子どもが風邪を引きやすいと毎日がハラハラという保護者の方は多いと思います。もし毎日のちょっとした工夫で、あの長引く鼻水や咳、発熱を減らすことができたら…。
今回紹介する研究では、世界中の小児や青年を対象に「プロバイオティクス」の力を活用することで、呼吸器感染症を減らすことができるのかに迫りました。
はたして「プロバイオティクス」は子どもたちを守る頼もしい味方になるのか──そんな期待を胸に、この研究の内容をわかりやすく紐解いていきます。
🔍 世界中で増える子どもの感染症
保育園や学校など、子どもたちがたくさん集まる場所では、咳や鼻水が連鎖的に広がる光景がよく見られます。
実は、子どもがかかる呼吸器感染症のうち約9割近くが、鼻やのどなど上の呼吸器に起こる「風邪」の仲間です。
こうした感染症はただの体調不良で済まないことも多く、毎年たくさんの医療機関受診や入院の原因にもなっています。しかも最近は抗菌薬が効きにくい「耐性菌」が増えてきており、予防策の重要性がますます高まってきました。
🦠 プロバイオティクスって何?
「ヨーグルトや発酵食品のCMなどで耳にすることが増えた「プロバイオティクス」という言葉。
実はこれ、「体に良い影響をもたらす生きた微生物」のことを指します。腸内のバランスを整えたり、免疫の働きを助けるとされ、特に子どもの健康に注目されています。
しかし、「実際にどのくらい感染症を防ぐ力があるのか」や「どんな菌が一番良いのか」は、これまでの研究でははっきりしていませんでした。
今回の研究は、そうした疑問に答えるために、これまで世界中で行われた数多くの臨床試験をひとつにまとめて検証したものです。
📝 どうやって調べたの?
今回の研究では、世界中の論文データベースから、28日〜17歳までの健康な子どもや青年を対象にした臨床試験を徹底的に探し出しました。
その数はなんと936本。そこから重複や条件に合わないものを除き、最終的に32本の質の高い試験を詳しく分析しています。
合計8,415人もの子どもたちのデータが集まり、どんな菌を、どんな方法・量・期間で飲んだか、そして実際に風邪や肺炎などの呼吸器感染症にどの程度かかりにくくなったのかを細かく比較しています。
👦👧 実際にどんな子どもたちが参加したの?
今回まとめられた32本の研究には、生後1か月の赤ちゃんから15歳までの幅広い子どもたちが参加しています。
特に1歳から6歳の幼児が多く含まれていました。参加した場所もさまざまで、保育園や幼稚園、学校、家庭など、普段子どもたちがよく集まる環境が多かったのが特徴です。
また、重い基礎疾患や慢性的な呼吸器の病気を持つ子どもは含まれておらず、「健康な子ども」が中心でした。
🥛 どんなプロバイオティクスをどう飲んだの?
今回調べた研究で使われたプロバイオティクスは、ヨーグルトや牛乳、粉末、タブレット、さらには口にスプレーするタイプまで、本当にさまざまな形で取り入れられていました。
中に入っている菌も多彩で、ビフィズス菌や乳酸菌などよく知られているものから、あまり聞きなれない種類まで、全部で22種類が使われていました。
なかでも「ラクトバチルス」という乳酸菌の仲間が特に多くの研究で登場しています。
飲む量についても幅があり、たとえば「1000万個」から「100億個」までとさまざまでした。「1000万個」と言われてもあまりピンとこないかもしれませんが、一般的なヨーグルト1個には数十億個の菌が含まれているので、各研究で使われた量は、だいたい「ヨーグルト1~2個分」くらいに相当します。
また、飲み方や続ける期間も研究ごとに違いがあり、1日に1回だけ飲む方法や、朝晩2回飲む方法、もっと多い場合もあり、続ける期間も最短で2か月、長いものでは5年近く続けた例もありました。
普段の生活リズムの中でも無理なく続けられるように、各研究でいろいろな工夫がされていました。
📉 効果はどれくらいあったの?
