中国で新型コロナウイルス肺炎のガイドライン第7版(新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第七版))が発表されています。<詳しくはリンク先をご覧ください。>
今回は中医治療については第6版とほぼ変わりありませんでした。
西洋医学的には、血清学検査として、新型コロナウイルス感染症(肺炎)に特異的なIgM抗体(3〜5日後に出現し陽性)、回復期にはIgG抗体の力価が4倍以上に上昇などのほか、病理学的な記載も加えられました。
「新型コロナ 心臓、肝臓、脳にも異常 中国が病理診断」とのニュースで話題になっているようです。第7版には確かに病理学的な記載がありますが、ガイドラインでは「二次的なもの」としていますので誤解されないようご注意ください。
中医治療はほぼ一緒ですが、補足をしてもう一度記載しておきます。
中医治療は「医学観察期」「軽症」「通常型」「重症」「重篤」「回復期」に分けて行ないます。
1 医学観察期
臨床表現1:乏力伴胃腸不適(胃腸の不調を伴う倦怠感)
推奨中成薬
藿香正気膠嚢(丸、水、口服液) 藿香、白朮、厚朴、半夏、紫蘇葉、白芷、陳皮、茯苓、桔梗、甘草、大棗、大腹皮、生姜
臨床表現2:乏力伴発熱(発熱を伴う倦怠感)
推奨中成薬
金花清感顆粒 金銀花、石膏、麻黄、杏仁、黄芩、連翹、貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草
連花清瘟膠嚢(顆粒) 連翹、金銀花、麻黄、杏仁、石膏、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷、甘草
疏風解毒膠嚢(顆粒) 虎杖、連翹、板藍根、柴胡、敗醤草、馬鞭草、芦根、甘草
2 臨床治療期
清肺排毒湯(適用範囲:軽症、通常型、重症、重篤の患者に状況に合わせて使用)
基本方剤:麻黄9g 炙甘草6g 杏仁9g 生石膏15〜30g(先煎) 桂枝9g 沢瀉9g 猪苓9g 白朮9g 茯苓15g 柴胡16g 黄芩6g 姜半夏9g 生姜9g 紫苑9g 冬花9g 射干9g 細辛6g 山薬12g 枳実6g 陳皮6g 藿香9g
麻杏甘石湯、射干麻黄湯、小柴胡湯、五苓散などの方意がありそうです。ちなみに日本でこの処方を作る場合は、煎じ薬(煮出して作る漢方薬)での対応になると思います。
ガイドラインでは、服用後にお茶碗半分程度のおかゆ、水分が不足している場合は1杯程度のおかゆを食べるとしています。ですので、食事や水分が取れる状態である必要があり、また熱の程度により上記の生石膏は調節するとしています。まずは1日2回、3日間(1クール)服用し、その後は症状が継続している、または改善傾向にある場合はもう3日間(2クール目)を症状を見ながら処方内容を調整します。症状がなくなれば服用を中止します。
日本人が服用する場合は上記内容を元に調節する必要があると考えます。
軽症例
(1)寒湿鬱肺証
発熱、乏力、周身酸痛、咳嗽、喀痰、胸緊憋気、納呆、悪心、嘔吐、大便粘膩不爽 舌質淡胖歯痕あるいは淡紅、苔白厚腐膩あるいは白膩、脈濡あるいは滑
推奨処方:生麻黄6g 生石膏15g 杏仁9g 羗活15g 葶藶子15g 貫衆9g 地竜15g 徐長卿15g 藿香15g 佩蘭9g 蒼朮15g 雲苓45g 生白朮30g 焦三仙各9g 厚朴15g 焦檳榔9g 煨草果9g 生姜15g
1日3回食前に服用
(2)湿熱蘊肺証
低熱あるいは不発熱、微悪寒、乏力、頭身困重、肌肉酸痛、乾咳痰少、咽痛、口乾不欲多飲、あるいは胸悶脘痞を伴う、無汗あるいは汗出不暢、あるいは嘔悪納呆、便溏あるいは大便粘滞不爽 舌淡紅、苔白厚膩あるいは薄黄、脈滑数あるいは濡
推奨処方:檳榔10g 草果10g 厚朴10g 知母10g 黄芩10g 柴胡10g 赤芍10g 連翹15g 青蒿10g(後下) 蒼朮10g 大青葉10g 生甘草5g
