こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
女性は妊娠・出産に伴い、様々なからだの変化や、それにも伴って見られる症状がたくさんあります。
また、産後は妊娠中に大きく変化する身体的、生理的変化が十分回復していない状況で子育てを始めるため「腰痛」・「骨盤帯*痛」が生じやすくなりますが、これらの症状に対して正しいケアがされていない現状があります。
骨盤帯*
骨盤は左右の「腸骨」と中心にある三角形の「仙骨」、前側にある「恥骨」、下側にある「坐骨」で構成されています。これらは「輪」のような形をしており全体を「骨盤帯」と呼びます。
骨盤帯の内部には腸や泌尿器などの内臓や子宮や卵巣などの生殖器があり、これらを保護する重要な役割を果たしている部位でもあります。
また骨盤帯は骨格の土台であり、また下半身と体幹をつないで下半身 → 体幹へ力を伝える役割を担います。そのため、負がかかった時のために大きな力に耐えられる構造的特性を持ち、骨盤帯全体で安定した状態をつくることができます。
結果として、産後は子を抱く動作や掃除ができないなど、育児や日常生活に支障をきたすケースが増えています。
妊娠中、産後に正しいケアをするためには妊娠、出産に関する背景を知ることが大切です。
妊娠、産後の経過、分娩の様式、抱っこや授乳等の育児に関する動作などについてしっかり確認することで治療したり予防したりすることができます。
妊娠中、産後の体形と姿勢の変化
妊娠中の体は、5 ヶ月頃からお腹が前にでる形で大きくなります。妊娠中には体重は8〜10kg 程度増加しますが、出産により赤ちゃんや胎盤などで約4〜6kg 減少し、その後6~8週間の産褥期にさらに約 4kg 減少します。
その後は半年ほどかけて妊娠前の状態に戻ります。
このように妊娠、出産、産後で体は大きく変化します
妊娠中は、妊娠の経過に伴い変化した体のバランスを保つために特徴的な姿勢をとりやすくなります。
特に妊娠中期〜後期では、上半身が下半身(骨盤)より後ろに位置(スウェイ)した スウェイバック 姿勢(いわゆる「反り腰」)を取りやすくなります。
「理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法(医歯薬出版)」より引用
この妊娠ちゅはバランスを取るためには、背骨と骨盤のバランスを変化させる必要があり、妊娠中の胸椎や腰椎、骨盤は妊娠していない時と大きく異なります。
この特徴的な姿勢は産後にも継続する場合があり、子どもを抱くと、より顕著な不良姿勢につながりやすくなります。
妊娠中、産後の運動器系のトラブルとして最も多いのが「腰痛」や「骨盤帯痛」ですが、妊娠中期から産後にかけてもっとも多いという報告があります。
妊娠中、産後の「腰痛」は30〜90% が経験し、腰痛は産後1年以上で67% 、産後2年で約20%継続していたとの報告があり、慢性的な症状と言えます。「骨盤帯痛」では妊娠中の約20%、産後2年まで継続する場合が 約5〜10%と言われています。
これらの症状が見られる主な原因としてホルモンの影響が考えられています。
妊娠中に分泌される「リラキシン」というホルモンは骨盤帯の関節をゆるめる作用があります。
恥骨結合のゆるみは妊娠8〜10週ごろから起こり、骨盤帯としては妊娠の最終から産後3週で妊娠前より約30〜70% 動きが大くなります。
緩むといっても恥骨結合でいえば、通常可動域は2〜3mm程度で、分娩直後でも7〜8mmですので、大きく動くものではありません。仙腸関節であれば、通常可動域は1mm程度です。
そのため骨盤は通常グラグラ動くものではありませんが、妊娠中は、妊娠中に特徴的な体形の変化によるものに加え、ホルモン分泌による骨盤帯が通常より不安定になったり、周囲の筋肉(腹斜筋群や脊中起立筋群)の協調が乱れることで、腰や背中の痛みが起こりやすくなります。
「骨盤の歪み」という表現は近年では珍しくありませんが、実際は「歪む」という表現ほど歪むことはありません。「骨盤の歪み」に関する情報が飛び交い「骨盤矯正」という正式な医療用語ではない解決法が近年はさまざまなメディアを通じて紹介され市民権を得てきつつありますが、このことで不適切な対処が行われていることもありますので注意が必要です。
ちなみに、リラキシンは妊娠中だけでなく、生理周期の黄体期にも分泌が増えることがわかっており、女性アスリートのケガの原因の1つになっていると言われています。
これらの症状の改善には、痛みの原因となっている筋肉のバランスを調整したり、妊娠中では、妊娠中特有の体の変化を意識した立ち上がりや歩行などの基本動作を身につけ、産後を視野に入れた体づくりと、産後では育児動作(おむつ替え、抱っこ、授乳など)を正しく行う必要があります。
産後は育児動作が、毎日、それも1日に何度も乳児が幼児期に成長するまで休むことなく続きます。さらに子どもの成長に伴い体重が増加すると、育児での母親への負担がさらに増えます。
産後、妊娠前と同様の体の状態になるまでに半年かかると言われていますが、心身共に不安定な状態で日々繰り返される様々な育児動作が続くことで不調は回復しないだけでなく、悪化する可能性が高まります。
妊娠中・産後の体のケアは妊娠・出産に特有の体の変化を十分に理解した上で評価や治療を行うことが大切で、体の使い方を正しく行うことで不調の改善や予防が可能となります。
現在の日本では、妊娠中・産後に不調を感じている時期において適切なケアが行われていない現状があります。
正しい知識を持った資格者がいる施設でサポートを受けるようにしましょう。
妊娠中、産後を快適に過ごすことができるようになります。
妊娠・産後の「腰痛」「骨盤帯痛」に対する予防のための運動に「Draw-in(ドロー・イン)」があります。きつい運動ではなく腹筋を適度に収縮させるだけ運動です。
仰向けになり、膝を曲げた姿勢で行います。この姿勢のまま、息を大きく吸った後、口をすぼめてゆっくりと息を吐きながら、お腹を背骨の方向に引き込むように(腰の浮いている部分を床に押し付けていくように)します。
この時押し付ける強さは強く行う必要はありません。「どこに効いているのだろう」ぐらいの強さで大丈夫です。この運動でインナーマッスルを収縮させ、骨盤や腰椎周囲の安定性の改善を図ることが出来ますので取り入れてみてください。
色々試して見たんだけど、腰痛や骨盤帯痛がなかなか改善しない・・・という場合はぜひご相談ください。
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