👶 赤ちゃんの未来に「空気」が影響する?
私たちは日々、当然ですが「空気」を吸って生きています。
その「空気」について季節の匂いや街のにおいに気づくことはあっても、その中に何が含まれているかまでは、なかなか意識が向きません。
けれど「空気」には、目に見えない微細な粒子が混じっています。車の排気や工場の煙、暖房の燃焼、さらには海のしぶきや土埃も含まれています。それらは呼吸とともに体に取り込まれ、ときに健康に影響することがあります。
今回紹介する研究は、そうした粒子の中でも「PM2.5」と呼ばれる特に細かい粒子に注目し、その成分が妊娠中の赤ちゃんの発達とどう関係するかを調べたものです。
中医学では、赤ちゃんの発育は「腎精(じんせい)」によって支えられているとされます。この精は、親から受け継がれると同時に、妊娠中の環境からも影響を受けると考えられています。空気の状態が胎児に作用するという考え方は、中医学でも古くから語られてきたものです。
今回の研究は、その「外からの影響」を科学的に捉えようとしたものです。どの成分が、どの時期に、どんな関連を持ちうるのか──その答えが、少しずつ見えてきました。
では、続きを見ていきましょう💨
📘 どんな研究?
この研究が行われたのは、カナダのオンタリオ州。
対象となったのは、2002年から2022年の間に生まれたおよそ220万人の赤ちゃん。そのすべての出生記録と医療データが用いられました。
調べたのは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間に、どれだけの「PM2.5」にさらされていたか。そしてその中に含まれていた「成分」が、自閉スペクトラム症(ASD)の診断と関係しているかどうかです。
PM2.5の濃度や成分の情報は、人工衛星、気象モデル、地上の観測データを組み合わせて、住んでいる地域ごとに推定されました。妊娠中は週ごと、産後1年間は年間の平均を使って評価されています。
もうひとつのポイントは、「妊娠中のどの時期に影響を受けやすいのか」という視点です。週単位で細かくリスクを分析し、胎児が大気汚染の影響を受けやすい時期を明らかにしようとした点に、この研究の特徴があります。
🔎 どんな結果?
研究では、いくつかのPM2.5の成分について、自閉スペクトラム症(ASD)とどのような関係があるかが調べられました。
その中でも特に注目されたのが「硫酸塩」と「アンモニウム」という成分です。
これらの成分にさらされていた期間が長いほど、ASDと診断される傾向が見られました。特に妊娠中期から後期にかけての時期、つまりお腹の赤ちゃんの脳や神経が活発に発達している時期に、その関連が強くなる傾向が確認されました。
また、オゾンガスも、妊娠のある一定の時期と、生後1年間の平均濃度が高かった場合に、ASDとの関連が見られることがわかりました。
PM2.5の「量」だけで見た場合には、大きな差は確認されませんでした。ですが、その中の「何が含まれているか」によって、影響の出方が違う可能性があることが示唆されています。
このように、粒子そのものではなく、その「成分」によって赤ちゃんの発達への影響が変わる可能性があるという点が、今回の研究の大きなポイントのひとつです。
🤔 どんな成分?
今回注目された「硫酸塩」と「アンモニウム」は、どちらも工場や車の排ガス、農業や海上輸送などによって大気中に放出されることが多い成分です。
非常に細かく、長く空中を漂いやすいため、呼吸と共に体に取り込まれる可能性があります。
研究では、この2つの成分に長くさらされると、妊娠中の赤ちゃんの発達に影響を与える可能性が示されました。
特に妊娠中期から後期にかけては、胎児の脳の形成が進む重要な時期であり、この時期の環境要因にはより注意が必要とされています。
また「オゾン」についても関連が見られました。オゾンは、光と大気中の成分が反応してできるもので、都市部や日差しの強い地域で濃度が高くなる傾向があります。
妊娠の終盤や生後の早い時期にこのオゾン濃度が高かった場合も、ASDとの関連が示されていました。
つまり「どれだけ汚れているか」よりも「どの物質」にさらされていたかや「いつ」さらされていたかが、胎児の発達にとって重要である可能性があるということです。
🌱 中医学ではどう考える?
中医学では、赤ちゃんの体や心が育つために欠かせないものとして「腎精(じんせい)」という考えがあります。これは、親から受け継いだ生命のエネルギーで、妊娠中を通じて胎児に届けられます。
この腎精がしっかり働くことで、骨や脳、内臓の発達が進みます。ですが、中医学では妊娠中の母体はとても影響を受けやすい時期とされており、外の環境──たとえば空気の汚れや湿気、暑さなどが、母体を通じて赤ちゃんに影響すると考えられています。
今回の研究が示した「成分によって影響が異なる」「妊娠中のある時期に影響が強まる」といった点は、中医学でいう「外邪(がいじゃ)」や「影響を受けやすい時期」の考えと通じるところがあります。
古くからの理論と現代の研究が、別々の言葉で同じ現象を見ているのかもしれません。
📌 赤ちゃんのためにできることは?
この研究では、妊娠中に吸い込む空気に含まれる微粒子と、赤ちゃんの発達との関わりが調べられました。
中でも硫酸塩やアンモニウムといった成分が、妊娠中期から後期にかけて影響を与える可能性があることが示されてました。オゾンについても、妊娠の終わりごろや生後すぐの時期に濃度が高いと、関連が見られる傾向がありました。
とはいえ、「空気が悪いとすぐに何か起きる」というわけではありません。研究からわかるのは、「どんな成分に、いつさらされたか」が影響の受けやすさに関係するかもしれないということ。つまり、あらかじめ知っておくことで、できる工夫も見つけられるということです。
中医学でも、妊娠中の母体は外の環境の影響を受けやすく、それが赤ちゃんの成長にもつながると考えられています。今回の研究結果には、そうした伝統的な考えと重なる部分も見られました。
空気は目に見えませんが、だからこそ意識を向けることで守れることがあります。日々の暮らしのなかでできる小さな工夫が、赤ちゃんの未来を守る力になるかもしれません。
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