🌿 未来の健康は、静かな動きから始まる
血圧が少し高め。
でも病気とは言えない──そんな「高血圧前症」と呼ばれる状態にある人が、いま世界中に増えています。今はまだ治療が必要ないけれど、このまま何もしなければ、本格的な高血圧につながるかもしれません。
だからこそ、この時期にどんな生活を選ぶかが、将来の健康を大きく左右します。
薬に頼る前の「ちょうどいい対策」はあるのでしょうか。
中国の研究チームが注目したのは、伝統と科学の代表とも言える2つの運動。「太極拳」と「有酸素運動」です。どちらも体に良いとされる方法ですが、実際に続けた人たちの血圧には、ある「違い」が見えてきました。
こうした違いを中医学の視点から見てみると、さらに興味深い側面が浮かび上がります。
中医学では、太極拳は単なる体操ではなく、体の内側にある「気(き)」の巡りを整え、内と外のバランス──「陰陽(いんよう)」を調える養生法とされています。
呼吸に意識を向けながらゆっくりと身体を動かすことで、心と体の緊張がほどけ、全身が調和のとれた状態へ導かれていきます。
こうした変化は、「血圧」という見えるかたちで静かに表れていたようです。
──では、続きを見ていきましょう。
🧪 どんな人が、どんなふうに運動したのか
この研究は、中国・北京にある大きな病院で行われました。テーマは、「血圧が少し高めの人」に、どんな運動が合っているのか。薬に頼る前の段階でできる取り組みとして、太極拳と有酸素運動の効果を比べることが目的です。
参加したのは、18歳から65歳までの男女。いずれも、上の血圧が120〜139mmHg、または下の血圧が80〜89mmHgという「高血圧前症」と呼ばれる状態にある人たちでした。病気とは言えないけれど、放っておくと高血圧に進む可能性がある層です。
最初に1,189人がスクリーニングを受け、そのうち条件を満たした342人が研究に参加。くじ引きのような方法で、ランダムに「太極拳をするグループ」と「有酸素運動をするグループ」に分けられました。
太極拳のグループでは、「24式楊式太極拳」と呼ばれる型をベースに、呼吸とともにゆっくりと体を動かす練習を続けました。動きは静かですが、姿勢やバランスを保つ集中力も必要で、じわじわと体が整っていくような感覚があります。
一方、有酸素運動のグループは、階段の上り下りやジョギング、速歩き、自転車こぎなどを取り入れ、しっかりと体を動かすスタイル。少し息が上がる程度の運動を目安にして、心拍数も管理されていました。
どちらのグループも、週に4回・1回60分の運動を1年間続けました。1回の運動は、準備運動→メイン→クールダウンの流れ。週1回は指導者と一緒に集まって行い、それ以外はビデオを使って自宅で取り組むという、無理のないペースで続けられる設計になっていました。
📉 血圧はどう変わったのか
研究でいちばん注目されたのは、「1年後に血圧がどれくらい変わったか」で、特に焦点が当てられたのは、上の血圧(収縮期血圧)です。
太極拳を続けていたグループでは、1年後の血圧が平均で約7mmHgも下がっていました。有酸素運動のグループも約4.6mmHg下がっていて、どちらの運動にも効果があったことがわかります。ただし、そのなかでも太極拳の方が、やや大きな変化を見せていました。
血圧の数値は、ほんの少しの差でも見過ごせません。
特に高めの状態にある人にとっては、2〜3mmHgの違いでも脳や心臓の病気のリスクが大きく変わることがわかっています。だからこそ、今回のような数値の差にも大きな意味があるのです。
さらに、この研究では、専用の機械を使って24時間の血圧を記録する「24時間血圧モニタリング」も行われました。日中や夜間の血圧の動きを調べることで、より詳しい変化が見えてきます。
特に夜間の血圧で、太極拳のグループに特徴的な変化がありました。夜の上の血圧が平均で約4mmHgも下がっていたのです。さらに、夜の脈拍(心拍数)も少し穏やかになっていて、体がしっかりと休めている様子がうかがえました。
夜間の血圧は、心臓や血管の健康にとって非常に重要です。
眠っている間に血圧がうまく下がらないと、将来的に脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まることが知られています。今回のように、夜の時間帯に見られた小さな変化は、大きな意味をもっています。
🌱 中医学から見える太極拳の力
今回の研究で見えてきた、太極拳ならではの「じんわりとした血圧の変化」。これを中医学の視点から見ると、また少し違った風景が見えてきます。
中医学では、血圧が高めになる状態は「気(き)」の巡りが滞ったり、体の「陰(うるおい・冷静さ)」と「陽(活動・熱)」のバランスが崩れた結果と考えられています。とくに、ストレスや緊張によって「肝(かん)」の気が上に昇ってしまうことで、血圧が高くなるとされてきました。
太極拳は、ゆっくりとした呼吸と動きで体と心を落ち着けながら、内側のエネルギーの流れ=「気」の巡りを静かに整えていきます。
これにより、乱れたバランスが元の位置に戻り、自然と体が調和へ向かっていくというのが、中医学の考え方です。
夜の血圧や心拍数が静かに下がったという今回の結果は、まさにそうした「内なるバランス」が整ってきた証ととらえることもできそうです。
💡 静かな動きがもたらす未来
太極拳も有酸素運動も、どちらも血圧を下げる助けになる──今回の研究は、そんな大切なことをあらためて教えてくれました。
どちらも効果がありましたが、太極拳の方が少しだけ良い変化を見せていたことも印象的です。
特に夜の血圧や心拍が静かに落ち着いていた点は、太極拳の持つ「内側から整える力」を感じさせるものでした。
心と体を同時にゆるめながら、穏やかに巡りを整えていく──その静かな積み重ねが、未来の健康につながっていくのかもしれません。
太極拳は、道具もいらず、誰でも自分のペースで始められる運動です。
呼吸を感じながら、心を落ち着けて体を動かす。そのシンプルな時間が、今日の自分と、これからの自分を整えてくれる──この研究は、そんな可能性をそっと示してくれました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます
「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
と感じている方へ
漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
漢方薬局・鍼灸接骨院
&
吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》