👓 「かけているとなんとなく安心」──実際どうなの?
「スマホやパソコンを長く見ると、目が疲れる」「夜にブルーライトを浴びると眠れなくなる」──こんな声に応えるかのように、ブルーライトカット眼鏡は一気に広まりました。
レンズにうっすら黄色みがかかっているだけで、なんとなく目に優しそうに感じる人も多いかもしれません。
けれども、実際のところ「目の疲れが減った」「睡眠の質が良くなった」といった効果は、医学的にどこまで裏付けられているのでしょうか。
今回取り上げるのは、国際的な医学レビュー機関「コクラン(Cochrane)」によって2023年にまとめられた、ブルーライトカットレンズに関する信頼性の高い研究です。
視力や眼精疲労、さらには黄斑(網膜の中心部)への影響、そして睡眠との関係までを網羅的に検証しています。
中医学では、「目」は「肝」と深い関係があるとされます。
「肝血(かんけつ)」の不足や巡りの悪さが目の働きに影響すると考えられており、五臓のバランスを整えることも視力ケアの一環とされています。
現代医療との接点を見つけながら、ブルーライトカットの意義を見直してみると、新たな気づきが得られるかもしれません。
では、続きを見ていきましょう 👀
🌙 睡眠への影響はあるのか?──期待と現実のギャップ
「夜にスマホを見ると眠れなくなる」という話は、日常でもよく耳にしますし、体感としてもそう感じている人は少なくないと思います。
その背景には、ブルーライトが「体内時計を狂わせる光」として注目されていることがあります。脳が「今はまだ昼間だ」と勘違いして、眠気を遠ざけてしまう──そんな説明を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
こうした考えから、夜間のスクリーン使用に備えてブルーライトカットレンズを取り入れる人が増えています。
今回のレビューでは、ブルーライトカットレンズが睡眠に与える影響についても検討されていました。対象となったのは6件の研究で、睡眠の質や入眠のしやすさ、睡眠ホルモンであるメラトニンの変化などが評価されています。
結果は分かれており、睡眠が改善したとする研究もあれば、明確な差がなかったとするものもありました。測定方法や評価の仕方にばらつきがあり、効果の有無を一概に判断することは難しい状況です。
そもそも睡眠は、生活リズムや光環境、ストレスなど多くの要因に左右されるため、ブルーライトだけが影響しているとは限りません。レンズの効果を単独で評価するには限界があり、睡眠への影響も慎重に捉える必要があります。
👁 黄斑の健康との関係──ブルーライトは網膜に悪いのか?
ブルーライトが「目の奥にある大事な部分を傷つけるのではないか」と心配する声もあります。
特に、視力の中心を担う「黄斑(おうはん)」という部分への影響が心配されています。
この部分は加齢とともに変化が起こりやすい部位であることから、ブルーライトを遮ることで将来的な病気──たとえば「加齢黄斑変性」を予防できるのではないか、という期待もあります。
この点について、今回のレビューでも調査は行われていました。黄斑の構造や機能に関する評価項目を含む研究を探し、ブルーライトカットレンズの効果を検討しているのです。
ただし実際のところ、そうしたデータをしっかり取っている臨床試験は非常に少なく、判断に足るだけの証拠は集まっていませんでした。
さらに、黄斑の変化を確かめるには、長期間にわたる観察や専門的な検査が必要ですが、今回のレビューに含まれている研究は、すべて短期間(最長で5週間)のものでした。
こうした点から、現時点では「ブルーライトをカットすれば黄斑の病気を防げる」という考えを裏づける根拠はなく、今後のさらなる研究が必要だとされています。
🌱 中医学的に見る「目」と「ブルーライト」
中医学では、「目」は「肝(かん)」の働きと深く結びついていると考えられています。
肝は「血(けつ)」を貯蔵し、その血が目に栄養を与えるとされており、とくに目の疲れやかすみ、乾きなどは「肝」の不調と関連づけて説明されることがあります。
また、目の使いすぎは「血」の消耗にもつながるとされ、「血」を貯蔵している「肝」の機能を弱め、全身のバランスを崩す一因として捉えられています。
これは、現代医学でいう「眼精疲労」や「自律神経の乱れ」といった概念に近い面もあるかもしれません。
こうした視点で見ると、ブルーライトカットレンズの使用は「目に余計な刺激を入れないようにする」工夫の1つとして位置づけることができます。
ただし、それが根本的な解決策になるとは限りません。
中医学では、目の不調に対しては刺激を減らした上で、肝を養い、血を補うことが基本のアプローチになります。光を遮るだけではなく、全身の状態を整えることが、より本質的な対策になるという考え方です。
ブルーライトカットレンズは、そうした体全体のケアの一部として助けにはなりますが、それだけでは不十分で、包括的なアプローチが必要だというのが中医学の立場です。
🤓 道具に頼る前にできること
ブルーライトカットレンズは、「目に優しそう」という印象から多くの人に選ばれています。
ただ現時点では、視力や目の疲れ、睡眠への効果についてはっきりとした医学的な根拠があるとは言えず、黄斑への影響についても、十分な研究がそろっているとは言い難いのが実情です。
それでも、光の刺激がやわらぐことで「楽になった気がする」と感じる人がいるのも事実です。そうした感覚を大切にしながら、自分の目の状態やライフスタイルに合った使い方を見つけていくことは、日々のセルフケアとして十分に意味があります。
ただし大切なのは、「レンズ」だけに頼るのではなく、目の使い方そのものを見直すこと。
作業環境の整え方、適度な休憩、睡眠の質、そして体全体のコンディション──そうした日々の積み重ねが、結果として目にもやさしい生活をつくっていきます。
中医学では、目の状態は体内のバランスを映し出すものと考えられています。全身の健康状態が目に表れることも少なくなく、目の不調は必ずしも目だけの問題とは限りません。
だからこそ、目に違和感を覚えたときには、目だけでなく、からだ全体の状態や生活環境を整える視点を持つことが大切です。
ブルーライトカットレンズは、そうした気づきを得るきっかけの一つ。うまく取り入れながら、目も体も、より健やかに保てる日常をめざしていきたいところです。
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