内膜の厚さと多血小板血漿(PRP)療法

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

「内膜の厚さ」は移植できるかどうかの指標の1つです。

内膜の厚さは 8mm 前後が目安になることが多いと思いますが、これ以下だと着床率が低下したり、着床しても胎盤がうまく作られなくことがあったり、また妊娠中の合併症のリスクも高まりますので、移植周期で薄すぎる(7mm 未満)場合はキャンセルになることがほとんどです。

内膜が厚くならない場合は、エストロゲン製剤を使用したり、すでに投与中であれば増量したりします。このほか、hMG、G-CSF、シルデナフィルなどが使用されることもあります。

 

これらの薬剤を使用することで子宮内膜は厚くなりますが、一方で、着床率には変わりがないとする報告もあります。

薄すぎる(7mm 未満)場合は着床率以外の問題もあるため内膜は厚くする必要がありますが、境界線上にある場合は、無理やり厚くしてもあまり変わりないのであればそのままでも良いとする考え方もあります。しかし、厚さに「余力」がある方が対応はしやすいですし、気持ち的にも安心感があります。

 

薄い内膜への対応策として、未だ確立された方法はありませんが、新しい方法も試みられています。

 

その治療法の1つに PRP(Platelet Rich Plasma=多血小板血漿)療法があります。

 

PRP療法は、2015年に子宮内膜発育促進作用が報告されてから、その有効性ついての報告が増えています。

PRP は本人の血液を採取し遠心分離器にかけて「血小板」が多く含まれる成分を取り出します。

この部分には血小板だけでなく多くの「増殖因子」を含むため、子宮に注入することで子宮内膜を厚くし、着床率を改善させる効果が期待されています。

この治療法で使う成分は本人の血液から作るためアレルギーなどの心配がなく、安全性が高いという特徴もあります。

 

近年は PRP 使用による内膜厚、着床率の改善の報告がある一方で、これらのデータは小規模であり、現時点では確固たるエビデンスがあるわけではないため推奨されないと注意を促す報告もあります。

 

しかし、現状では子宮内膜が他の方法では厚くならない、着床率が改善しない場合は試みられることが増え、実際に改善するケースも多いことから、今後大規模なランダム化試験による検討が求められます。

 

今後に期待したい治療法です。

 

この治療は、実際はフリーズドライ加工した PRP(PFC-FD)を用いることが多く、この場合、採血し作成するまでおよそ3週間程度かかり、1回の採血で2回分作ることができます。

 

基本的には自分自身の血液を使用しますが、効果がない場合は自己の PRP よりも、非自己の PRP の方が内膜を厚くする効果が高いとする報告もあり、今度の発展に期待が高まります。

 

PRP の処理方法や注入のタイミングについてはまだ研究段階であり、これらが解明されることでもっとよい結果につながる可能性もあります。

 

PRP療法は、内膜にだけではなく、卵巣内へ注入することで、卵胞数や採卵数の増加も報告されています。この場合注入後2〜3ヶ月ごろから効果があらわれるようです。

こちらの治療法にも期待したいです。

 

今まで妊娠が難しかった状況にあったへの治療の選択肢が増えてきています。

さまざまな選択肢や治療法が増えるのはとても喜ばしいことではありますが、治療を受ける方の体調管理も重要です。

良い状態で治療を進めたり、治療効果が高まるようにするために漢方などの併用も検討してほしいと思います。良い結果につながりやすくなるようお手伝いいたします。

 

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