こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「子宮筋腫」があると、妊活・不妊治療に影響があるのではないかと不安に思われている方は多いと思います。
子宮筋腫のタイプ
一般的には、子宮筋腫があるだけで「不妊」になることは多くはありません。子宮筋腫があってももちろん妊娠することはできます。
一部の子宮筋腫については、大きさやある位置によって妊娠のしやすさに影響を与えることがあると言われており、例えば、子宮の形を変えてしまうほどの大きな筋腫が卵が着床する場所にある場合などは妊娠のしやすさに影響をあたえると考えられています。
では、子宮の形を変えない子宮筋腫は不妊治療では問題にならないのでしょうか。
子宮筋腫は発生する部位によってこれまでは「粘膜下」、「筋層内」、「漿膜下」に分類されていましたが、最近では国際産科婦人科連合(FIGO)によって提案された下記のような詳細な分類が用いられています。
<Marie Carbonnelら. Fertil Steril. 2021,115(3), p.538-545. DOI:10.1016/j.fertnstert.2020.12.003>より引用
その分類では、上記の図のように、子宮内腔(子宮の内側)が変形するような筋腫(FIGO 0〜2)と内膜を変形させないが内膜に接している FIGO 3 のような筋腫、内膜から離れているFIGO 4〜のような筋腫があります。
子宮筋腫が妊活、不妊治療に与える影響
今回、子宮筋腫のない場合と、子宮筋腫のサイズが 6cm 以下の FIGO 3 の筋腫が妊娠成績に影響を与えるのかどうか、複数の研究を調査した報告がありました。
この報告では、子宮内膜・内腔を変形させない FIGO 3 で 2〜6 cmの大きさの子宮筋腫であっても、体外受精の結果である出生率に影響を与えたとしています。また、2 cm 以下では出生率の低下は見られませんでした。
ただし、調査する研究が不足しているため、子宮筋腫の数(単一か複数か)が体外受精の結果に与える影響は評価できなかったとしています。
子宮筋腫が子宮内膜、内腔を変形させないのになぜ妊娠しにくくなるの? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、子宮筋腫からは、さまざまな種類の物質(マトリックスメタロプロテアーゼ:MMPs、組織メタロプロテアーゼ阻害物質:TIMPst)が作られることが知られていて、これらが組織の構造を変化させ、いわゆる「筋腫」をつくるのですが、この過程でさまざまな細胞間の情報伝達をする、TGFβと呼ばれる「サイトカイン」といわれるタンパク質が関与していて、これが子宮内膜の受容能を低下させ、着床障害、化学流産に繋がっているのではないかと言われています。
筋腫があるけど、形に影響がないから大丈夫・・・と言われていても、なかなか妊娠しない、化学流産が続いているという方は筋腫を小さくしてから妊活、不妊治療を行うのも選択肢の一つかもしれません。
子宮筋腫と漢方、中医学、東洋医学的治療
子宮筋腫は中医学的には気血の滞りの結果できた「病理産物」と考えます。具体的には「気滞」や「瘀血」による症状の1つです。
また、気滞や瘀血などの滞りが痛みが起こりやすくなるとも考えます。これを「不通則痛」といい、滞りは痛みを生むという考え方です。
これらの状態や症状を中医学では、気滞を取り除く「理気剤」や瘀血を取り除く「活血剤」などを用いて、気血の巡りを改善させ、滞りが起こらないようにしつつ、痛みがあれば痛みを軽減させていくように治療を進めていきます。
一方、気血の滞りには「原因」があります。
そのため、体質や生活習慣、他の病気の影響がないかを探り原因を取り除く治療も行います。その結果、子宮筋腫などの病理産物ができにくい体の状態に導くことができるようになります。
妊活では様々な視点でアプローチしていくことが「結果」への近道になります。
子宮筋腫がある方は、西洋医学的に子宮筋腫のタイプや大きさ、妊活での難しさが出ていないかチェックしながら、漢方を取り入れていただけばと思います。
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