妊娠中の運動について

こんにちは、タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

「健康志向」が高まり、運動する機会も増えている中で「妊婦スポーツ」も注目されています。運動は母体の健康の維持と増進に必要です。

近年、高齢妊娠、ハイリスク妊娠が増加しているため、運動時には母児に対する十分な安全管理が必要です。

安全管理基準について日本臨床スポーツ医学会による提言がなされ、その条件について2019年版では以下のようになっています。

1.母児の条件

 現在の妊娠経過が正常で、かつ以下の条件を満たしている

1)後期流産・早産の既往がないこと

2)偶発合併症、産科合併症がないこと

3)単胎妊娠で胎児の発育に異常が認められないこと

4)妊娠成立後にスポーツを開始する場合は、原則として妊娠 12 週以降であること

5)スポーツの終了時期は、異常が認められない場合には、特に制限しない

 

子宮の収縮や、胎盤血流量が減少するような運動は避ける必要がありますし、合併症や胎児の発育異常がないことを確認した上で、自然流産が起こりやすい妊娠12週未満ではなく、それ以降に行うということですね。

 

 

2.環境

1)暑熱環境下で行うものは避ける

2)陸上のスポーツは、平坦な場所で行うことが望ましい

3)高地の低酸素環境下での運動は順化していない場合は避ける

4)減圧環境は避けるべきである

 

暑い環境は避けます。妊娠初期の体温上昇は動物実験で先天異常が報告されています。また妊娠中は体の重心が非妊娠時とは異なりますので、バランスを崩しやすい場所で行わないようにします。高地トレーニングや、ダイビングは避けましょう。

 

 

3.スポーツ種目

1)有酸素運動、かつ全身運動で楽しく長続きするものであることが望ましい

2)腹部に直接的な外傷を与えるものや落下のリスクがあるもの、接触による外傷性リスクの高いもの、過度な腹圧がかかるものは避ける

3)妊娠 16 週以降では、長時間仰臥位になるような運動は避ける

 

望ましいものとしては、「ウォーキング、水泳、ジョギング、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、ラケットスポーツ、固定自転車等」とのことです。個人でできるものが良いようです。相手がいるスポーツなどでは、接触の可能性があるため、腹部に衝撃が与えられる場合があります。長時間の仰臥位を避けるというのは、子宮が大きくなっている状態で、仰臥位(仰向け)になると、その下の血管が圧迫されてしまい、血圧が下がることがあります。血圧が下がった場合は左側臥位になることで圧迫は解除できます。特に妊娠の進行に伴い起こりやすくなります。浮力が使える水泳の場合は背泳ぎOKです。

 

 

4.メディカルチェック

1)妊婦スポーツ教室を実施する場合

 a.医療施設が併設されているか、あるいは緊密な連携体制が確立していることが望ましい

 b.運動開始前後に母体血圧、母体心拍数、体温、子宮収縮の有無、胎児心拍数測定などのメディカルチェックが実施できることが望ましい

2)個人でスポーツを行う場合

 a.スポーツを行っていることを産科主治医に伝えること

 b.スポーツ前後に心拍数を測定し、スポーツ終了後には子宮収縮や胎動に注意すること

 c.体調の変化に十分に注意すること

 

運動することで、お腹が張ることがあります。生理的な反応です基本的には心配は必要ありませんが、中には子宮収縮や出血を伴うことがあります。スポーツ前のメディカルチェックは受けた方が望ましく、また、運動後の胎児心拍数測定は胎児ストレスチェックの簡易判別方法として推奨されています。個人で行う場合は、まずは主治医へ相談。体に変調があればすぐに中止して、継続の可否について相談が必要です。

 

 

5.運動強度

1)心拍数で 150bpm 以下、自覚的運動強度としては「ややきつい」以下が望ましい

2)連続運動を行う場合には、自覚的運動強度としては「やや楽である」以下とする

 

運動の問題点としては筋肉の血流量が増え、内臓への血流が低下することです。これを防ぐためには心拍数が過剰にならないようにします。その目安が150bpmです。連続して行う場合は「やや楽である」と感じる程度にとどめます。運動時間が長くなると、同じ運動強度であっても、子宮血流量が次第に低下していくことが、動物実験で明らかになっています。この際は心拍数としては135 bpmが目安です。

 

 

6.実施時間

1)午前 10 時から午後 2 時の間が望ましい

2)週 2~3 回で、1 回の運動時間は 60 分以内とする

 

上記の時間が子宮収縮の出現頻度が少ないとされているため、運動の時間帯としては適していると考えられていますが、米国の指針では特にコメントはないようです。体調が良い時に行うと良いと思います。45 分間以上中等度以上の強度で運動を行う場合は、低血糖に注意が必要です。運動前、運動中のカロリー摂取が必要です。

 


7.その他

1)高血圧症、糖尿病、肥満症などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動療法は、専門医と相談の上で、十分に注意して実施すること

 

高血圧症、糖尿病、肥満症などは運動療法で予防や治療が可能ですが、とくに肥満症では食事療法がより重要です。運動は切迫流早産の徴候がない場合に限り、1 日30分以上、週 3 回以上行います。血圧が高い場合は主治医の判断が必要です。血糖値は速歩で下がりますので、糖尿病の予防や治療には有効です。安静が必要な場合でも座った状態、または横になった状態で手・腕の曲げ伸ばしだけでも、食後の血糖上昇を抑制効果が認められています。

 

妊娠中は出産に向けてのホルモンの変化により、腰痛などが起こりやすくなります。運動を無理なく、正しくできるようにするための基礎的な体づくり、痛みの解消も重要です。妊娠後はタナココ接骨院で骨格ケアをしながら、無理なく楽しく運動を続けられるようにお手伝いをしています。ぜひご相談ください。

 

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