サウナは「整う」だけじゃない?

健康と長寿に関する最新研究を医学と中医学で読み解きます

目次

🔎「気持ちいい」のその先にあるもの

サウナに入ったときの、あのじんわりとした温かさ。

肌がほぐれ、呼吸が深まり、なんとも言えない安らぎが全身を包むあの時間。最近では「整う」という言葉で、その心地よさを表す人も増えてきました。

けれど、サウナがもたらすものは、気持ちよさだけではないかもしれません。ある研究が、私たちの健康や体に与える「ある影響」に注目して、20年以上にわたって「サウナー」な人々を追いかけました。

その結果、ある「傾向」が見えてきたのです。

しかも、それは現代医学だけでなく、中医学の考え方とも不思議と重なっていきます。

どうして温かさが身体にいいのか?
どれくらい入ると、何が変わるのか?

──そんな疑問に、東フィンランドから届いたデータが、静かに答え始めています。


📘 誰が、どれくらい、どんなふうに?

今回の研究は、フィンランド東部のクオピオという地域に住む中年男性たちを対象に行われました。

年齢はおおむね40代後半から60代前半。対象者は合計で2315人です。

この人たちに、「週にどれくらいサウナに入るか」「1回にどれくらい入っているか」などをアンケート形式で聞き取りました。

たとえば週1回、2〜3回、4〜7回というように頻度でグループ分けされ、滞在時間も「11分未満」「11〜19分」「20分以上」の3つに分けられています。

そして、ここからがすごいところ。

研究は1980年代に始まり、2011年までの20年以上にわたって、彼らの健康状態が追いかけられました。

また、もともと心臓に病気を抱えていた人や、血圧・血糖・運動習慣・喫煙なども記録され、分析の際にはこれらの影響がちゃんと調整されています。

つまり、ただ「サウナ好きは健康」ではなく、「他の要因を差し引いても関係があるのか?」を丁寧に見ているわけです。

ちなみにこの調査で対象となったのは、平均温度約79℃、湿度10〜20%の伝統的な「フィンランド式サウナ」。室温の情報は、設置された温度計をもとに参加者が自己申告しています。


📊 サウナの回数と時間で、こんなに差が出た!

長期間にわたって追跡した結果、参加者の中には心臓の病気で亡くなった人もいれば、さまざまな原因で亡くなった人もいました。研究チームは、それらのデータとサウナの入り方を照らし合わせていきました。

まず注目されたのは、「週に何回サウナに入っていたか」。

週1回しか入っていなかった人と比べて、週4回以上入っていた人では、心臓関連の死亡リスクが明らかに低くなるという傾向が見つかりました。

さらに、1回の滞在時間についても興味深い結果が出ています。

10分未満の短時間よりも、20分以上入っていた人のほうがリスクが低かったというデータが出てきたのです。

ただし、週2〜3回のサウナや、中くらいの滞在時間でもややリスクは下がっていましたが、統計的には「はっきり有意」とまでは言えませんでした。明確に差が出たのは、「高頻度」かつ「長時間」のサウナです。

全体として、サウナの頻度と時間が多い人ほど、健康リスクが低い傾向があり、それが段階的に見られた、というのがこの研究の特徴です。


🧠 体を温めることで、心臓にどんな変化が?

サウナに入ると、体温が上昇し、皮膚の血管がゆるみ、全身の血流が促されます。心拍数も自然と上がり、これは軽い運動をしているときと似たような身体の状態です。

こうした反応が、心臓や血管に対して適度な刺激を与え、血圧の安定や血管のしなやかさの維持につながっている可能性があります。

とくに高頻度でサウナを利用していた人では、心臓や血管の病気による死亡が少ない傾向が見られたことは注目に値します。

今回の研究では、入浴の回数や滞在時間が多い人ほど、健康上のリスクが段階的に低くなっていた点が特徴的でした。これは、サウナが継続的な習慣として体に良い影響を与えている可能性を示すデータと言えます。

もちろん、観察研究である以上、はっきりと「サウナが原因」とは言い切れません。それでも、このような傾向が安定して見られたという事実は、日常生活の中でサウナをどう取り入れるかを考えるうえで、大きなヒントになりそうです。


🌿 中医学から見るサウナの意味──「巡りを整える時間」

中医学では、健康を保つうえで大切なのは「気(き)」や「血(けつ)」が体を滞りなく巡っていること。

その巡りを助ける方法のひとつが、「体を温める」ことです。

サウナのように「体を温める」ことは、巡りを促す養生のひとつ。

中医学でいう「陽気(ようき)」は、体を動かすエネルギー。この陽気が不足すると、冷え、だるさ、むくみ、めまいなどの不調が起こりやすくなります。

今回紹介された研究では、サウナに「頻繁に」「一定の時間」入っていた人ほど、心臓や血管の病気リスクが低い傾向が見られました。

中医学の視点からも、「温める習慣」は「気」や「血」の巡りを整え、体のバランスを保つことにつながると解釈できます。

また、年齢とともに「陽気」は少しずつ減っていくと考えられています。
とくに中年期以降は、冷えやすさや疲れやすさを感じやすくなる時期。サウナは、体をやさしく温めながら、無理なく日常に取り入れられるおすすめの養生法です。

ただし、汗をかきすぎると「気」や「津液(しんえき)=体のうるおい」まで一緒に失われてしまいます。汗がうっすらにじむくらいを目安に、心地よい範囲で楽しむようにしましょう。


📝 「整う」から「養う」へ

今回の研究は、サウナがただのリラックスの場ではなく、健康に関わる生活習慣になり得ることを示しました。

週に何回入るか、どれくらいの時間入るかという違いが、心臓や血管の健康指標と関連していたのです。

もちろん、これはフィンランドの乾式サウナを対象にした観察研究であり、他の文化や入浴法にそのまま当てはめることはできません。それでも、「体を温める習慣」が健康に良い影響をもたらす可能性を裏付ける、大規模で信頼性の高い報告といえます。

生活に取り入れるときは、自分の体調に合わせて無理なく楽しむことが大切です。週に数回、心地よい範囲で入ることが、心と体をリフレッシュさせ、日常に活力を与えてくれるはずです。

中医学でも、体を温めることは「巡り」を良くするとされており、サウナはそうした伝統的な養生法とも重なります。

難しく考えすぎずに、「温めてすっきり」を楽しむこと。それが自然と、体を整える習慣になっていきます。

大切なのは、自分の体調や体質に合った入り方を見つけること。汗をかきすぎない範囲で、週に数回の「温め習慣」を続けていくことが、体を「整える」だけでなく、「養う」時間にもなります。

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