妊娠と授乳期の魚介類摂取が子どもの脳に与える影響とは?

タナココ

妊娠中や授乳中に魚を食べることが、赤ちゃんの脳の発達にどんな影響を与えるかを医学・中医学の視点からわかりやすく解説します。

お腹の中にいる赤ちゃんは、毎日少しずつ成長しています。特に脳の発達は、妊娠中から授乳期にかけて一気に加速します。この大事な時期に、どんな栄養をとるかは、赤ちゃんの未来にとってとても大きな意味を持ちます。

そんな中、よく話題にのぼるのが「魚」の栄養。

DHAやEPAといった脳にうれしい成分が豊富に含まれていて、いわゆる「脳によい栄養素」として知られています。

一方で、魚には「水銀」などの有害物質も含まれていることがあり、良い面だけを見て食べ続けるわけにもいきません。

今回の論文は、そんな魚介類が子どもの脳の発達にどう影響しているのか、世界中の研究をまとめて検証したものです。

「食べる? 食べない? どう選ぶ?」

そんな疑問に、科学の視点から丁寧に答えてくれる研究報告です。


目次

📚 なぜ魚が注目されるの? 脳の成長と食べ物の深い関係

赤ちゃんの脳は、妊娠中からすでに目まぐるしく発達を始めています。特に妊娠後期から授乳期にかけては、神経細胞がぐんぐん増えて、複雑なネットワークを築いていきます。

この過程に必要不可欠なのが、「DHA」「EPA」といった脂肪酸。魚にたっぷり含まれていることで知られています。

こうした脂肪酸は、脳の細胞膜をしなやかに保ち、神経同士のやりとりをスムーズにする働きがあります。だから魚を食べることは、ただ「体に良い」だけでなく、赤ちゃんのこれからを支える「未来への贈りもの」のようなものといえるでしょう。

一方、魚には水銀などの有害物質が含まれていることもあり、摂りすぎるとむしろ発達にマイナスになることもあるのです。この

「栄養と毒性のはざま」

をどう乗り越えるか。それを明らかにするために、多くの研究が積み重ねられてきました。

今回の論文は、そうした研究の成果をひとつにまとめて、私たちにとって本当に役立つ答えを探し出そうとしたものです。


🔍 どうやって調べたの? たくさんの研究から見えてきた全体像

この論文では、「お母さんが魚を食べると、赤ちゃんの脳の発達にどんな影響があるのか?」という疑問を解決するために、たくさんの過去の研究を集めて、その結果をていねいに比べました。

いろいろな研究をひとつひとつ見るのではなく、全体をまとめて見て、「どんな共通点があるのか」「どこが違っていたのか」を整理することで、本当に信頼できる答えを探そうとしたのです。

集めた研究は、どれも妊娠中や授乳中に魚を食べたことと、子どもの言葉の発達、体の動かし方、ものの考え方などにどんな変化があったのかを調べたものばかり。

全部で50件以上の研究をまとめて見たことで、「魚を食べると、子どもの発達にはこんな影響があるんだな」という全体像が見えてきました。


🌟 いいことづくし? 魚を食べたママの子どもたちに起きていたこと

今回まとめられた多くの研究では、妊娠中や授乳中に魚をよく食べていたお母さんの子どもたちに、発達の面でいい傾向が見られていたことがわかりました。

特に目立っていたのは、言葉を覚える速さや、体の動かし方が上手になること、物事を理解する力、人と上手に関わる力など。

簡単に言えば、「頭の回転が早い」「人とのやりとりが上手」といった特徴です。

たとえば、ある研究では、週に2回以上魚を食べていたお母さんの子どもは、3歳の時点で言葉の使い方が上手だったという結果が出ています。また、魚に含まれる「DHA」「EPA」という成分をたくさんとっていたお母さんほど、その子どものIQや学校の成績も良い傾向があったという報告もありました。

どうして魚がそんなに良いのかというと、「DHA」「EPA」は脳の神経の働きをサポートしてくれる栄養素であるからと考えられています。脳の中で情報がスムーズにやりとりされるように、細胞の状態を整えてくれるようです。

だから「魚を食べると頭が良くなる」と言われるのは、単なる迷信ではなく、きちんと科学的な理由があるんです。


⚠️ 魚ならなんでもOK? 気をつけたい落とし穴

「魚は体にいいから、どんどん食べよう」と思ってしまいがちですが、実はちょっと注意が必要です。というのも、ある研究では、魚をたくさん食べていたお母さんの子どもに、発達が遅れる兆しが見られたという報告もあったのです。

