🌙 「何時間寝てる?」より大事なこと
睡眠についてのアドバイスは数多くありますが、そのほとんどが「7時間は寝ましょう」といった「量」の話ばかり。
でも最近の研究で、「何時間寝たか」よりも、もっと大切なポイントがあることが明らかになってきました。
このデータをもとに詳しく分析した結果、ただの睡眠時間の長さでは見えてこなかった、「別の要素」が浮かび上がってきたのです。
そしてこの発見は、実は中医学の考え方とも重なります。
中医学では、体の働きは自然のリズムと調和していることが大切だとされてきました。特に「夜は自然と共にしっかり休む」ことは、昔から健康の基本とされてきたのです。
科学が、古くからの知恵を裏づけるようなかたちになった今回の研究。
では、今回の研究からどんなことが読み取れるか、見ていきましょう!
🧭 60,977人の「眠りの記録」
今回の研究に参加したのは、イギリスに住む60,977人。平均年齢は62.8歳で、女性も男性もほぼ同じくらいの人数でした。
全員に、腕時計型のセンサーを1週間つけてもらいました。これは、動きのデータから「今は寝ている」「今は起きている」と判断できるしくみになっています。自己申告ではなく、機械が自動で記録してくれるため、より正確なデータが集まります。
そして、その記録から「毎日の寝起きの安定度」が調べられました。使われたのは「SRI(エスアールアイ)」という指標です。これは「毎日、同じくらいの時間に寝て、同じくらいの時間に起きているか」を点数にしたもの。高い点ほど、睡眠のリズムが整っていることを意味します。
このSRIには、夜中に何度も目が覚めたり、昼寝をたくさんしたりといった「睡眠のばらつき」も反映されています。つまり、「決まった時間に、まとまって寝ているかどうか」を見る総合的な指標なのです。
研究チームはこのSRIの点数と、参加者がその後に亡くなったかどうか、そして死因などを調べ、どんな睡眠パターンの人が健康を保ちやすかったのかを分析しました。
📉 リズムが整った人ほど、リスクが低い?
この研究では、SRIのスコアに応じて、参加者を5つのグループに分けて比較しました。
🟥 最も不規則なグループ
🟧 やや不規則なグループ
🟨 平均的なグループ
🟩 やや安定しているグループ
🟦 最も安定しているグループ
その結果、寝起きの時間が最も安定していたグループでは、毎日の就寝時刻と起床時刻のズレが1時間以内におさまっていました。一方、不規則だったグループでは、そのズレが最大で約3時間に広がっていました。
さらに、最も安定している人たちは、不規則だった人たちに比べて、死亡リスクが最大で約半分まで低くなっていました。
この差は、年齢、性別、喫煙・飲酒の習慣、持病などを調整しても変わらず、はっきりとした傾向として示されました。
⚖️ 睡眠は「量」より「パターン」
この研究では、「睡眠時間の長さ」と「毎日の寝起きの一定さ」のどちらが、将来の死亡リスクをよりよく予測できるかが比べられました。
その結果、「寝る時間と起きる時間が安定しているかどうか」のほうが、「何時間眠っているか」よりも、死亡リスクとの結びつきがはっきりしていることが分かりました。これは、いくつかの統計モデルを使って慎重に比較したうえで得られた結果です。
さらに、「時間」と「パターン」を両方同時に分析に加えても、「寝起きの安定」だけで予測した場合と比べて、精度が大きく高まるわけではありませんでした。
つまり、睡眠時間もまったく関係がないわけではないものの、「いつ寝て、いつ起きているか」という日々の習慣のほうが、健康とのつながりが強いことが、この研究から見えてきたのです。
😷 病気の種類によって、影響の出方は違う?
この研究では、「どんな病気で亡くなったのか」という死因ごとの関連性も調べられました。注目されたのは以下の2つの死因です。
- がんによる死亡
- 心臓や血管、代謝に関わる病気(いわゆる「心代謝性疾患」)による死亡
結果として、毎日の寝起きの時間が安定している人ほど、これらの病気で亡くなるリスクが低くなる傾向が見られました。特に「がん」に関しては、この安定したパターンとの関連が一貫して確認されています。
🧩 この研究でわかったこと、わからないこと
この研究は、参加者の数が多く、しかも加速度センサーで実際の睡眠パターンを計測しているため、非常に信頼性の高いデータに基づいています。一般的なアンケート調査よりも、はるかに客観的な睡眠の記録が得られているのが強みです。
ただし、いくつかの限界もあります。たとえば、睡眠データは1週間分であり、その後に生活の過ごし方が変化していても反映されません。また、参加者の多くは中高年の白人であり、異なる年齢層や人種で同じ傾向が見られるかどうかは今後の検証が必要です。
さらに、この研究は「観察研究」です。つまり、「寝起きの時間が安定していた人のほうが死亡リスクが低かった」という関係は示されましたが、「寝起きを安定させれば死亡リスクが下がる」とは言い切れません。生活が整っている人は、他の健康習慣も整っている可能性があるからです。
また、死因別に見た場合、がんについては安定した睡眠パターンとの関係が比較的はっきり見られた一方で、心臓や代謝系の病気に関しては、そこまで明確な関連が確認されなかった場面もありました。病気の種類によって、睡眠との関わり方が違う可能性も示唆されています。
それでも、「毎日の寝起きの時間が安定している人ほど、死亡リスクが低かった」という結果が、客観的なデータで裏づけられたことには大きな意義があります。
こうした点をふまえながら、今後の研究や日々の生活にどのように活かすかを考えていくことが大切です。
🌿 中医学ではどう考える?
今回の研究で示された「安定した睡眠パターンの大切さ」は、中医学の基本的な考え方とも深く通じるものがあります。
中医学では、人の身体は自然の流れと連動していると考えられています。たとえば、夜は「陰」が満ちる時間帯であり、身体は休息と修復のモードに入るとされます。一方、朝は「陽」が立ち上がる時間で、活動のスイッチが入ります。
この「陰陽の切り替え」にうまく乗ることが、健康を維持するために大切とされてきました。睡眠パターンが乱れると、こうした切り替えがうまくいかず、身体の回復力や免疫力にも影響を及ぼすと考えられています。
また、「子午流注(しごるちゅう)」という理論では、臓腑ごとに活発になる時間帯が決まっています。たとえば、深夜は「肝」、早朝は「肺」が働く時間とされ、このタイミングでしっかり眠れていることが、身体の自然な修復や浄化を助けるとされます。
つまり、「なるべく毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」という睡眠リズムは、単なる習慣の話にとどまらず、体全体のバランスを保つ要でもあるのです。
🎯 無理なく整える、毎日のリズム
「睡眠時間の長さ」よりも「寝起きの安定度」が健康と深く関係していた──研究結果は、私たちの生活にもすぐに取り入れられるヒントを与えてくれます。
大切なのは、完璧に決めすぎることではなく、毎日の就寝と起床の時間をなるべく1時間以内の間で保つことです。特に朝の起床時刻を一定に保つだけでも、体内時計が整いやすくなります。
中医学の観点でも、日々の生活を整えることは、気血の流れを安定させ、内臓の働きを助ける基本とされています。
毎日の過ごし方が未来の健康に影響することを意識しながら、少しずつ整えていくことが、未来の健康につながる確かな一歩になるのです。
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