カロリーをちょっと減らしたら何が起こるのか

目次

🍽️ 健康な人が「ほどほどダイエット」すると何が起きる?

痩せたいわけじゃないし、健康診断もA判定。だけど、少しだけ食べる量を減らしたら体はどうなるんだろう?

そんな素朴な疑問から生まれたのが、この研究です。

舞台はアメリカ。集まったのは、肥満でもなく病気もない、21〜50歳の健康な大人たち。彼らが2年間、少し控えめな食生活を続けたら体の中で何が起きるのか──その様子を丁寧に追いました。

面白いのは、「健康な人」だけを対象にした点。治療ではなく、「もっと健康でいるためにはどうすればいいか?」という予防の視点で行われた、ちょっと珍しい臨床試験なんです。

実はこうした「食べすぎない」という考え方は、中医学でも大切にされています。中医学では、「脾」と「胃」が食べたものを消化し、全身にエネルギーを巡らせるとされます。けれど、食べすぎや偏りが続くと、巡りが悪くなり、「痰」や「湿」といった不要なものが溜まりやすくなって、体の不調や病気のもとになると考えられています。

つまり、「ほどほどに食べる」ことこそが体を整える鍵──。

この研究は、その中医学の知恵を、現代の科学の力で確かめようとした挑戦でもあるのです。


🧪 食べる量を「ちょっと減らす」とは、どんな実験?

この研究の名前は「CALERIE試験」。

正式には「Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy」。

つまり、「カロリーを減らすと体はどう変わるのか?」を2年間かけて調べた実験です。

カロリー制限グループは、最初の1か月間に1日3食を提供されるトレーニング期間からスタート。

その後も定期的に食事指導やカウンセリングを受けながら、2年間の節食生活を続けました。

参加したのは、21〜50歳の男女218人。
全員、肥満ではなく健康な人たちで、BMIは22〜27.9の範囲。
彼らは無作為に2つのグループに分けられました。

  • カロリー制限グループ:食事量を25%減らすことを目標に
  • 通常食グループ:いつもどおりの生活を続ける

研究チームは、体重や脂肪だけでなく、血圧・血糖・コレステロール・炎症マーカーなど、体の中の細かな変化まで徹底的に観察しました。

つまりこの研究は、「健康な人が少しだけカロリーを控えると、体の内側では何が起きるのか?」──その答えを探る、世界でも珍しい実験だったのです。


📉 さて、その結果は?

カロリーの25%の削減目標は想像以上に大変で、実際に達成できたのは平均で約12%の「ほどほどダイエット」でした。それでも、このわずかな違いが時間とともに確かな変化を生み出します。

まずは体重──平均 7.5kg 減少
しかもその7割以上が脂肪からの減少で、筋肉はしっかり残りました。

血糖値やコレステロール、炎症マーカー、血圧、インスリン感受性、代謝症候群スコアなど、「体の中身」を丸裸にするようにデータでは──

  • LDLコレステロール(悪玉)約7% ⬇️
  • HDLコレステロール(善玉)⬆️
  • 中性脂肪、約25% ⬇️
  • 血圧 ⬇️
  • 炎症マーカー(CRP)⬇️
  • インスリンの効きが良くなり、血糖コントロール改善 👍

興味深いのは、これらすべてが「もともと正常値だった人たち」に起きた変化だということ。つまり、「病気じゃないけど、より良い方向へ整っていった」わけです。

カロリー削減の実際は平均で12%。目標の25%には届かなかったものの、それでもこれだけの効果が得られました。

極端な制限ではなく、日常の中で「無理なく少し減らす」──そのくらいのペースこそ、無理なく続けられる最適点だったのです。

この研究が教えてくれるのは、「今、健康だからこそできる、未来のための調整」という考え方。

見た目の変化だけでなく、体の奥にある代謝や炎症のバランスを整えること。

それこそが、「ほどほどダイエット」がもたらす本当の力なのです。


🩺 無理なく続けるために──体への影響と安全性

「食べる量を減らす」と聞くと、少し心配になる人もいるかもしれません。
「ちゃんと栄養は足りるの?」「体調を崩したりしない?」と。
この研究でも、そうしたリスクをしっかりチェックしていました。

結果はというと──深刻な副作用はなし。

カロリーを減らしても、参加者のほとんどが健康的に2年間を完走しました。栄養バランスは維持され、筋肉量も大きくは減っていません。

「隠れた負担」が減ったとも考えられます。胃腸や代謝にかかるストレスが軽くなり、体が「ちょうどいい状態」に整っていったのです。

つまり、「少しだけ減らす」という工夫は、体に無理をかけるどころか、余計な負担を減らしてくれる調整法でもあるわけです。

この点が、「節制=我慢」ではなく、「節度=バランス」という考え方につながっています。


🌱 食べすぎないことの意味──科学と中医学、ふたつの視点から

この研究が注目される理由のひとつは、「健康な人」に焦点を当てている点です。

多くの栄養や運動の研究は、病気のある人や肥満の人を対象にしています。

でもこの研究は、すでに健康な人が「さらに良くなる」ための方法を、科学的に確かめようとしたものだったのです。

つまり、「今、問題がないから何もしなくていい」ではなく、「より整える」「より軽やかにする」という発想。それは、現代の予防医学にも中医学にも共通する考え方です。

中医学では、「脾」と「胃」が食べたものを消化・吸収し、全身にエネルギーを巡らせるとされます。

しかし、食べすぎや偏りが続くと、その働きが鈍り、体に「湿」や「痰」といった不要なものが溜まりやすくなると考えられています。それが巡りの滞りとなり、長い目で見れば不調や病気のもとになるのです。

今回の研究で示された、少し食事を控えることで炎症が減り、代謝のバランスが整うという変化は、まさにこの考え方と通じています。

つまり、「整える」ことが大切という中医学の知恵を、現代の科学が裏づけたとも言えるのです。

そしてもう一つの大切なポイントは、無理をしないこと。

食べすぎても、我慢しすぎても、体のバランスは崩れます。

「ほどほどに食べ、ほどほどに抑える」──この「中庸」の姿勢こそが、健康を長く保つカギ。

それを科学的に示したのが、このCALERIE試験だったのです。


💡 「少し」で体は変わる

この研究が教えてくれたのは、「健康な人でも、食べ方を少し見直すだけで体は確かに変わる」ということです。

特別な治療や極端なダイエットをしなくても、ほんの少しカロリーを減らすだけで、体の中では代謝や炎症、ホルモンのバランスが穏やかに整っていく。

それは、派手な変化ではないけれど、確実に「体の底力」を育てるような変化です。

大切なのは、「減らすこと」そのものではなく、「ちょうどよく食べる」という姿勢。

お腹いっぱいになる前に箸を置く。
必要なものだけを、感謝して取り入れる。

そんな小さな意識の積み重ねが、未来の健康をつくっていきます。

中医学でも、「過不足のない状態」が最も体にやさしいとされています。今回の研究は、その古くからの知恵を科学的に裏づけるような結果でした。

食べ方を少し整えるだけで、血液も代謝も、体の「流れ」そのものが変わります。

「ほどほどダイエット」は、見た目を変えるためではなく、生きる力を内側から育てるための習慣です。

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