ネクタイを締めた「その瞬間」、脳に何が起きているのか」

目次

👔 首元のわずかな変化はどこまで影響するのか

朝、ネクタイをキュッと締めると、気持ちが引き締まるように感じることがあります。

身なりが整うその一方で、首まわりには小さな変化が起こっています。普段は意識しないその変化が、体の内側ではどの程度の影響を及ぼしているのか──。

首まわりには血管や神経が集まっており、小さな圧でも反応が生じやすい場所です。そのため、こうした変化がどの程度体の内側に影響するのかは気になるところです。

医療現場ではネクタイが衛生面で問題視されたり、強めに締めることで眼圧が変化するという報告があったりと、首元と体の関係には以前からいくつかの指摘がありました。それでも、首を締めつけたとき体の内部で何が起きているのかについては、まだ十分なデータがあるとはいえません。

今回紹介する研究は、ネクタイをきっちり締めたときに体の流れがどのように変わるのかを、丁寧に調べたものです。

中医学では、首は気血が通る要所とされ、小さな刺激でも変化が現れやすい部位と考えられています。その視点を重ねると、研究で見えてくる反応がより身近なものとして理解できていきます。

わずかな締めつけでも、体は思っている以上に敏感に反応することがあります。

では、どのような変化が確かめられたのでしょうか。

続きを見ていきましょう。


🔍 どんな研究?

この研究に参加したのは、健康な若い男性30名。

研究では、普段の首元の状態と、ネクタイをきっちりキュッと締めた状態を比べて、体の流れがどう変わるのかを見ています。

参加者は2つのグループに分かれ、一方はネクタイを締めた状態、もう一方はネクタイなしで測定を受けました。

普段の生活でも起こりやすい「首元が少し締まる」場面をそのまま再現し、そのとき体の中で起きている変化を丁寧に追った点が、この研究の特徴です。


🩸 体の「流れ」はどう測った?

研究では、体の流れをとらえるために特別なMRIを使い、「脳にどれくらい血が届いているか」を数値として測定しました。

さらに、首の静脈の流れも同時に調べることで、ネクタイを締めたときに体の巡りがどのように変わるのかを、より立体的に捉えています。

参加者は、首元を緩めた状態・ネクタイを締めた状態・再び緩めた状態の3つのタイミングで測定を受け、その違いを比べていきました。


📉 「ネクタイ」で流れはどう変わった?

測定の結果、ネクタイをキュッと締めたとき、脳へ向かう血の流れが低下していることが確認されました。

研究では、ネクタイ着用中の脳血流量が締める前と比べて平均7.5%ほど低下しており、この数字は「体が負荷を感じている」変化といえます。

さらに興味深いのは、ネクタイをゆるめたあとでも、すぐに元の状態へ戻らず、やや低い値のまま続いていたことです。

一方、ネクタイを着けずに測定を受けたグループでは、このような変化はほとんど見られませんでした。つまり、首元を締めるかどうかという違いだけで、脳の「めぐり」に差が生まれていたということです。


🧠 脳の「めぐり」と首元の関係

ネクタイを締めたときに脳の血流が少し下がったという結果は、首元のわずかな変化でも体が反応していることを示しています。

この結果から「首」への外的な刺激に対して、脳の流れが敏感に影響を受けていることが読み取れます。

また、ネクタイをゆるめてもすぐに元の状態に戻らず、少し低いまま続いていた点は、短時間の刺激でも体の内部ではしばらく影響が残る可能性を示しています。

ネクタイの有無だけで変化に差が出ていたことから、首元の状態が脳のめぐりに関わる場面があるという点が、この研究で明らかになったポイントです。


🌱 中医学の「めぐり」

中医学では、首は気血が通る重要な通り道とされています。

頭へ向かう複数の経絡がここで交わり、全身の巡りを支える要所として位置づけられています。首まわりは構造的に細く、気血が停滞しやすいと考えられる部位でもあり、外からの刺激の影響を受けやすい場所です。

そのため、首元が締めつけられると、気血の巡りが乱れやすくなると考えられています。外界の影響を受けやすい部位を圧迫しないようにすることは、巡りを保つうえでも大切です。


👨‍💼 ネクタイ、どうする?

研究では、ネクタイを締めたときに体に起こる変化をたどってきましたが、首元の締めつけが「血流」に影響していた点は興味深いところです。

脳の血流が下がったという結果は、日中の過ごし方や働き方にも影響が及ぶ可能性があります。そして、ネクタイをゆるめてもすぐに血流が元へ戻らなかったことを考えると、首まわりが受ける負担は思っているより大きいのかもしれません。

この研究は健康な若い男性を対象としたもので、すべての人に同じ変化が起きるとは限りません。それでも、首元の状態が脳のめぐりと関わるかもしれないという示唆は、「ネクタイをどう扱うか」を考え直すきっかけになります。

ネクタイは必要な場面では整えて使い、そうでないときは少し緩めておく。無理に締めつけないよう意識してみる──そんな小さな工夫でも、体にとっては巡りの余白が生まれます。日々の調整が、自分の調子を支える心強い味方になっていきます。

そして、時には「しない」という選択肢があっても良いのかもしれません。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます

「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
  と感じている方へ

漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

漢方薬局・鍼灸接骨院

吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》

目次