こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
妊活、不妊治療で「採卵」の前に行う「刺激」を「トリガー」と言います。
自発的な排卵の前にはFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の両方が急上昇し、最終的に卵胞の成熟と排卵が起こります。
「トリガー」とは採卵前の約35時間前に薬剤を使用して上記の反応を促すものです。
トリガーとして用いる薬には
1)GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト(点鼻薬)
2)hCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)製剤(注射薬)
の2種類があります。
日本ではGnRHアゴニストとしては、点鼻薬のブセレリン(スプレキュア、ブセレキュアなど)が、hCGとしては注射薬が使用され、尿由来のhCG(uhCG)、リコンビナント(遺伝子組み換え)製剤のhCG(rhCG)(オビドレル)が使用されます。
妊活・不妊治療において、卵巣刺激により卵巣がよく反応し、卵胞が十分に発育しているにも関わらず、採卵で卵が得られないことがあります。
つまり、「空胞でした」と言われることが続くことを言いますが、このような状態を「EFS(Empty follicle syndrome)」と呼び、発生とメカニズムに関する議論は、体外受精が開始された初期から行われています。
頑張って卵を育てて採卵しても「空胞」が続くのは本当につらいことですが、「EFS」には、本当に卵がない「真正のEFS」と、採卵方法や使用薬剤が適切でないために卵子が回収できない「偽性のEFS」があり、報告されている「EFS」のかなりの割合が「偽性EFS」ではないかと考えられるようになって来ました。
つまり「空胞」は本当に「卵子」が「無い」のではなく、「卵子」はあるが適切なトリガーではないため、「卵子」が回収できずに「空胞」となるケースが多いということです。
トリガーとして「GnRHアゴニスト」を使用するか、「hCG」を使用するかは、それまで卵胞を成熟させるための卵巣刺激がどのような方法だったのかで変わってきますが、通常はどちらか1種類を使用します。
近年、1種類の「トリガー」でうまくいかない場合、「GnRHアゴニスト」と「hCG」を組み合わせた「ダブル(デュアル)トリガー」を使用し良い結果が得られたとの報告が増えています。
「ダブル(デュアル)トリガー」は通常のトリガーで卵子の成熟率、回収率や悪い場合に効果があるとする報告や、35歳以上の女性には「ダブル(デュアル)トリガー」が良いとする報告もあり、「ダブル(デュアル)トリガー」を試みるケースが増えています。
トリガーが適切でないと、未熟卵が多かったり、卵子が卵胞壁から離れないため空胞卵胞が多かったり、また採卵後の分割が遅く胚盤胞に至りにくくなることがわかって来ました。
保険診療では「ダブル(デュアル)トリガー」ができないため、自費診療となりますが、もし、トリガーを1種類だけでしか行なっておらず、なかなか成熟しない、空胞、胚盤胞にならないなどで治療が進まない場合、「ダブル(デュアル)トリガー」を試してみても良いかもしれません。
最近では、uhCG、rhCG、GnRHを使用し、3段階で成熟させる「トリプルトリガー」も試みられていますが、この効果については今後の検証が必要です。
頑張って育てた卵ですから、しっかり採卵できるような方法を考えて選択することが重要です。
なお、トリガーを変更することで卵の質が悪くなることはないとされています。
また、西洋医学的にうまくいかない場合は漢方の併用も効果的ですので、ぜひ取り入れて良い結果につなげてください。
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