こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
妊活でステップアップはいつするのが良いのか
不妊治療で人工授精(AIHまたはIUI)がうまくいかない時にどのタイミングでステップアップしたら良いのか、相談を受けることがあります。
今回は人工授精(以下「IUI」)での妊娠率のデータからそのタイミングはいつなのかを考えてみたいと思います。
*AIHは「artificial insemination with husband's semen」の略で、「配偶者間人工授精」のことを指します。夫の精子を妻の子宮腔内に注入する方法です。
人工授精
人工授精はAIH(Artificial Insemination with Husband’s semen)ですが、その方法には、いくつかあります。
調整した精子の懸濁液約0.2~0.5mlを子宮腔内に注入する方法を子宮腔内人工授精(IUI:intrauterine insemination)といい、そのほか
頚管内注入(ICI: intracervical insemination)
腹腔内注入(DIPI:direct intraperitoneal inseminatin)
卵管内注入(FSP: fallopian tube sperm perfusion) があります。
人工授精は「AIH」と表現している場合がありますが、通常そのままの精液を使用することはなく「IUI」の場合が多いようです。
IUIはタイミング法(Timed intercourse :TI)では妊娠に至らなかった場合の次のステップで行うことが多い治療法で、TIとともに「一般不妊治療(自分の卵管を使用した治療法)」と呼ばれます。
具体的には以下の様な方がIUIの適応になります。
◎ 乏精子症(精子濃度1,500万/mL未満)
◎ 精子無力症(運動率40%未満、前進運動率32%未満)
◎ 性交障害、勃起障害
◎ 精子頸管粘液不適合(フーナーテスト不良)
◎ 抗精子抗体陽性
◎ 原因不明不妊症(他の検査では問題ないにも関わらず妊娠しない)
人工授精とタイミング法の西洋医学的な成功率
IUIを行った際の妊娠率は1周期で約5%といわれています。TIの場合は約3%との報告があります。
ステップアップのタイミング
IUIでの妊娠例では最初の3~4周期で妊娠に至るケースが多く、4~6周期で妊娠しない場合は次のステップに進むことが多いようです。(日産婦誌60巻12号:pdf)
IUIからステップアップすると費用が高額になることもあって先に進むことをためらったり、またできるだけ自然に近い形で妊娠をしたいという思いからIUIを続ける方もいらっしゃいます。
1周期あたりの妊娠率が低くても、回数を重ねることで確率も上がっていくのではないか・・・と考えることもできますが、実際はそうではなく、5~6周期で20%程度で妊娠率は頭打ちになります。さらにこれは平均年齢が35歳以下のデータによるものです。
これ以上の年齢では、海外のデータではありますが、年齢を重ねることで妊娠率や頭打ちまでの回数が低下します。
上記の報告によると
38~39歳では2周期
40歳以上では1周期
がステップアップの目安のようです。
36歳~37歳のデータはありませんでしたが、これらをもとに考えてみると
36歳~37歳では3~4周期
が目安になると考えられます。
病院でのステップアップのすすめはこのようなデータに基づいてされていると思われます。
ステップアップは必要?
もちろん、これらはデータからの目安であり、必ずしもこの周期を経てステップアップしなければならないというものではありません。この回数しかIUIができないというものでもありません。
妊娠率に影響をあたえる最大の要因は「年齢」であることから、卵の質のことやステップアップして行う体外受精の成功率を高めるためには、IUIを何度も続けることは必ずしもメリットになるとは言えず、科学的なデータと、一人ひとりの環境とをあわせて考えた上で、効果的な方法を選択することが重要になります。
漢方・鍼灸の併用を
不妊治療では漢方・鍼灸が西洋医学的な治療に併用されることが多いです。
西洋医学的な治療をせずに漢方・鍼灸で妊娠に至るケースはありますが、効果的な方法としては西洋医学との併用が効果的です。単独では西洋医学と同様の効果をあらわすのは難しいのですが、西洋医学の治療成果の向上につなげることはできます。
西洋医学的な治療で疲弊した心や体を癒すことができます。
西洋薬の副作用を軽減することができます。
原因不明不妊に対してもアプローチすることができます。
不妊治療はぜひ西洋医学と東洋医学・中医学の統合医療で行うことをおすすめします。
人の体の仕組みはまだまだわからないことだらけです。異なる視点で問題にアプローチすることが妊娠率の向上につながります。
漢方・鍼灸の併用で病院で「ステップアップしないと無理です」と言われた方が実際に妊娠するケースがあります。
病院でそのことについて話すと、「たまたまでしょう」といわれたりもしますが、「たまたま」として処理するには無理がある症例が報告されています。多くの病院や専門のクリニックで漢方・鍼灸を取り入れている現実がそれを証明しています。
ここで重要なのは、西洋医学の治療にいかに上手に東洋医学を組み合わせられるかです。ただ漢方・鍼灸を併用すれば効果が出るわけではありません。漢方・鍼灸治療を併用される場合、漢方薬局・鍼灸院選びは慎重に行ってください。
西洋医学ではエビデンスに沿った治療を、東洋医学ではエビデンスでは解決できない問題にアプローチをすることで、きっと思い描く結果に近づけると考えています。ぜひ、漢方・鍼灸を上手に取り入れてください。
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タナココ
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