⏩ 再生速度と学習効果の関係
学習効率を上げたい、時間は有限。
だから、動画講義も倍速でサクッと──。
そんな「タイパ重視」の学び方が当たり前になりつつあります。
動画講義を早く見終えられれば、浮いた時間をほかの作業や休憩に使える。
確かに、効率の良い学習法のように思えます。
けれども今、「スピード重視の学び方は本当に正解なのか?」という疑問が広がり始めています。
今回紹介する研究では、過去のさまざまな研究をまとめて解析し、その答えを探ろうとしています。
速く視聴することが、必ずしも「よく学べる」ことにつながるとは限らない── 今、「効率重視」の学び方そのものが、本当に最適なのか見直されつつあります。
📺 スピードアップ視聴──果たして効果的か?
時間が足りない、でも学びたい。そんな思いから「1.25倍速」「1.5倍速」「2倍速」で動画講義を見る人が増えています。
確かに再生速度を上げれば、同じ内容でも短い時間で講義を終えられます。
60分の授業も、1.5倍速なら40分、2倍速ならわずか30分で見終わることができます。
この効率の良さは魅力的です。実際「タイパが上がった」と実感する人も多いようです。
ところが、速さがそのまま学びの質につながるとは限らないことが明らかになりました。
24件の研究、110のデータをまとめて分析した結果、2倍速で視聴した場合、テストの成績が最大で約20%も下がるケースがあると報告しています。
「時間を節約できたと思ったのに、実は大切な内容がほとんど頭に残っていなかった」──そんな結果になってしまうとしたら、スピードの使い方には注意が必要かもしれません。
⏰ 速いほど効率的…とは限らない理由
再生速度を上げれば時間は短縮できますが、私たちの脳はその速さにどれだけ対応できるのでしょうか。
脳が情報を処理するには、「聞く」「理解する」「覚える」という3つのステップがあります。
そのすべてに時間と集中力が必要です。
スピードが速くなると、最初の「聞く」段階では音声としては聞き取れていても、「理解する」や「覚える」が追いつかなくなることがあります。
今回の研究の結果でも、1.5倍速までは多くのケースで成績に大きな差は出なかったとされています。つまり、ちょっと速くする程度なら、内容の理解や記憶にそれほど影響はないということです。
ですが、2倍速以上になると話は変わってきます。
人によっては聞き流してしまい、あとで内容を思い出せないこともあるようです。いくら講義を「見た」としても、「理解して覚えた」状態になっていなければ、テストや実践では力を発揮できません。
このように、「速くて効率がよい」という考えは、学習においては必ずしも当てはまりません。
🧠 脳と体が追いつかない瞬間
2倍速のように速すぎる情報処理は、脳にとってはある種の「マルチタスク状態」に近くなります。集中力を保ちつつ、内容を理解しながら記憶する──その全てを高速でこなさなければならないのです。
この状態では、前の文の意味を理解している最中に、次の文がすでに始まってしまいます。脳は「キャッチアップ」に追われ、理解の土台が崩れやすくなります。
薬学や神経科学の観点では、長期記憶への変換には「十分な注意力」と「情報の整理時間」が必要です。
2倍速ではこれらの時間が極端に削られるため、情報は短期記憶にとどまり、数時間後には忘れてしまうことが多いのです。
さらに、長時間の倍速視聴は「認知疲労(頭の疲れ)」を引き起こしやすくなります。これは視覚や聴覚の情報処理に脳が過剰にエネルギーを使い、思考力や集中力が一時的に低下する状態です。
その結果、次の学習にも悪影響が及ぶことがあります。
「脳にムチを打つような学習」は、短期的には効率的に見えても、実際には逆効果になりうるのです。
🈶 中医学の視点で見る学習と再生速度
中医学では、「学ぶ力」は「心」と「脾」の働きに深く関係していると考えられています。
「心」は精神活動全般をつかさどり、思考や記憶、集中力とつながっています。一方で「脾」は飲食物を消化し、エネルギーをつくり出すだけでなく、「意識や思考の安定」を支える土台ともされています。
再生速度を上げすぎることは、まさにこの「心」と「脾」に負担をかける行為と見なすことができます。
スピードに追われて情報を吸収するというのは、「脾」が落ち着いて整理・吸収できる時間を奪ってしまうことにつながります。
また、スピードによって「心」が焦りやすくなり、思考が乱れ、記憶の定着がうまくいかなくなることもあるのです。
とくに中医学では、「学ぶときには静心(心を静かに保つこと)」が大切とされています。
この「静心」が乱れると、どんなに多くの情報を与えられても、内側で「整理」や「吸収」がうまくいきません。
つまり、2倍速のような急ぎすぎる学習法は、中医学の観点からも「気(エネルギー)」や「神(心の明晰さ)」のバランスを崩す要因となることがあると考えられます。
🎓 「タイパ」の時代にこそ、学びの「質」を見直す
講義を速く見ることで、時間を節約できるのは確かです。
最近では「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉が注目され、「どれだけ短時間で成果を出せるか」が重視されるようになってきました。
しかし、本当に大切なのは「どれだけ速く終わらせたか」ではなく、「どれだけ身についたか」です。
今回の研究でも、1.5倍速までは成績の低下はごくわずかで、大きな問題になるほどの影響は見られませんでしたが、2倍速以上になると記憶の定着や理解力に明らかな落ち込みが確認されました。
中医学の視点でも、再生速度を上げすぎることは「気」や「神」の巡りを乱し、思考の質を下げる要因になると考えられています。心を静かに保ち、焦らず一つひとつを吸収することが、学びを深める鍵になります。
今は「タイパ」がトレンドですが、すべてを速く処理しようとする時代だからこそ、「丁寧に学ぶこと」の価値が、よりいっそう際立ってくるのだと思います。
スピードよりも質を重視する
それが、これからの時代の「かしこい学び方」なのかもしれません。
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