こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
不妊治療には様々な検査があります。子宮内の細菌叢の検査もその1つです。
子宮内膜の細菌叢の状態は着床に影響を与えると考えられています。
この研究報告では、子宮内膜の環境(「慢性子宮内膜炎」と「子宮内細菌叢の異常」と「子宮内細菌叢の改善」との関係)が妊娠とどのような関係があるのかを報告したものです。
興味深い結果となっています。
まず、不妊治療を行っている方で、反復着床不全のグループとそうではないグループに分け、慢性子宮内膜炎の割合を比較して見たところ、反復着床不全のグループの方が慢性子宮内膜炎の頻度が約 2.4 倍多く見られました。
一方、子宮内細菌叢の異常(ラクトバチルスの割合が90%未満)の割合はどちらも変わりありませんでした。
そこで、腸溶性ラクトフェリン(700mg)を28日間補給したところ、反復着床不全の女性の約 40 %で子宮内細菌叢が改善し、改善したグループではその後の妊娠出産率は高かったと報告しています。
子宮内細菌叢は慢性子宮内膜炎と異なり、反復着床不全に特有なものではなく、不妊治療を受けている方ではよく見られる状態です。今回の研究報告によれば、限定的ではありますが、子宮内細菌叢の改善により妊娠出産率が高くなる傾向があることがわかりました。
この報告から言えることは、おそらく慢性子宮内膜炎と子宮内細菌叢は違う病態として考えた方がよく、今回は腸溶性ラクトフェリン700mgを用いた試験でしたが、子宮内細菌叢のアンバランスはおそらく、何らかの形で妊娠を妨げている可能性があります。
もちろん慢性子宮内膜炎は慢性子宮内膜炎としてしっかり治療は必要です。
妊娠に至るための「健康」に与える影響は、年齢、食事、代謝、ホルモンバランスなど様々な要因によって影響を受けます。
そして「妊娠」のためには生殖器、つまり子宮内の内部環境の恒常性が重要なことが分かってきています。
子宮内の恒常性はこの環境に存在する微生物の緻密で複雑な相互作用により維持されています。
女性の子宮内の細菌叢はラクトバチルス属などの共生によりバランスが取られており、直接的・間接的に免疫系の活動を調整することで、生殖に重要な抗菌・抗炎症、分泌されるタンパク質をコントロールしています。
そしてこのことは着床の過程において何らかの影響を及ぼしている可能性は高いと考えられています。
子宮内細菌叢の検査は一般的に行われるものではありませんが、もしなかなか着床しない場合は検査をしてみることも選択肢の1つです。
また、細菌叢は口腔内や腸内にも存在し、それぞれがほかの細菌叢に影響を与えるとも言われていますので日頃から細菌叢を良い状態に保つようにすることも妊活・不妊治療では役に立ちそうです。
漢方は体内に有益な生菌類、いわゆる「善玉菌」を増やす働きが期待できると考えられており、使用する処方によっては善玉菌でありラクトバチルスが増加するという報告もあります。
そのため妊活では積極的に漢方を併用することで、体調を整えつつ、妊活・不妊治療に有利に働くために細菌叢のバランスを整える効果も期待できます。
妊活がうまくいかない時、妊活を始める際には漢方を併用することが役立ちます。
検査は研究段階のものが多く、「今」は正しいと思われている検査でも、のちに否定されることもありますので、新たな検査や評価が分かれているような検査の結果については慎重に判断する必要がありますので、慎重に取り入れていきましょう。
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