こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
ここ数年新しい卵巣刺激法を取り入れる施設が増えてきました。
「Dual Ovarian Stimulation = DuoStim法」 と呼ばれる採卵法です。Double Stimulation と呼ばれることもあります。
通常の採卵は
月経3日目に受診→刺激方法決定
↓
卵巣刺激
↓
卵胞の発育状況を確認、採卵日の決定
↓
採卵
↓
卵子の受精・培養・移植or凍結
で、これが1採卵周期です。
DuoStim 法では、採卵後に再び卵巣刺激を開始します。
「そんなことできるの?」と言われることがあるのですが、これができるのです。
卵巣刺激後、卵胞の発育状況を見て、2回目の採卵日を決定→採卵→卵子の受精・培養・凍結
その後、卵子の受精・培養・凍結を実施します。
採卵は「卵胞期」に卵を育てて採卵しますが、DuoStim法では「黄体期」にも卵を育てて、もう1度採卵をします。
つまり、同一周期で2回採卵を行うことができる方法です。なんともアクロバティックな採卵方法です。
「On invividualization of ovarian stimulation: the arguments in favor」より引用
時間的に切迫しているケース(例えばがんの治療前に短期間で採卵するなど)で使われていた方法ですが、卵巣予備能が低下し、1回あたりの採卵数が少ない場合や発育する卵胞にばらつきがある場合などでは「DuoStim法」を使用すると短期間で採卵数を増やすことが可能となります。
また、卵巣機能が低下している場合、排卵抑制をしていても排卵してしまうことがありますが、「DuoStim法」では黄体期に採卵を行いますので、黄体ホルモンの排卵抑制効果が働き、排卵が起こりにくく、結果として採卵数の増加が期待できます。
採卵周期では、卵巣機能が低下している場合に「低刺激法」が選択されることがあります。
「低刺激法」と「DuoStim法」では卵巣機能が低下している場合、どちらが適しているのでしょうか。
卵巣機能が低下している女性において「低刺激法」と「DuoStim法」、どちらが有効か調べた研究があります。
2018年1月〜2020年12月の間に、体外受精、顕微受精で治療している卵巣機能が低下した281名について、「DouStim法」のグループと「低刺激法」のグループに分けて調べました。低刺激法のグループは2回連続でのデータです。
研究は後ろ向きの研究です。
その結果、2つのグループ間で臨床妊娠率と累積出生率に有意差はありませんでした。そこで年齢で分けて改めて解析したところ、35歳未満では臨床妊娠率と累積出生率に有意差はありませんでしたが、35歳以上のグループでは「DouStim法」のグループでは「低刺激法」のグループに比べ凍結胚数が少ないという結果になりました。
しかし、2つの方法の間に妊娠成績の違いはありませんでした。
したがって、「DouStim法」は、卵胞期刺激での卵巣反応が悪い場合や、トリガーを使用するときにかなりの量の胞状卵胞がある場合、また、緊急に妊孕性温存が必要となるガンの患者さんなど、特定の状況下では検討する価値のある選択肢になり得ます。
今後は、さらに検証するためには、大規模な前向きランダム化比較試験 (RCT) が必要ではありますが、新しい卵巣刺激法である「DouStim法」は特定の状況下では優位に働く刺激法である可能性があります。
従来の卵巣刺激法ではうまくいかない場合、試みても良い刺激法であると思いますので、もし試したことがなければ試しても良いかもしれません。
卵巣機能の低下、反応性の低下には、漢方でのサポートも効果的です。実際に漢方を併用することで反応性が向上するケースもあります。妊活に漢方をぜひ取り入れてみてください。
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