その原因の一つが「水銀」

魚の中には、この「水銀」を多く含んでいる種類があり、それをたくさん食べてしまうと、お腹の赤ちゃんや赤ちゃんの脳の発達に悪影響を及ぼすことがあるのです。

特にマグロやサメ、メカジキ、深海に住む大きな魚などは、「水銀の量が多い」ことで知られています。

だから大切なのは、「どの魚を選ぶか」「どのくらいの量を食べるか」。

たとえば、イワシやサバのような比較的小さい魚は、水銀が少なく、DHAやEPAなどの良い成分がたっぷり含まれているのでおすすめです。

厚生労働省も、安全に配慮した摂取の目安を示しています。魚の「質」と「量」に気を配り、魚を上手に選んで、赤ちゃんにもママにもやさしい食事を心がけていきましょう。


🧠 この報告が特別な理由

この報告が優れているのは、「魚は体にいいの?それとも悪いの?」という単純な議論にとどまらず、多くの研究を丁寧に集めて、その全体像をしっかりと整理している点にあります。

どんな人を対象に、どんな方法で行われた研究だったのか。それぞれの条件や特徴を比べながら、共通する傾向や違いを明らかにすることで、「どのような場合に、どんなアドバイスができるのか」が、より具体的に見えてくるのです。

魚に含まれるDHAやEPAは、脳の神経細胞を守り、情報をやり取りする働きをスムーズにしてくれる重要な成分です。特に成長期の脳にとっては欠かせない栄養素といえます。

その一方で、「水銀」のような有害な成分が神経の働きを妨げることも知られており、「どの魚を、どのくらい食べるか」という判断はとても重要になってきます。

今回の報告は、栄養面のメリットと安全面のリスク、その両方をしっかりと科学的にとらえてまとめられており、妊婦さんや授乳中のお母さんにとって、安心して参考にできる実用的な知識を提供してくれるものとなっています。


🌿 中医学の知恵から見る「魚と赤ちゃんとお母さんのつながり」

西洋医学では、魚に含まれるDHAやEPAが脳の構造を作り、情報の伝達を助ける成分として注目されていますが、中医学ではもう少し広い視点で、魚という食材の働きを捉えています。

その鍵となるのが、「腎(じん)」という概念です。

中医学での「腎」は、単なる腎臓の働きにとどまらず、生命の根本をつかさどる重要な存在とされています。腎は「精(せい)」というエネルギーを蓄え、それが成長や発育、生殖、さらには「脳の働き」とも密接に関わっています。

脳は「髄海(ずいかい)」とも呼ばれ、この髄を十分に満たすためには、腎の充実が欠かせません。つまり腎がしっかりしていれば、記憶力や集中力、感覚の鋭さなど、知的な働きも保たれると考えられています。

そしてもう一方で、お母さん自身も妊娠・出産・授乳という過程で、「血(けつ)」を大きく消耗します。魚は「補腎」だけでなく「補血」にも優れており、産後の回復や、貧血気味の体を穏やかに養う食材としても重宝されてきました。

つまり魚は、赤ちゃんには「脳を育てる力」を、お母さんには「血を養い、体力を回復させる力」を与えてくれる、親子を支える心強い味方となる食材。命をつなぐ食卓には、古くからの知恵が今も静かに息づいているのです。


📝 未来のために、今日からできること

この報告が教えてくれるのは、魚を食べる習慣が、赤ちゃんの脳の発達、そして未来の成長につながっているということです。ただし、「体にいいからたくさん食べよう」という単純な話ではありません。

大切なのは、「どの魚を選ぶか」「どんなふうに取り入れるか」をきちんと考えること。水銀などのリスクを避けながら、DHAやEPAといった必要な栄養をしっかり届けられるように、質の良い魚を選ぶことが大事です。それは赤ちゃんのためだけでなく、お母さん自身の体を整えることにもつながります。

毎日の食事は、ただ空腹を満たすだけのものではなく、未来を少しずつ育てていく大切な時間。

この報告から得られた知識をヒントに、「今日はどんな魚を選ぼうかな?」と、少しだけ意識を向けてみてください。その一歩が、赤ちゃんの成長にやさしく寄り添う力になります。

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