プロバイオティクスを飲んだ子どもたちが、実際にどのくらい呼吸器感染症になりにくくなったのかも詳しく調べられています。
全部で32本の研究のうち、25本(約8割)で「プロバイオティクスを飲んだグループのほうが、風邪や咳などの感染症にかかる回数が少なかった」と報告されました。
実際、感染症の発症率は、プロバイオティクスを飲んだグループで平均42%、飲まなかったグループでは59%となっており、「およそ1.5倍ほど発症を防げた」という結果になっています。
また、多くの研究で乳酸菌の仲間が使われていて、特に「LGG株」という菌を保育園や学校で使った研究では、効果が高い傾向がありました。
一方で、すべての研究で効果があったわけではなく、約2割の研究では「差がなかった」とされています。使われた菌の種類や飲み方、続けた期間などが異なるため、効果に違いが出ているようです。
🔬 研究の信頼性と課題
今回集められた研究は、どれも「信頼性の高い方法」で行われていますが、完璧とは言えません。途中でやめてしまう子どもが多かったり、なぜやめたのかがはっきり書かれていない研究も含まれていました。こうしたドロップアウトの多さは、結果の正確さを弱めてしまう要因です。
また、プラセボ(偽薬)を飲んでいた子どもたちの発熱や風邪の期間が長めに出ていた研究もありました。この場合、プロバイオティクスの効果が本当より大きく見える可能性もあるため、注意が必要です。
さらに、菌の種類や飲み方、続ける期間がバラバラだったので、「どの菌が一番効くのか」「どれくらい続ければいいのか」はまだ分かっていません。安全性も、多くの研究で大きな問題はなかったとされていますが、報告の仕方が統一されていないため、今後もっと詳しい評価が必要です。
🌏 中医学とのつながりは?
今回の研究が示すように、プロバイオティクスは毎日の生活に無理なく取り入れられる「身近な健康サポート」として期待されています。たとえば、ヨーグルトや発酵食品を食卓に加えるだけで、子どもたちの体調を守る小さな工夫につながるのは嬉しい発見です。
こうした「腸から体を守る」という考え方は、中医学でも昔から大切にされてきました。中医学では、腸はただの消化器官ではなく、全身の健康を支える「土台」のような存在です。腸がしっかり働くことで「気(き)」や「血(けつ)」といった体のエネルギーや栄養が全身に行き渡り、外からやってくるウイルスや細菌に対する「バリア」(中医学では「衛気」といいます)」が強くなると考えられています。
さらに、中医学では「脾(ひ)」という臓器が食べ物をエネルギーに変え、体の抵抗力=免疫力を高める中心的な役割を持っています。腸のバランスが乱れると、脾の働きも弱まり、体調を崩しやすくなります。プロバイオティクスは、この「腸の健康バランス」をサポートすることで、現代医学でいう「免疫力アップ」や「感染症予防」にも役立つと考えられます。
昔から大切にされてきた「腸の元気」が、現代医学と中医学、両方の視点から再び注目されていることは、とても興味深いポイントです。
🍀 これからの健康づくりとプロバイオティクス
プロバイオティクスは、子どもたちの呼吸器感染症を予防する手段の一つとして、いま大きな注目を集めています。
今回の研究でも、多くのケースで風邪や発熱の回数や期間を減らせる可能性が示されました。ただし、途中でやめてしまう子どもが多かったり、研究ごとに飲み方や菌の種類が異なっていたため、「本当にどこまで効果があるのか」については、まだはっきりとした結論は出ていません。
それでも、ヨーグルトや発酵食品のような身近な工夫が、日々の健康づくりに役立つ可能性は十分あります。腸を元気にすることが、体全体のバランスや抵抗力を支える──そんな知恵は、中医学でも現代医学でも共通して大切にされてきた考え方です。
これからも、より質の高い研究が進むことで、プロバイオティクスの本当の力が明らかになっていくことが期待されます。
子どもたちの健やかな毎日のために、「腸を整える」という小さな習慣を取り入れてみるのも一つの選択肢です。
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