こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「卵の質」
不妊治療、妊活をされている方はこの言葉はよく聞くと思います。
病院の説明でも、専門家のブログでも、各種論文でも見かけますし、漢方相談でも使うこともあります。
また患者さんからも「卵の質」に関係するご質問も多いです。
自然周期では1つの周期で排卵される卵は1つです。
そうなるように体内のホルモンバランスを調整しています。
排卵した卵は、発育を開始した周期で発育が開始される約1,000個の卵胞の中から、過酷な選別を経て排卵された卵ですので「質の良い」卵の可能性はあります。
しかし、その排卵された卵以外の卵が、妊娠・出産できるだけの力がなかったのかというとそうではありませんし、選別されて排卵した卵が必ずしも妊娠・出産に至るわけでもありません。
卵巣には日々育っている様々な発育段階の卵胞が存在しますが、主席卵胞はある程度発育した卵胞であれば、どの卵胞でも主席卵胞になり得て、その時にたまたま成長のタイミングに合った卵胞が主席卵胞として選択されているだけで、質が良いかどうかの判断のすべてにはなりません。
また、自然周期ではなかなか卵が育たなくて、卵胞刺激を加えてなんとか育った卵でも妊娠・出産できるケースは多々ありるので、卵胞が育つかどうかが質の良し悪しを決めるものではありません。
もちろん、傾向としてはありますが。
卵巣にある卵は1つ1つその「質」は異なり、かなりばらつきがあります。そしてそのばらつきの程度も一人ひとり異なります。
採卵をある一定期間されたことがある方はなんとなく気づいているかと思いますが、周期によって育ちやすかったり、育ちにくかったりすることがあります。
しかしそのことと、妊娠・出産が可能な卵は必ずしも一致しません。
では、「質の良い卵」とはなんなのでしょうか。
「質の良い卵」とは、妊娠ができ、そしてそれが継続し、出産にたどり着くことができる卵です。つまり、具体的には卵の中にある染色体の遺伝子に過不足がなく、その動きがうまくいって、体の部位を順調に作っていける卵のことです。
排卵される卵は、生まれる前、胎児のお腹にいる頃からずっと生き続けてきた細胞です。
排卵までには長い時間がかかるため、卵は卵巣内で様々なストレスにさらされ続け、卵子の減数分裂がうまくいかず染色体異常の卵子が増えたり、卵子細胞質でのミトコンドリア機能が低下したりして、その「質」が低下します。
しかし、卵巣中の卵の中には、影響を大きく受けたものもありますし、影響が小さいものもあります。染色体への影響やミトコンドリアの機能の低下などは顕微鏡では観察できませんので、見た目では質が良いかどうかはわかりません。
治療を受けていててもなかなか妊娠しない・・・、卵の質が悪いからもう無理かもしれない・・・と思い悩む方がもいらっしゃるかと思います。
でも、その結果だけで卵巣に残っている卵がすべてダメということにはなりません。
一人ひとりその割合は異なりますが、質の良い卵が卵巣に残っている可能性は十分にあります。
確かに時間がかかることはありますが、自然周期でも、人工授精でも、体外受精でも、顕微授精でも諦めずに続けていくことが重要です。そしていつ質の良い卵が排卵されてもよいように、体の環境をより良い状態に準備しておく必要があります。質の良い卵が排卵されても、その後の環境が悪ければ、卵の質以外の要因で、うまくいかなくなってしまいます。
時間の影響を受けて生きている以上、日々卵の質の低下は避けられませんが、その影響を極力減らし、また、卵の質以外の要因を改善し、妊娠・出産への可能性を低下させないようにする方法があります。
その1つが「漢方」です。
漢方では、卵の質を低下させる酸化ストレス、糖化ストレスの軽減、血行不良の改善、質の良い睡眠への手助けなど、多くの面で妊活には有用です。
また、近年の研究で従来の「補腎」や「周期療法」を用いた処方以外に、特殊な漢方処方を用いることで、その可能性を高めることができる研究方向もあります。
諦めずに続けて、そして漢方を併用することで妊娠・出産にたどり着ける可能性は高まります。
また、漢方でも、エキス剤(粉薬)ではどうしてもその加工過程で取り除かれてしまう有効成分もあるため、漢方の効果を十分に発揮させるには「煎じ薬」が勧められます。エキス剤(粉薬)がダメとういうわけではありませんが、まずは煎じ薬を試してもらいたいと思います。
妊活では、ぜひ漢方煎じ薬を併用してみてください。
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