副鼻腔炎(蓄膿症)の漢方治療について

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

副鼻腔炎は慢性化するとなかなか治りにくく、病院での治療も長期に渡ることも多いため、治療をあきらめてしまったりしている方も多いようです。

 

ここで、炎症が起こっている「副鼻腔」の場所について再確認してみたいと思います。「副鼻腔」は鼻の周囲にある空洞で、左右にそれぞれ4対、計8個の空洞があります。

 

これらの空洞は

 

・ひたいの前にあるのが、「前頭洞(ぜんとうどう)」

・目の間にあるのが「篩骨洞(しこつどう)」

・頬骨の奥にあるのが「上顎洞(じょうがくどう)」

・目や鼻の奥の方にあるのが「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」

 

と呼ばれています。

 

副鼻腔炎、蓄膿症(相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院)

 

副鼻腔は粘膜で覆われており、鼻の中(鼻腔)とつながっています。副鼻腔には通常は空気で見たされています。ここに何らかの原因で炎症が生じると、鼻が詰まったり、痛みが起こります。

 

炎症が慢性化すると「膿」が副鼻腔に溜まったりします。そのため「蓄膿症」とも呼ばれています。また、粘度の高い膿が喉の方に流れ落ちる「後鼻漏」が起こることも多くなります。後鼻漏は喉の違和感や、異物感、咳、口臭が生じるなど、頻繁にみられるようになります。

 

通常でも鼻水は喉の方に流れ落ちて排泄されるのですが、粘度が高かったり、量が多くなると自覚するようになります。副鼻腔炎が慢性化すると、鼻茸(ポリープ)ができて、匂いを感じにくくなったり、また全身性に疲労感や集中力が低下したりすることもあります。

 

 

中医学における副鼻腔炎とは

副鼻腔炎、蓄膿症は中医学では鼻淵・脳漏、脳滲などと呼ばれています。昔の人は鼻の奥には脳があると考えていたため、このような名前が使われてきました。

急性の副鼻腔炎は抗生物質、消炎鎮痛剤が効果的ですが、慢性化した副鼻腔炎の治療には、体質改善効果もある漢方が効果的です。

 

 

副鼻腔炎の病因病機(病気の成り立ち)と処方について

中医学では副鼻腔炎は大きく分けて4つの原因があります。

 

1 肺経風熱

風熱の邪毒が肺を襲う、または風寒が侵襲して鬱して火となり、風熱が肺経を壅遏して肺が清粛を失い、肺の経絡にそって邪毒が上昇し、鼻竅を塞き粘膜を傷つけます。

症状としては、鼻水が黄色、または白色で多い、嗅覚が減退、悪寒、発熱、頭痛、咳、痰が多いなどなどの症状を伴うことがあります。

治療方法は、「疏風清熱・宣肺通竅」で、処方は「辛夷清肺湯」「蒼耳子散」などが使用されます。

 

2 胆腑鬱熱

胆は剛臓といわれ、情緒の変動を受けやすく、また相火を内蔵しその気は脳に通じます。もし情志が不暢となると鬱して化熱します。その熱は胆を傷つけます。さらに上に昇り脳を傷つけその影響は鼻竅にも及び、鼻粘膜を傷つけ、津液はその熱により黄色くて粘り気のある鼻汁となります。

症状としては、鼻づまり、頭痛が比較的強い、鼻水が多く黄色で臭う、嗅覚はさほど低下しない、発熱、口渇、便秘、口の中に苦味を感じるなどの症状を伴うことがあります。

治療方法は「清瀉肝胆、利湿通竅」で、処方は「竜胆瀉肝湯」「荊芥連翹湯」「柴胡清肝湯」などが使用されます。

 

3 脾胃湿熱

お酒の飲みすぎ、甘いものの過食など、飲食の不摂生により、湿熱が生じ、脾胃の運化機能が失調し、清気が上昇せず、濁陰も下降しません。濁陰は停滞し熱を帯び、湿熱邪毒となり胃の経絡にそって上昇し、鼻腔を塞ぎ、粘膜を傷つけます。

症状としては、鼻水が多く黄色く臭う、症状がなかなか良くならない、鼻づまりがややひどい、嗅覚がなくなる、めまいや頭痛、食欲不振、下痢などの症状を伴うことがあります。

治療方法は「清脾瀉熱、利湿降濁」で、処方は「藿香正気散」「茵蔯五苓散」「黄芩滑石湯」などが使用されます。

 

4 肺脾気虚

炎症が長期にわたって続くと、脾と肺の気が消耗、損傷します。脾虚となると気血の生成不足により営気が不足し、営気が鼻竅まで上布することができなくなります。肺気虚となると体の防御する働きのある衛気が不足し邪毒に侵襲されやすくなり、また清粛不利になり邪毒が鼻竅に停滞、塞ぐことで粘膜を傷つけます。

症状としては、鼻づまり、症状がなかなか改善しない、鼻水が時に多く時に少ない、めまい、記憶力減退、嗅覚減退、顔色につやがなく黄色っぽいまたは白い、下痢、倦怠感、息切れなどの症状を伴うことがあります。

治療方法は「温補肺脾、袪湿散寒」で、「温肺止流丹+参苓白朮散」「補中益気湯+小青竜湯」などが使用されます。

 

西洋医学での治療をしてもなかなか良くならない、治っても繰り返し起こってしまうことが多く日常生活に支障をきたすこともしばしばある副鼻腔炎ですが、漢方が有効なことが多い疾患の1つです。

 

中医学的なアプローチで症状改善+根本治療(体質改善)でお手伝いをしますのでご相談ください。

 

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