こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
病院での不妊治療での「薬」の使い方は本当に難しいようです。
なかなかその人に「合う」薬の使い方が見つからず治療が難航することもあります。
「自然周期なのですが黄体ホルモンの補充をした方が良いのでしょうか、自然周期なのでできれば薬を使いたくないのですが・・・」という質問があります。
「自然周期での移植」とはその人の排卵のタイミングに合わせて受精卵を移植する方法です。
ご質問のケースは、できるだけ薬を使わずに進めたいというご希望があり、移植後の黄体補充もできればしたくないとのことでした。
「せっかくの自然周期なのに薬を使うなんて・・・」と思われるのももっともです。
自然周期なのでやはり薬を使わない方が良いのでしょうか。
最近の研究で、自然排卵周期移植で、膣剤による黄体補充をおこなった場合のそうではない場合の妊娠成績を検討した報告があります。
ランダム化比較試験での報告ですので、信頼度は高い報告です。
2013〜2018年の期間に、500名をランダムに半分に分け、一方のグループには胚移植の日から黄体ホルモンの膣剤、100mgを1日2回使用し、もう一方のグループは黄体ホルモンの補充をしませんでした。
その結果・・・
出生率は
黄体ホルモン補充 <あり> のグループ 34.2%
黄体ホルモン補充 <なし> のグループ 24.1%
となりました。
黄体ホルモンの補充の必要性についてはこれまで信頼度が高い研究報告はあまりありませんでした。
使用する薬については今回の試験ではプラセボを使用していないため、二重盲検化されていなかったものの、ランダム化比較試験であり、これまでの報告に比較すると参考にできる報告である思います。
またこの報告では2つのグループ間では移植日の黄体ホルモンの値に違いはなかったとしています。
つまり、黄体ホルモンが不足していなくても黄体ホルモンの補充をした方が良いという結果になっています。
自然周期であっても、黄体ホルモンが不足していなくても、なぜ黄体ホルモンを補充した方が良いのか、その仕組みについてははっきりした理由はわかっていませんが、内膜の脱落膜化に影響を与えるだけでなく、子宮内膜における炎症のコントロールや子宮NK細胞の制御に影響を与えたり、着床前後の受精卵の分化や免疫寛容の制御にも関連するのではないかと考えられています。
今回の報告では、黄体ホルモンの不足にかかわらず、移植後は黄体ホルモンを補充した方が良いとする報告になりましたが、「移植」という自然妊娠とは異なる過程で起こる体内の「ズレ」のようなものを修正するために補充した方がよいのかもしれません。
「せっかくの自然周期なのに」と思うのではなく、妊娠への道筋をつくってくれるものとして上手に使っていくのが良さそうです。
また、体内環境を整えるという点では漢方も役立つことも多いので、ぜひ取り入れてほしいと思います
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