「食べたもの」と「睡眠」や「夢」が関係しているかを、大学生1000人に聞いてみた話

目次

🌙 夕食と夢の関係

夜に食べた物が、眠りや夢に影響を与えることがあるという考えは、昔からありました。

ただ、それをきちんと調べた研究は、あまり多くありません。

この研究では、食べ物と夢のつながりについて、大学生を対象に調査が行われました。参加したのは、カナダ・エドモントンにある「マキュアン大学」の学生たちです。

研究チームは、「どんな食べ物が夢に影響しているのか」「食後に感じた体の不調が関係しているのか」「睡眠の質の変化が夢に関係しているのか」など、いくつかの可能性をもとにデータを集めました。

こうした考え方は、中医学の理論にも近いところがあります。

中医学では、夜遅くに食べすぎると体のバランスがくずれ、眠りが浅くなり、夢が多くなることがあるとされています。

科学の調査と伝統の考え方が、どのように重なるのか。この研究では、その関係が少しずつ明らかにされていきます。

今回もちょっと面白い研究です。

では、続きを見ていきましょう。


🧪 調査の方法と参加者のこと

この調査には、カナダ・エドモントンにあるマキュアン大学の学生1,082人が参加しました。2023年の1月から4月にかけて、オンラインでアンケートが行われました。対象は心理学の授業を受けている学生で、参加すると成績が少し加点される仕組みでした。

アンケートの内容は、食べた物と睡眠・夢の関係について、自分で感じたことを答える形式です。そのほかに、普段の食生活、アレルギーやお腹の調子、寝つきやすさ、夢をどのくらい覚えているかなど、さまざまな質問が用意されていました。

こうした質問を通して、「食べ物が夢に影響した」と感じる人に、どんな特徴があるのかを調べたのです。


🍰 食べ物で夢が変わる?

調査に参加した学生のうち、約4割は「特定の食べ物や夜に食べることが、睡眠に何らかの影響を与えた」と感じていました。

その中でも、「睡眠が悪くなった」と答えた人は全体の4人に1人ほど、「良くなった」と答えた人は5人に1人ほどいました。

一方で、「食べたものが夢の内容に関係していた」と感じた人は比較的少なく、全体の約5%にあたります。

研究では、このように「食べ物が夢に影響した」と感じた人たちを「FDD+(Food-Dependent Dreaming Positive)」と呼び、グループとして分析を行っています。

この「FDD+」の人たちは、他の学生に比べて、悪夢を見る頻度が高い傾向が見られました。

つまり、「夢に影響があった」と感じている人たちは、実際にも不快な夢を見たり、印象に残る夢を経験していることが多く、その自覚と夢の特徴には一定の一致が認められました。


🍦 どんな食べ物が夢に出やすいのか?

「食べ物が夢に影響した」と自覚した「FDD+」の人たちに、どのような食べ物が関係していたかを尋ねたところ、いくつかの傾向が見られました。

特に挙がっていたのは、「甘いものや乳製品」です。この2つのカテゴリは、「FDD+」の人たちが夢との関連を感じた食べ物として最も多く報告されていました。

そのほかにも、炭水化物や特定の料理ジャンル、脂っこい食品などの回答も見られましたが、割合としては少数でした。

これはあくまで「本人が夢に影響したと感じた食べ物」の傾向であり、全体の中ではごく一部の人たちの主観的な回答に基づいています。

ただし、このような食べ物の傾向が繰り返し報告されている点には注目する価値があります。


🧬 アレルギー、不耐性と夢のつながり

研究では、特定の食べ物を体がうまく処理できない「不耐性」や「過敏症」を持つ人にも注目されました。

特に、乳製品を分解しにくい「乳糖不耐」の人たちは、そうでない人に比べて睡眠の質がやや低い傾向にありました。これは睡眠の深さを評価する質問紙の結果にも表れており、乳糖不耐の人たちは平均してやや浅い眠りとなっていました。

さらに、乳糖不耐の人は悪夢を見やすい傾向もありました。

FDD+であるかどうかにかかわらず、「夢に影響があった」と自覚していない人の中にも、実際には不耐性のある食べ物を摂ったことで眠りが浅くなり、結果として夢に変化が出ていた可能性があります。

このように、体質による影響は自覚されにくいこともあるものの、睡眠や夢に目に見えない形で作用していることが示唆されました。


🍽️ いつ食べるかも関係する?

この研究では、「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」も重要なポイントとして調べられました。

とくに夕方以降や夜遅い時間に食事をする習慣がある人は、そうでない人に比べて睡眠の質が低い傾向がありました。

また、悪夢を見やすかったり、夢の中で嫌な感情を感じやすかったりすることも明らかになっています。

夜遅くに食べることで、食べ物が十分に消化されないまま眠りにつくと、体が休まりにくくなる場合があります。

その結果として、眠りが浅くなり、夢に反映される可能性があると考えられます。


🌿 中医学の考え方から見た「食と夢」

中医学では、「食事」と「睡眠」は密接に関係しているとされます。

夜遅くの食事、とくに甘いものや脂っこいものをとりすぎると、体内に「痰湿(たんしつ)」がたまりやすくなると考えられています。

「痰湿」とは、消化されずに体内に停滞した余分な水分や老廃物のようなもので、これが心身のバランスを乱す要因になるとされています。

とくに「心(しん)」という臓腑は中医学において「神(しん)」を宿す場所であり、精神活動や夢と関係が深いとされます。

痰湿が「心」に影響すると、眠りが浅くなり、夢が増える、あるいは不快な夢を見るといった変化が生じやすいと説明されます。

今回の研究でみられた「乳糖不耐のある人に睡眠の質の低下や悪夢が多い傾向」や「夜遅くの食事と睡眠の質の低下」は、こうした中医学的な考え方と重なる部分が多いといえます。


💡 食べ物と夢は繋がっている

この研究からは、「食べたものが夢に影響した」と感じている人が一定数存在し、特に甘いものや乳製品がそのきっかけとして挙げられていました。

ただし、こうした影響は「食べ物」そのものだけでなく、食べる時間帯や体質、さらには睡眠の質といった複数の要因が重なっている可能性も指摘されています。

乳糖不耐の人では睡眠が浅くなる傾向があり、その結果として悪夢や印象に残る夢が増えることがあるようです。また、夕食が遅い人や夜食をとる習慣がある人にも、似たような傾向がみられました。

つまり、夢の内容や眠りの深さは、日常のちょっとした選択──何を、いつ、どのように食べるか、にも関係しているのかもしれません。

こうした考え方は、中医学の「心身一如(しんしんいちにょ)」、つまり「心と体は一つにつながっている」という基本理念とも通じています。

食事と睡眠のつながりを意識することで、心地よい眠りや、より穏やかな夢を得るヒントになるかもしれません。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます

「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
  と感じている方へ

漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

漢方薬局・鍼灸接骨院

吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》

目次