「音楽」で「乗り物酔い」をやわらげる?

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🚗 「乗り物酔い」と「音」の関係

車に乗ってしばらくすると「ちょっと気持ち悪いかも」と感じた経験のある人は多いと思います。

特に助手席や後部座席でスマホを操作したり、タブレットで動画を見ていると、胃がムカムカしてきたり、頭が痛くなったり──

こうした「乗り物酔い」は、医学的には「動揺病」と呼ばれ、目から入る情報と、耳や体で感じる動きのズレが、脳に負担をかけることで起こるとされています。

今後「自動運転」が増えていく未来において、もしかしたら乗り物酔いも増えていくかもしれません。

そんな中、「音楽」が「乗り物酔い」の症状を軽くする手段になるのではないか、と注目を集めています。

中国の研究グループが行った最新の実験では、「音」の可能性を探りました。いくつかの音楽ジャンルが、酔いのつらさや脳の反応にどう関わるのかを、科学的に調べたのです。

中医学でも、「音」は感情や内臓のはたらきと深く関わっていると考えられてきました。音楽が「こころ」と「からだ」を整える──そんな古くからの知恵が、現代の科学でどう証明されようとしているのか、ちょっと気になります。

では、続きを見ていきましょう。


🧪 音楽で「酔い」は本当に軽くなるのか?

この研究では、「音楽」が「乗り物酔い」にどんな影響を与えるのかを調べるために、30人の人に協力してもらいました。

選ばれたのは「少し酔いやすい体質」と判断された人たちです。

参加者は6つのグループに分けられました。

4つのグループでは、それぞれちがったタイプの音楽を聴いてもらいます。「楽しい音楽」「ちょっと悲しい音楽」「気分が上がる音楽」「やさしい音楽」の4種類です。

残りの2グループは、音楽なしで休んでもらう「自然回復グループ」と、目を閉じて静かに過ごす「瞑想グループ」です。

実験の舞台は、リアルなドライブを再現できるシミュレーターです。映像と振動が組み合わされていて、まるで本当に車に乗っているような感覚になります。これは、わざと酔いやすい状況をつくるための仕掛けです。

参加者の頭にはたくさんの小さなセンサーがつけられ、「脳波」をリアルタイムで記録しました。特に「後頭部」の脳の動きに注目して、酔いとの関係を見ていきます。

酔いの強さは、2つの方法で評価しました。

ひとつは、「気持ち悪さ」を本人に直接聞く方法。もうひとつは、脳波の変化を使って状態を数字であらわす方法です。

そして、音楽を聞く前と後で、どれくらい良くなったかを比べて、その「回復の度合い」を調べました。


🎧 どのジャンルの音楽が「脳」に「効いた」のか?

実験の結果、「楽しい音楽」と「やさしい音楽」を聴いたグループでは、酔いのつらさがはっきりと軽くなっていました。

本人の感じ方でも脳波のデータでも、この2つの音楽がいちばん効果があると示されました。

一方で、「気分が上がる音楽」や「ちょっと悲しい音楽」では、効果にばらつきがありました。特に「悲しい音楽」は、音楽を流さなかったグループよりも効果が弱く、むしろ少し悪化するような傾向も見られました。情緒を強く刺激する音楽が、逆に気持ちの不快感を強めてしまった可能性があります。

脳波を見てみると、リラックスしているときに多く出る「アルファ波」が、楽しい音楽ややさしい音楽を聴いた後に増えていました。これは、音楽を聴いたことで脳の興奮が落ち着き、気分が穏やかになったことを意味していると考えられます。

また、もうひとつ注目されたのが「脳波の複雑さ」です。これは、脳がどれだけ多様な情報を処理しているかを示すものです。

酔っているときにはこの複雑さが下がっていたのに対し、音楽を聴いた後には元に戻る傾向がありました。とくに、視覚情報を処理する「後頭部」の脳波にその変化がよくあらわれていました。

こうした変化は、脳が「酔っている状態」から「落ち着いた状態」に移ったことを、科学的に示すものだといえます。


🌿 中医学で考える「音」のちから」

中医学では、乗り物酔いは、「脾胃(≒胃腸)」の働きや「気」のめぐりがスムーズでなくなったときに起こると考えます。

たとえば、長時間車に揺られたり、ずっと画面を見続けたりしていると、「脾胃」に負担がかかり、胃がムカムカしたり、頭が痛くなったりします。

また、長時間スマホの画面を見続けたり、緊張が続いたりすると、「肝」による「気」のバランスを保つ働きが乱れやすく、それが「脾胃」にも影響を及ぼして、不快な症状を引き起こすことがあります。

中医学には、「五音(ごおん)」という考え方があり、音の種類によって、体の中の臓腑にはたらきかける力があるとされています。

「脾胃」や「肝」のバランスをととのえる音は、やさしく落ち着いたテンポや、なめらかなメロディーです。

今回の研究でも、「楽しい音楽」や「やさしい音楽」を聴いたときに、乗り物酔いのつらさが軽くなり、脳の状態も安定していたことが示されました。

こうした変化は、中医学の見方とよく重なっていて、「音」が「こころ」と「からだ」の両方に働きかける力をもっていることを、あらためて感じさせる内容です。


♬ 音でととのえる「こころ」と「からだ」

せっかくの楽しい移動の時間が、急に苦痛に変わってしまう──
乗り物酔いに悩む人にとって、移動はリラックスとは程遠い時間かもしれません。

最近では、移動中にスマホやタブレットを見ることが増え、その影響で酔いやすくなる人も増えていると言われています。

今回の研究では、「音楽」がそうした不快感をやわらげる可能性があることが、脳波の変化や主観的な評価を通じて示されました。

どんな音が合うかは人それぞれですが、「自分が心地よく感じる音」を見つけることは、乗り物酔いに悩む人にとってすぐに始められるセルフケアのひとつです。

こころとからだを、やさしく整える音との出会い。
それは、これからの移動の風景を少し変えてくれるかもしれません。

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