「姿勢」と「印象」の関係を探る研究

目次

🕴姿勢から伝わるもの

人と向き合ったとき、言葉より先に伝わるものがあります。

表情の柔らかさや声の調子のように、「姿勢」もそのひとつです。何気ない立ち方のわずかな違いが、相手の心の中でどんな印象を形づくるのか──医学や心理学では長く注目されてきましたが、実は「自然に立ったときの姿勢」がどう印象に関わるかを丁寧に調べた研究は多くありません。

中医学では、身体の向きや軸の整い方が呼吸や情緒の安定とつながるという考え方があります。身体の状態がそのまま心の働きに響く、という視点です。こうした視点と現代の研究成果を重ね合わせていくことで、姿勢が持つ意味をより深く理解できるようになります

今回紹介する研究は、自然な姿勢のわずかな違いが、人の印象にどれほど影響しているのかを、体の傾きや肩の位置といった、日常ではあまり意識しない部分に焦点を当て探っています。

この研究が、日常のコミュニケーションにどのように影響してくるのか──続きを見ていきましょう!


📸 姿勢をどう測ったのか

人がふだん何気なく立っているとき、その姿勢には細かな「クセ」が潜んでいます。

今回の研究では、このクセを客観的にとらえるために、横向きの写真から三つの項目を測定しています。

  • 頭の傾き
  • 首の角度
  • 肩の角度

どれも普段は意識することの少ない部分ですが、自然な立ち方の特徴がよく表れるところでもあります。

写真は 121 名の協力者を対象に撮影され、姿勢の指示は一切行われていません。「カメラの設定を調整している」という名目で立ってもらい、日常に近い姿勢をそのまま記録しています。

こうして切り取られた「自然そのままの姿勢」から、研究チームは細かな角度を拾い上げ、分析をしました。


📏 姿勢の角度がどれくらい違っていたのか

自然に立っていても、人によって姿勢はかなり異なります。

たとえば頭の向きは、少し前に傾きやすい人もいれば、後ろに引いた姿勢が落ち着く人もいます。

首も、人によってまっすぐ起きやすい人、やや前に出る人など、傾向が分かれます。さらに肩は最も個性が出やすい部分で、自然に前へ入りやすいタイプと、後ろに引かれやすいタイプでは横から見た印象が大きく変わります。

「自然に立ってください」と声をかけても、身体が向く方向や軸の整い方はこれほど違うものなのかと気づかされるデータになっています。

この「姿勢のクセ」が、後の印象評価にどのようにつながるのかを、この研究では丁寧に追っています。


👭 姿勢と人の印象の「つながり」をどう分析したのか

姿勢がどんな印象につながるのかを調べるため、研究では多くの学生に写真を見てもらい、「この人はどんな雰囲気に感じられるのか」を評価してもらいました。

評価項目は、優しさ、責任感、攻撃的な印象など幅広く、全部で 14 種類。
これらをまとめて分析すると、印象は大きく二つのまとまりに整理できました。

  • 強さや堂々とした印象(優位性)
  • 安心感や信頼につながる印象(信頼性)

研究チームは、この二つの印象のまとまりと、写真から測った頭・首・肩の向きを照らし合わせ、「自然な姿勢の違いがどのように印象へつながるのか」を詳細に検討しています。


💡 姿勢と印象の関係

姿勢と印象のデータを重ね合わせると、いくつかのはっきりした傾向が見られました。

まず、「首」と「肩」の向きは、評価される印象とのつながりが強く現れていました。「首」がしっかり起きている姿勢は、力強さや堂々とした雰囲気につながりやすく、「肩」が後ろに引かれた姿勢は、落ち着きや安心感をもたらしやすい傾向がありました。

どちらも、普段はあまり意識しない部分ですが、見る側には自然と伝わっているようです。

一方、「頭」の傾きは、単純な角度だけでは説明しきれないところがあり、体格や骨格の違いが関与している可能性が示されています。

そこで研究チームは、この点を慎重に踏まえ、男女それぞれに合わせた追加の分析を行っています。

ここまでを見ると、姿勢そのものが「印象づくりのピース」として働いていることが読み取れます。

ただし、「姿勢を整えれば誰でも同じ印象になる」という単純な話ではなく、あくまで「印象の方向性に関わる要素のひとつ」という扱いです。


👥 姿勢の性差による違い

姿勢には、その人の習慣だけではなく、生まれ持った体格の違いも影響します。

同じように立っていても、首の長さや肩幅、体の厚みなどが少し違うだけで、姿勢の見え方は自然と変わります。

今回の研究でも、こうした体格の違いが姿勢の角度にそのまま表れていました。

そこで研究チームは、男女それぞれの体格の特徴をいったん基準として整え、そのうえで姿勢そのものの「クセ」を比べられるように工夫しています。

簡単に言えば、体格による差を取り除いたうえで、姿勢そのものが印象にどう響くかを公平に見るための調整です。

興味深いことに、この調整をしても、姿勢と印象のつながりはしっかり残っていました。

体格が違っても、姿勢のちょっとした違いには共通して印象を左右する要素があったという結果です。

自然な立ち方の中に、性別を超えて影響する「印象」が潜んでいた点に、この研究の大きな意味があります。


🌱 中医学の視点──なぜ姿勢が印象と結びつくのか

中医学では「身体の状態は、気の巡りや心の働きに影響する」という考え方が古くから語られています。

例えば、首が伸びて胸まわりが広がる姿勢は、呼吸が整いやすく、気の巡りもスムーズになるとされます。こうした姿勢は落ち着きや安定した心の状態とも結びつけられ、中医学では「外側の姿勢が内側に作用する」という見方が大切にされています。

一方で、今回の研究は、姿勢そのものと、他者がどのように感じ取るかという「印象」の関係を扱ったものであり、身体の「内側」については触れられていません。

ただ、姿勢が整うと呼吸が深くなり、体の軸が安定するといった中医学の視点は、「姿勢が人の見え方に影響しうる」という点で、研究とゆるやかに重なる部分があります。


📝 姿勢がつなぐコミュニケーションの扉

普段の姿勢は、その人の印象に少しずつ関わっています。

今回の研究は、頭や首、肩の向きの違いが、相手の受け取り方にどのようにつながるのかを丁寧に調べました。

姿勢は体のバランスを保つ事を目的とした自動的かつ無意識的な重力に対する体の反応ですが、そこには「その人らしさ」が表れます。

もちろん、この研究は「姿勢」と「印象」の関係を示したもので、どちらが原因かを結論づけてはいません。それでも、自然な姿勢が相手の感じ方に関わる可能性を示した点は、日常のコミュニケーションを見直すうえで役立つ視点になります。

日々の中で「姿勢」のことを少し意識するだけで、コミュニケーションが少し変わるかもしれません。

今回の研究は、そんな視点を持つためのひとつのきっかけになるものでした。

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