こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
妊活についての相談以外に、妊娠中のトラブルを回避するための相談も多いです。その一つに「早産」についての相談があります。
「早産」とは37週未満(22週0日~36週6日)の出産のことをいいます。また、早産になりかかっている状態は切迫早産と呼び、早産とは区別されます。
早産は教科書的には、全妊娠の約5〜6%と言われていますが、厚生労働省の人口動態調査によると、2021年に2500g未満で生まれた赤ちゃん(低出生体重児)は7.6万人で、出生数のおよそ9%です。
1975年では、5%ほどでしたが、1980年代から少しずつ増えて、2002年以降9%台になりました。2006年の9.6%をピークにやや減少が見られますが横ばい状態です。
経済協力開発機構(OECD)諸国での平均は2018年で6.6%ですので、先進国の中で日本は小さく生まれる赤ちゃんの割合が高い国となっています。
早産のメカニズムすべてが分かっているわけではありませんが、妊娠中の病気、生活習慣などが影響します。
第2子、第3子などの場合、前回までの分娩が早かった場合、早産になりやすいという報告があり、時期が早いほどそのリスクは高くなります。
また、反復早産では70% が前回よりも 2 週間早くなるという報告もあります。
早産の原因の 1/3〜半数近くは感染症が原因です。その中でも多いのは「絨毛膜羊膜炎(CAM)」によるものです。
腟の中にはラクトバチルス(乳酸桿菌)と呼ばれる善玉菌が存在しており、腟内を酸性に保ち他の細菌の増殖を防いでいます。
しかし何らかの影響でラクトバチルスが少なくなると、他の細菌が増殖し、感染が頸管に沿って上行し、絨毛膜羊膜に達すると、「絨毛膜羊膜炎」となります。
胎児を包んでいる卵膜は、羊膜、絨毛膜、脱落膜の3層からできています。
卵膜は、胎児、羊水の入っている膜で、子宮内側との境目をつくる膜で胎盤の胎児側を覆い、羊膜がやぶれることを破水といいます。
「病気がみえる vol.10 産科」より引用
「絨毛膜羊膜炎」になると、炎症を起こす物質(サイトカイン)が放出され、子宮を収縮させるプロスタグランジンの産生が増えます。
プロスタグランジンは子宮を収縮させるとともに頸管を熟化(子宮の入り口が柔らかくなること)させ、子宮口が拡がり早産を引き起こします。
また、炎症が起こると好中球(白血球の一種)が活性化し、エラスターゼという酵素を放出します。
エラスターゼは胎児をつつんでいる卵膜のコラーゲンを分解しますので、卵膜が弱くなり、破れると破水を引き起こします。
「絨毛膜羊膜炎」は無症状のことが多いため、早産の可能性を早く知るのは難しいのですが、初期の症状としてはおりものの増加や匂いの変化、子宮の圧痛や発熱がみられるため、これらの症状がみられたら早めに受診することが重要です。
絨毛膜羊膜炎以外では、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、子宮疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症など)、頚管無力症、羊水過多、多胎妊娠、子宮頸部円錐切除術の既往、子宮頸管長が短い場合などが早産に関係があることが知られています。
このほか、若年妊娠、高年齢の妊娠、妊婦の低栄養、喫煙、飲酒、ストレス、歯周病なども影響を及ぼします。
原因が見つかればそれらに対処することで早産を予防することができますが、原因がわからない場合も約半数あります。
前回の早産だった方に合成プロゲステロン製剤を使用することで早産を減らすことができるという報告もあるため、欧米では一般的に使用されています。
早く生まれた赤ちゃんほど重い後遺症が生じる可能性が高くなるため、早産を防ぐために健診をきちんと受けて、わかる原因、異常を早期に発見できるように、また、日頃から健康的かつ快適な妊娠生活を心がけることが大切です。
では、健康的かつ快適な妊娠生活を送るためにできることは何でしょうか。
出産ギリギリまで働くことも多い現代では、ストレスや疲労と常に隣り合わせです。
中医学では過度のストレスや過労は生命力を蓄えたり、妊娠を維持したりする力である「気」や「血」および「腎」の働きが低下すると考えます。
妊娠中は特に「気」や「血」および「腎」の働きが重要で、この働きが十分でないと、妊娠を正常に維持する力も弱くなります。
この場合、妊娠中の生活習慣、生活スタイルを見直しながら、妊娠を正常に維持する力を回復させる漢方を併用するが非常に役立ちます。
病院では、子宮が収縮して子宮口が開かないよう、塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムなどの薬を使用して子宮の収縮を抑えますが、最近では長期にわたって使用しない傾向にあります。
子宮頸管無力症(症状がなく子宮口が開きやすい状態)の場合は頸管を縛る子宮頸管縫縮術が行われることもあります。
破水時に赤ちゃんが感染してしまうのを予防するために抗菌薬を投与したりもします。
子宮頸管は通常 4cm 程度ですが、この長さが 2.5 cm ほどになると「切迫早産」といわれ、施設にもよりますが入院しての管理となり、早産を防ぐために、ひたすら横になって、子宮頸管への負担を減らす生活が続きます。
子宮の収縮については、収縮の自覚があることもありますが、無症状のまま気づかずに経過することも多いので注意が必要です。
これらは対症療法であって、お腹の赤ちゃんだったりそれを守る環境をつくり、養うためにはその他の方法が必要となります。西洋医学的にできることをした上でのお話ですが、ひとりでも多くの元気な赤ちゃんが生まれるために、漢方だからこそできることがあります。
症状や不安を解消するのためのお手伝いをさせていただければと思います。ご相談、お待ちしております。
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