周期性発熱と漢方

こんにちは、相模原 タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

子どもの体調不良は原因がわからないことも多いです。とくに「 発熱 」はよく問題となります。

発熱があるので受診しますが、しばらくすると落ち着き、またしばらくすると発熱します。

原因もわからず、特効薬といえるものもないので、発熱のたびに受診することになります。

 

周期的に熱を繰り返す原因不明の病気で「PFAPA症候群」という病気があります。

PFAPA症候群は、5歳以下の子どもには比較的多く見られ周期的な発熱発作がみられます。

 

発作の周期は規則的で、おおよそ月に1回発熱が3〜6日続きます発熱周期は3〜8週間程度です。

発熱のほか、白苔が付着する扁桃炎・咽頭炎口内炎リンパ節の腫れだるさ腹痛頭痛などが見られます。発作時は好中球優位白血球の増加や炎症活動性の指標である   CRP や血清アミロイドA(SAA)が高値になります。

 

発熱発作以外の時は基本的に元気で、その他の異常もありません。検査値も正常化します。成長・発達には異常は見られません。

 

まれに大人でも見られますが、通常は成長するにつれて症状はなくなる傾向にあり予後は良好と言われています。

 

発症初期には細菌性の急性扁桃炎や咽頭炎と区別するのが難しく、何度も繰り返すことで、PFAPA症候群が疑われ、診断まで時間を要することが少なくありません。

 

PFAPA症候群では川崎病、悪性疾患、自己免疫疾患、周期性好中球減少症を含めた免疫不全症や、他の自己炎症症候群である家族性地中海熱(FMF)やTNF受容体関連周期熱症候群(TRAPS)、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD) / 高IgD症候群(HIDS)、A20ハプロ不全症などとの鑑別が必要となります。

原因については、自然免疫に関わるサイトカインの調節異常とも言われていますがよくわかっていません。遺伝性はないと言われていますが、こちらについてもはっきりわかっていません。また確立された治療法はありませんが、ステイロイド(プレドニゾロン)やシメチジン、ロイコトリエン拮抗薬(モンテルカスト、プランルカスト)、コルヒチンなどの投薬、扁桃摘出などが有効な場合があり試みられています。

 

 自然免疫:体内には病原体へ免疫システムとして、「獲得免疫」と「自然免疫」の2つのシステムがあります。「獲得免疫」は病原体を解析してその病原体に対して抗体をつくり排除する免疫反応で、「自然免疫」は自分以外のものや病原体に固有のパターンをもつものを排除する免疫反応です。獲得免疫は徐々に「獲得」される免疫で、自然免疫は生まれながら「自然」に備わっている免疫です。

 サイトカイン:炎症の重要な調節因子で免疫系の細胞から分泌されるタンパク質の総称です。

 投薬:ステロイド(プレドニゾロン)は炎症を抑えますが、発熱発作の間隔が短くなることもあるため細心の注意が必要です。シメチジンはH2 受容体拮抗薬の 1 つで、胃酸の分泌を抑える作用により消化管潰瘍などに使用されますが、本来の作用以外に免疫調整作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用を持つとされるため、PFAPA症候群に対して、発熱発作の頻度を減少させる効果があるとの報告があるため予防内服として用いられていますが、効果が認められない場合については使用の継続は避けるべきとしています。

 扁桃摘出*:扁桃摘出は発熱の抑制効果が最も期待できますが、もともとPFAPA症候群は自然治癒が期待できるため、手術のリスクを考慮して総合的に判断する必要があります。また頻度は低いものの発熱発作の再燃例も確認されています。最終的な寛解率は扁桃摘出した場合と差がない可能性も指摘されています。そのため発熱発作の程度や内服治療に対する反応性などを考慮した上で扁桃摘出術するかどうかを決める必要があります。

 

PFAPA症候群は遺伝的原因については確定しておらず、免疫の異常で自己免疫や感染症の直接的な関与なしに炎症がおこると考えられています。


このPFAPA症候群には漢方が奏功することがあります

 

体調や体質などを考慮しながら使用しますが、小柴胡湯、柴胡清肝湯、抑肝散、柴胡桂枝湯など、いわゆる「柴胡剤」と呼ばれる処方が使用されます。

 

柴胡剤の基本処方である「小柴胡湯」を用いる基準について《傷寒論》では「傷寒五六日中風、往来寒熱、胸脇苦満、黙々として飲食を欲せず、心煩喜嘔、或は胸中煩して嘔せず、或は渇し、或は腹中痛み、或は脇下痞鞕、或は心下悸して、小便不利し、或は渇せず、身に微熱あり、或は欬する者は、小柴胡湯これを主る」とあります。

 

上記の内容で、柴胡剤の使用目標の1つである「往来寒熱」が使用のポイントになっているのですが、「往来寒熱」とは繰り返し発熱することを言います。

 

柴胡剤は、西洋医学的には、抗炎症作用免疫調節作用自律神経・ホルモン調節作用中枢神経作用消化器系調節作用があると考えられています。

 

月に1度程度の発熱発作のため、効果を感じ始めるまでは3ヶ月〜服用が必要ですが、西洋医学的にはあまり手立てがないため、試す価値は十分にあります。

 

このほか、PFAPA症候群以外にも風邪をひきやすい扁桃が腫れやすい中耳炎を起こしやすいなど、繰り返し炎症生の疾患に罹患しやすい場合にもその予防に漢方が有効とする報告もあります。

 

何度も発熱や炎症を繰り返すことによる受診は、子どもにとっても、親にとっても大きな負担となります。

 

漢方を服用することで、発熱の頻度、感染の頻度を減らし、また症状を軽くすることが期待できますので、繰り返す発熱、炎症から脱却し、元気に過ごす日々が「日常」となるように漢方をお役立てください。

 

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