こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
細胞には傷ついたDNAを修復する仕組みが備わっています。傷ついた場所をみつけ、目印をつけ、取り除き、正しく情報にもどし、最後に形を整えます。しかしその仕組みがない細胞があります。
それは「精子」です。
精子は極々簡単に言えばカプセルに前に進むためのモーターがついたようなシンプルな形で「DNA」を運ぶことに特化した構造になっています。そして精子が卵子にたどり着くまでには、傷ついたりもするわけですが、卵子には「DNA」修復能力があるので、辿り着いた精子のDNAが傷ついても修復してくれます。
卵子はすごい。
しかし、卵子のDNA修復能力は一人ひとりことなり、一般的には年齢を重ねるとその能力は低下します。
これは「卵の質」と表現されることが多いです。精子は卵子ほど年齢の影響を受けにくいと言われますが、これは精子が傷ついても、卵子が一生懸命治しているからなんです。
また精子の質を改善するのは可能な場合が多いのですが、おそらく卵子のDNA修復力を回復させる(質を上げる)方法でエビデンスの高い方法は見つかっていません(と思います)。
ですので、妊活で重要なのは卵子のDNA修復力を「低下させない」ようにして、精子のDNA損傷を少なくすることです。
煎じ漢方では「卵子の質を低下させない」ような特殊な処方を使いますが、男性の場合でも、一般的な精液検査ではわからないDNAの損傷を防いで卵子の負担の軽減させることが期待できます。
さて、精子の傷ついたDNAを修復する卵子の能力について調べた研究があります。
≦ 36歳(n = 285)
37−40歳(n = 147)
> 40歳(n = 108)
のグループです。
若い患者(≦36歳)と37〜40歳の患者では、妊娠に有意差は認められませんでした。
<妊娠>
精子DNA断片化率 ≦30% > 30%
≦36歳 40.0% 39.1%
37−40歳 27.7% 28.6%
<着床>
精子DNA断片化率 ≦30% > 30%
≦36歳 42.3% 41.5%
37−40歳 28.9% 30.6%
<流産率>
精子DNA断片化率 ≦30% > 30%
≦36歳 9.3% 11.1%
37−40歳 31.2% 22.2%
だだし年齢が40歳を超えると、妊娠率が大幅に低下しました。
精子DNA断片化 ≦30% > 30%
妊娠 20.0% 7.7%
着床妊娠 19.7% 11.9%
流産率 12.5% 100.0%
このほか
精子DNA断片化 ≦30% > 30%
3日目胚の形態良好率 54.4% 33.1%
胚盤胞到達率 49.6% 30.2%
などの違いもみられました。
不妊の原因の約半数に男性因子が関わっているとされています。
妊活は二人の協力がなければうまくいきません。精子の質を改善、向上させるのは卵子の質を改善することより、難しくありませんので、ぜひ男性側も漢方などを利用して精子の質を向上させる取り組みをしてほしいと思います。
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