同じ努力で結果が違う理由

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🌿 体質で変わる? 食事と減量の不思議な関係

「同じように食べているのに、あの人は痩せて、自分は変わらない」。
そんな疑問を抱いたことがある人も多いはずです。

食事で「太る」「痩せる」は、人によって反応がまったく違います。
今、その個人差の秘密に、科学が本気で迫ろうとしています。

アメリカの研究チームは、低脂肪食と低炭水化物食のどちらが減量に向いているか、そしてその効果が「遺伝子」や「インスリン分泌」といった体質によって変わるのかを丁寧に検証しました。

最新の栄養学と遺伝学が交わるこの試験は、「自分に合った食べ方」を見つけるための新たな一歩です。

中医学の視点で見れば、これは「同病異治(どうびょういち)」という考え方に通じます。
同じ「肥満」という状態でも、その原因は人によって異なります。気の巡りが滞っているのか、水が溜まっているのか、あるいは脾(ひ)の働きが弱いのか。
その人の体の状態に合わせて整えていくことが大切だとされています。

西洋医学が「遺伝子」や「インスリン」に注目するのは、中医学が「体質」や「証(しょう)」を大切にしてきた考え方と、どこか重なって見えるのです。

とても興味深い研究です。

さっそく、続きを見ていきましょう。


🧪 600人が挑んだ「1年の食事実験」

この研究には、多くの肥満傾向にある成人が参加しました。

研究チームは彼らを2つのグループに分け、「低脂肪食」か「低炭水化物食」のどちらかを続けてもらうことにしました。

どちらの食事法でも大切にされたのは、「ただ我慢する」のではなく、食事の「質」を見直すということです。

野菜をしっかり摂り、加工食品や精製された糖質・小麦粉を控える。何をどれだけ減らすかよりも、どんな食材を選び、どう食べるかに焦点が当てられていました。

初めの段階では、脂肪または炭水化物の摂取を一時的にぐっと減らし、体の様子を見ながら無理のない形で調整していく方法がとられました。

また、期間中には食事だけでなく、生活全体を見直すためのセッションも定期的に行われました。

参加者は栄養や食習慣について学びながら、実際の生活の中で自分に合った方法を試していったのです。


⚖️ 結果が分かれるのは、なぜ?

参加者たちは1年間、それぞれ異なる食事法を続け、自分の体と向き合ってきました。

脂質や糖質を控えるだけでなく、食事の質を高め、生活全体を見直す工夫も加えながら、真剣に取り組んでいたのです。

けれども、終わってみると、結果には大きな個人差がありました。

しっかり体重が減った人もいれば、あまり変わらなかった人も。

同じような努力をしているのに、なぜこれほど差が出るのか──それが、研究チームの新たな疑問でした。


🧬 体質の違いがカギを握る?

その理由を探る手がかりとして、研究者たちは「遺伝子」や「インスリン分泌」といった体質に注目しました。

人それぞれが生まれ持つ体の設計図である遺伝子が、食事法の効果を左右している可能性があると考えたのです。

たとえば、脂質をエネルギーに変えやすい人、糖質の代謝が得意な人など、体の反応には違いがあるかもしれません。

また、血糖を調整するホルモンであるインスリンの分泌量も、食後の代謝に影響を与えると考えられてきました。

もし、こうした体質の違いによって「合う食事法」が決まるのだとすれば、将来的には個人に合わせた「オーダーメイドの食事指導」が実現するかもしれません。

この研究は、その可能性を探る試みでもありました。


🔍 明らかになったのは「続け方」の力

ところが、1年後に得られた結果は、やや意外なものでした。

平均すると、低脂肪食と低炭水化物食のどちらでも、ほぼ同じくらいの減量効果があったのです。

つまり、「どちらが優れているか」という問いには、明確な答えは出なかったということになります。

そして注目された体質の違い──遺伝子型やインスリンの分泌量──についても、減量効果との間に明確な関連は見つかりませんでした。

このことが示すのは、結局のところ、「どの食事法を選ぶか」よりも、「その方法を自分らしく、無理なく続けられるかどうか」が、成果を左右するということです。

体質がどうであれ、自分の体と対話しながら続けていける方法こそが、もっとも効果を生みやすい。

それが、この研究が導き出した結論でした。


🌸 中医学から見る「食べ方の調和」

中医学では、食べることはただの栄養補給ではなく、体と心を整える重要な手段とされています。

その中心にあるのが「脾(ひ)」の働きです。

脾は、食べたものをエネルギーに変え、全身に力をめぐらせる土台のような存在。

ところがこの脾が弱ると、「湿(しつ)」と呼ばれる余分な水分や老廃物がたまり、代謝の流れが滞ってしまいます。

今回の研究で重視されていた「無理なく続けられる食事」や「食の質を整える」という考え方は、この「脾をいたわる」という中医学の基本にしっかりと通じています。

極端に制限するのではなく、体に負担をかけず、心地よく動ける状態を保つこと。それが、体重だけでなく気持ちのバランスまで整える近道とされているのです。

どんな食事が合うかは人それぞれでも、自分の体が求める「ちょうどいい食べ方」を見つけて、無理なく続けていくこと。

それこそが中医学でいう「調和のとれた養生」であり、今回の研究結果とも静かに重なります。


💡 「合う食べ方」は、自分の中にある

この研究が教えてくれたのは、「誰にでも効く完璧な方法はない」という、ある意味で安心できる事実です。

脂肪を減らすか、炭水化物を控えるか──その選択よりも、自分にとって心地よい食べ方を見つけること。

それを、無理なく続けていけるかどうかが、体の変化を左右する鍵になっているのです。

食べ方を見直すことは、自分の体と対話することでもあります。

合う食事法は、誰かの成功例の中にあるのではなく、自分自身の体の声の中にある──その小さな変化に耳を澄ませながら、自分なりのバランスを見つけていく。

それが、長く続けられる健康のかたちであり、何よりも自然な養生の道です。

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