BCGと新型コロナウイルス感染症

こんにちは。相模原 タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

新型コロナウイルス感染症のワクチン、薬に関しては世界中で臨床試験が急ピッチで行われています。そのうちの一つにBCGワクチンがあります。

 

BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症に有効なのではないかという仮説が話題になり、その検証が進められています。

 

日本ワクチン学会では

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する BCG ワクチンの効果に関する見解【2020.4.3 Ver.2】」として

 

新型コロナウイルスによる感染症に対して BCG ワクチンが有効ではないか」とい う仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。

 

としています。


BCGが注目され話題に上がっているのは、BCGワクチンの接種が結核以外の疾患に対して有効であることが報告されているからです。

BCGワクチンが白血球を刺激することで、結核菌以外にも効果を示すようになるとするもので、「訓練免疫」と呼ばれています。

 

以前BCGのワクチンについて取り上げたことがあり、「株」について問い合わせが未だにありますので、BCGワクチンの株についての大まかな流れを説明したいと思います。

 

BCGワクチンは病原性のあるウシ型結核菌 Mycobacterium bovis を231代も継代培養することで 弱毒化した弱毒生ワクチンで、パスツール研究所で最初に製造され、その後1920〜30年代に各国に分与されました。

 

そしてそれぞれの国で継代培養することになるのですが、その間に原株とは異なる遺伝的形質を持つ多数の亜株が生じました。

 

これらBCGの亜株を遺伝学的に見てみると、RD 2 遺伝子の有無により前期分与株と後期分与株に分類できます。

 

BCG,株,コロナ

DOI: 10.1126/science.284.5419.1520

 

日本株Tokyo 172- 1 とロシア 株BCG-I株は前期分与株、デンマーク株 Danish 1331 株は後期分与株となります。現在のパスツール株は、1961年に凍結乾燥されたもので、BCG原株ではなく後期分与株に分類されます。

 

前期分与株は後期分与株にくらべて生菌数が多いのが1つの特徴です。

 

さて、仮説では、BCGワクチン接種国(特に日本株やロシア株)では、新型コロナウイルスの感染者数、死亡者数が少ない傾向がみられるため、特定の株が重症化や死亡率を低下させるのではないかとするものではありますが、相関がありそう? 本当にそうなの? という状況であり因果関係は証明されていません

たしかに、結核罹患率の低い岩手県が未だ感染者ゼロでしょ!と言われれば気になるところではありますが、相関関係と因果関係は間違えてはいけません。

 

BCGワクチンのサイトカイン産生誘導能について調べた研究では、日本株とデンマーク株では日本株の方が炎症性サイトカインの産生を誘導する可能性も示唆されており、これも「新型コロナに効果があるんじゃないの?」と思われている理由の一つです。

一方で、フィンランドやオーストラリアなどはBCGワクチン接種中止しているにも関わらず、死亡者数は低く抑えられています。

また、イスラエルからの報告では対象とするグループが小さいものの新型コロナウイルス感染症にたいする予防効果は見られなかったとの報告もあります。(使用株は不明)

この件に関しては、BCGワクチンの接種を推奨している機関はありませんので、可能性があるかわらない現時点で接種を希望するのは絶対にしないでください。

 

いずれにしもて研究をすすめなければ分からないことも多いので、間違ってもBCGワクチンを接種することのないようにしてください。

 

いろいろな研究段階にあるものが、「前のめり」で「効果がある」と勘違いしてしまうような報道を目にすることがありますが、本当に効果があるものに関しては公的に発表がありますので、「前のめり」の情報で、行動することはしないようにしましょう。

 

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