こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「めまい」は医療機関の受診理由として多いものの一つです。しかし検査をしても異常が見つからないことも多く、ビタミン剤などを処方されて帰宅・・・ということもしばしばあります。
検査で問題が見つからない、異常がないと言われたものの、症状が繰り返しおこり、悩んでいるいる方も多いようですが、突然のめまいはそのままにしておくと危険を伴うこともありますので、やはり何らかの対策が必要になります。
めまいの治療には漢方も効果的ですので、悩まれている方は是非ご相談ください。
中医学におけるめまいとは
中医学のめまいは「眩量」といい、「眩」は目がまぶしい、目がくらむ、目がチカチカする、の意味で、「量」はフラフラすることをいいます。
症状が重い場合は、周囲がぐるぐる回転するような感覚になり、立っていることができなくなります。
西洋医学的には、「耳」が原因でおこるものと、「脳」が原因でおこるものと、「耳・脳以外」が原因で起こるものとがあります。
「耳」が原因で起こるものとしては、
・頭を動かした時に回転性のめまいが起こる、三半規管で浮遊する耳石が弦とされる良性発作性頭位めまい症
・回転性のめまいで症状が激しく、耳鳴り、難聴、耳閉感を伴うメニエール病
・突然の激しい回転性のめまいが起こり、耳鳴り、難聴を伴わない前庭神経炎
などがあります。
「脳」が原因で起こるものとしては、
・脳出血、脳梗塞
・椎骨脳底動脈循環不全
などがあります。
「耳・脳以外」が原因で起こるものとしては、色々な疾患が背景にあるため、それぞれの原因に応じた治療が必要です。
中医学でのめまいの考え方について
めまいの病因病機(病気の成り立ち)と処方について
1 肝陽上亢
《素問 ・至真要大論編》に「 諸風掠眩(風によるふるえや揺れ)、皆属於肝」 との記載があり、眩量と関係する臓腑は「肝」としています。肝は上昇の性質があるため、何かにあおられると激しい動きをすることがあります。
肝陽上亢は肝陽が上に向かって亢進することを言いますが、その原因には3つあります。
・素体陽盛:陽気がもともと旺盛で陰が少ないため、バランス崩して陽盛となりやすくなります
・肝鬱化火:ストレスなどで肝の疏泄機能が失調することで、滞りが生じ、その結果、熱に変化します。熱は陰を損傷するので、相対的に陽が亢進します
・水不涵木:腎は「水」に属し肝を滋養していますが、腎水が不足すると肝陽の亢進を抑えることができずに、肝陽が亢進します。
症状としては、耳鳴、頭痛、イライラ、不眠などを伴うことが多いです。
よく用いられる漢方処方としては「釣藤散」、「竜胆瀉肝湯」などがあります。
2 腎精不足
腎は精を蔵し、精は髄を生み、頭は髄の海といわれ、髄海が不足し頭が空虚となると、めまいをはじめ、精力減退、物忘れ、耳鳴り、腰痛などの症状が見られるようになります。
腎精の不足は、もともと腎精が不足していたり、加齢、房労などによって起こります。
症状としては、健忘、精神不振、足腰のだるさ、手足のほてりまたは冷えなどを伴うことが多いです。
よく用いられる漢方処方としては、「六味地黄丸」などがあります。
3 気血不足
気が不足すると脳を滋養することができないためめまいが起こります。
また気は血を生む(気能生血)とされているため、気虚と血虚は密接に関係しています。血は肝に蔵されているので、血が不足すると肝の陰陽バランスが崩れ、血虚生風となり肝風が動き始め、上に昇って頭部を乱してめまいを起こします。
このほか脾は気血生化の源であり後天の本とされます。
気血不足は主に脾胃の虚弱(生活習慣によるものが多い)が原因ですが、久病(慢性疾患)、出血性疾患も原因になります。
症状としては、疲労時に悪化、倦怠感、顔色が悪い(青白い)、動悸、不眠、食欲不振などを伴うことが多いです。
よく用いられる漢方処方としては、「十全大補湯」、「補中益気湯」、「帰脾湯」、「七物降下湯」などがあります。
4 痰濁内生
痰濁が経絡中の気血の流れを妨げることで、脳への気血の供給が滞ることでめまいが起こります。脾胃は気血を生みますが、痰も生むので、脂っこいものや甘いものの過食など食生活の不摂生によって脾胃の機能が失調し、水湿が停滞することで痰を生みます。また肺の宣発粛降機能の低下により津液代謝が低下しても同様に水質が停滞して痰を生みます。
症状としては、頭重感、胸が塞がれた感じ、悪心、痰が多い、食欲不振、多眠、体が重いなどを伴うことが多いです。
よく用いられる漢方処方としては、「半夏白朮天麻湯」「竹茹温胆湯」「五苓散」「苓桂朮甘湯」などがあります。
5 瘀血内阻
何らかの原因により瘀血が形成されると、気血の流れが滞り、清陽の気が脳へ届かずめまいがおこります。
症状としては、頭痛、不眠、物忘れ、顔色が悪い(顔色が黒ずむ)などを伴うことが多いです。
よく用いられる処方としては、「桂枝茯苓丸」「加味逍遙散」「桃核承気湯」「女神散」「血府逐瘀湯」などがあります。
以上がめまいの中医学的な大まかな分類と漢方の処方になります。中医学におけるめまいの分類は独特ですが、西洋医学的に原因がわからない場合、この視点はとても役に立ちます。
めまいは複合的な原因によるものも多く、実際の治療には細かい調整が必要となりますので、悩まれている方はご相談ください。
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