新型コロナウイルス感染症治療における清肺排毒湯の加減応用と+αのツボ、予防処方

清肺排毒湯は新型コロナウイルス感染症に対する中医基本処方として中国の臨床の現場で多く使用され、効果をあげたとの報告があります。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、清肺湯(せいはいという)、清肺解毒湯(せいはいげどくとう)は中国で使用された漢方処方ではありませんのでご注意ください。

しかし、ガイドラインにもあるように、使用する際は一人ひとりに合わせて調整する必要があります。

感染時の症状も一人ひとり違うため、清肺排毒湯の調整が必要ですが、適切に加減を行う必要があります。

 

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現場で治療に当たった医師による加減例は以下の通りです。(中国での量です)

1 悪寒発熱、背痛、体痛

桂枝9〜30g

2 悪寒が重く、無汗、体温が39度以上

麻黄15gまで増量、芦根30〜120g、生石膏60〜90gまで増量、知母15〜30g

3 往来寒熱

柴胡を30gまで増量、黄芩を15〜30gまで増量

4 倦怠感

黄耆15〜30g、生晒参6〜9g あるいは党参9〜30g

5 喉の痛み

桔梗9g、連翹15g

6 乾いた咳

百部15〜30g、蝉脱9g、蔵青果9g、蘇子9g

7 喘鳴

紫菀15〜30gまで増量、款冬花15〜30gまで増量、炙枇杷葉15〜30g、葶藶子30g

8 喀血

仙鶴草30g、紫草15g、三七粉3g(お湯で溶いて服用)

9 黄色い痰が多いあるいは痰の切れが悪い

瓜蒌仁30g、黄芩15g、魚腥草30g、連翹30g、板藍根30g

10 食欲不振

莱菔子 9〜15g、陳皮15gまで増量

11 吐き気

半夏を15gまで増量、黄連3g、蘇葉9g、生姜を30gまで増量

12 下痢

黄連6〜9g、生姜30gまで増量、雲苓を重用し60〜90gまで増量

13 便秘

枳実10〜15g、生大黄6〜15g

14 舌紅あるいは乾燥

蓮子心6g、麦冬30〜90g

15 舌絳紅

生地30g、赤芍30〜90g

16 四肢の冷え、汗が多い、あるいは意識障害、舌淡暗あるいは紫暗、脈細数

紅参9〜15g、淡附片9〜30g、山茱萸30〜90g、乾姜15〜30g、桃仁9〜15g、三七3〜9g


その他の注意点として、新型コロナウイルスは「寒湿」の邪であるため、苦寒薬の使用は慎重に行うべきです。食事も寒涼性のものを避け温熱性のものを食べるようにします。

さらに神闕、関元、気海、胃脘、足三里などのツボにお灸をし、温陽散寒除湿、調理脾胃を行い体の免疫力を低下させないケアを行います。


このほか、現場の医療スタッフ用の予防処方についても例を挙げています。

生黄耆15g 党参9g 紫蘇葉9g 羗活6g 防風6g 藿香6g 金銀花9g 茯苓15g 炒白朮9g 陳皮6g 生姜6g(1日2回服用)

また、上記の予防処方は藿香正気軟膠嚢(水)を半量でも代用可としています。

必要になる場面が来ないと良いのですが、必要になった場合はそのときの症状・体調を考慮した処方に調節することでより効果を高めることができます。


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