1日2回 朝・夕に服用
通常例
(1)湿毒鬱肺証
発熱、咳嗽痰少、あるいは黄痰、憋悶気促、腹脹、便秘不暢 舌質暗紅、舌体胖、苔黄膩あるいは黄燥、脈滑数あるいは弦滑
推奨処方:生麻黄6g 苦杏仁15g 生石膏30g 生薏苡仁30g 茅蒼朮10g 広藿香15g 青蒿草12g 虎杖20g 馬鞭草30g 乾芦根30g 葶藶子15g 化橘紅15g 生甘草10g
1日2回 朝・夕に服用
(2)寒湿阻肺証
低熱、身熱不揚、あるいは未熱、乾咳、少痰、倦怠乏力、胸悶、脘痞、あるいは嘔悪、便溏 舌質淡あるいは淡紅、苔白あるいは白膩、脈濡
推奨処方:蒼朮15g 陳皮10g 厚朴10g 藿香10g 草果6g 生麻黄6g 羗活10g 生姜10g 檳榔10g
1日2回 朝・夕に服用
重症例
(1)疫毒閉肺証
発熱面紅、咳嗽、痰黄粘少、あるいは痰中帯血、喘憋気促、疲乏倦怠、口乾苦粘、悪心不食、大便不暢、小便短赤 舌紅、苔黄膩、脈滑数
推奨処方:化湿敗毒方
基本方剤:生麻黄6g 杏仁9g 生石膏15g 甘草3g 藿香10g(後下) 厚朴10g 蒼朮15g 草果10g 法半夏9g 茯苓15g 生大黄5g(後下) 生黄耆10g 葶藶子10g 赤芍10g
1日に1〜2剤を煎じ、2〜4回、内服あるいは経鼻投与
(2)気営両燔証
大熱煩渇、喘憋気促、譫語神昏、視物錯瞀、あるいは斑疹、あるいは吐血、衄血、あるいは四肢抽搐 舌絳少苔あるいは無苔、脈沈細数、あるいは浮大して数
推奨処方:生石膏30〜60g(先煎) 知母30g 生地30〜60g 水牛角30g(先煎) 赤芍30g 玄参30g 連翹15g 丹皮15g 黄連6g 竹葉12g 葶藶子15g 生甘草6g
1日1剤を煎じ、2〜4回、内服あるいは経鼻投与
推奨中成薬:喜炎平注射液、血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液(患者の状況に合わせ使用、必要応じ2種類合わせても可。注射剤、煎じを併用するのも良い。)
重篤例
内閉外脱証
呼吸困難、動轍気喘あるいは機械通気が必要、神昏を伴い、煩躁、汗出肢冷、舌質紫暗、苔厚膩あるいは燥、脈浮大無根
推奨処方:人参15g 黒順片10g(先煎) 山茱萸15g 蘇合丸あるいは安宮牛黄丸と服用
機械通気により腹脹便秘あるいは大便不暢が見られた場合、生大黄5〜10g
人工呼吸中の非同調が見られ、鎮静・筋弛緩剤を使用している場合、生大黄5〜10gと合わせて芒硝5〜10g
推奨中成薬:血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液、参附注射液、生脈注射液、参麦注射液(患者の状況に合わせ使用、必要応じ2種類合わせても可。注射剤、煎じを併用するのも良い。)
重症、重篤の注射薬の推奨使用方法
ウイルス感染あるいは軽度細菌感染:喜炎平注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液
意識障害を伴う高熱:醒脳静注射液
全身炎症あるいは加えて多臓器不全:血必浄注射液
免疫抑制:参附注射液
回復期
(1)肺脾気虚
気短、倦怠乏力、納差嘔悪、痞満、大便無力、便溏不爽 舌淡胖、苔白膩
推奨処方:法半夏9g 陳皮10g 党参15g 炙黄耆30g 炒白朮10g 茯苓15g 藿香10g 砂仁6g(後下) 甘草6g
1日2回 朝・夕に服用
(2)気陰両虚
乏力、気短、口乾、口渇、心悸、汗多、納差、低熱あるいは不熱、乾咳少痰 舌乾少津、脈細あるいは虚無力
推奨処方:南北沙参各10g 麦冬15g 西洋参6g 五味子6g 生石膏15g 淡竹葉10g 桑葉10g 芦根15g 丹参15g 生甘草6g
1日2回 朝・夕に服用
<参考> 一图读懂《新冠肺炎诊疗方案试行(第七版)》
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