は会話や刺激を増やし、孤立を防ぎます。
また、大気汚染の影響も無視できません。
特にPM2.5のような微細な粒子は血液や脳にまで届き、炎症を引き起こす可能性があります。居住地域や通勤ルートの工夫、空気清浄機の活用など、日常的な対策も予防の一歩です。
このように、運動・交流・環境づくりは、特別なトレーニングや治療ではなく、日々の暮らしの中で自然に取り入れられる「脳トレ」なのです。
🏺 中医学の視点で見る認知症予防
中医学では、脳の働きは「腎(じん)」と深く関わるとされます。「腎」は単なる腎臓のことではなく、生命エネルギーや成長・老化のコントロールを担う広い概念です。年齢とともに腎の力が弱まると、記憶力や集中力の低下が起こりやすくなると考えられます。
また、中医学では「気(エネルギー)」「血(血液とその働き)」「津液(体の潤い)」のバランスも重視します。今回の報告で示された運動、食事、交流などの習慣は、まさにこのバランスを整える行為にあたります。例えば、運動は気と血の巡りを良くし、交流は心を和らげ、気の滞りを防ぎます。
耳や目のケアも中医学的に重要です。聴覚は腎、視覚は肝(かん)と関係するとされ、どちらも衰えると全身のバランスに影響します。補聴器や視力治療は、西洋医学的には感覚機能の回復ですが、中医学的には全身の調和を取り戻す手段とも捉えられます。
つまり、西洋医学が示す14のリスク要因は、中医学の養生法とも多くの部分で重なっています。両方の視点を合わせることで、より多角的で実践的な認知症予防が可能になるのです。
🌟 小さな一歩を重ねて、未来の脳を守る
今回の報告が伝える最大のメッセージは、「認知症は運命ではない」ということです。耳や目のケア、血圧やコレステロールの管理、運動や交流といった日常の行動は、小さな一歩でも積み重ねることで将来の脳を守る力になります。
すべてを完璧に改善するのは現実的ではありませんが、できることを一つずつ取り入れるだけでも確実にリスクは下がります。そして、その積み重ねがやがて大きな差になります。
西洋医学が示す科学的な根拠と、中医学が大切にしてきた全身のバランスを整える知恵。その両方を組み合わせることで、より幅広く、無理のない予防法が見つかります。未来の自分のために、今日からできる一歩を始めること。それがこの報告からのメッセージです。
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