腎臓の機能を支える選択肢に漢方を

慢性腎臓病(CKD)に漢方という選択肢

慢性腎臓病(CKD)、慢性腎不全の治療に「漢方」という選択肢があります。

負担や日常生活の制限が大きい腎透析、腎移植を避けるために「漢方」は役立ちます。

漢方、腎不全、慢性腎臓病<相模原 漢方 鍼灸 接骨 タナココ>

上記に当てはまる方は、ぜひ「漢方」を取り入れてみてください。

腎機能の低下の進行を遅らせたり、透析や腎移植になるのを防ぐことができるかもしれません。

慢性腎臓病(CKD)は国民病

現在慢性腎臓病(CKD)の患者さんは約 1,500 万人いると推定されています。つまり7人に1人が慢性腎臓病(CKD)ということになります。

人工透析など腎代替療法を受けている患者さんは約34万人います。また、新たに透析導入となる患者さんは年間約4万人、亡くなる方は約3万人おり、透析の患者さんは毎年1万人ずつ増えています。

この数の多さから、慢性腎臓病(CKD)は「新たな国民病」と言われています。

人工透析時の平均年齢は71歳で、透析患者さんの高齢化も問題となっています。

新規に透析となる患者さんの原因疾患は糖尿病で、約4割を占めます。2位は高血圧による腎硬化症です。

国は2028年までに人工透析新規導入患者数を年間3万5000人以下にするという目的を掲げ、対策を進めています。

慢性腎臓病(CKD)の定義

慢性腎臓病(CKD)は「何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合」と定義されています。

腎障害とは、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。

腎障害は初期には症状が出現することはほとんどなく、検査で蛋白尿や腎機能異常(GFRの測定)を測定することでわかります。

*腎臓の機能を表す指標として、血清クレアチニン値をもとに推算したGFR(= eGFR)が用いられます。GFRは糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示す値で、健康な人では、GFRは100mL/分/1.73㎡前後です。タンパク尿などがみられなくても、60mL/分/1.73㎡未満が続いていれば慢性腎臓病(CKD)と診断されます。

*血清クレアチニン値 は、筋肉で作られる老廃物の1つであるクレアチニンを測定した値です。クレアチニンは腎臓が正常に働いていればほとんどが尿中に排泄されるので、腎臓の働きが低下すると尿中に排泄できなくなり数値が高くなります。

そもそも腎臓の働きって?

腎臓は腰の辺りに2個ある臓器です。そらまめに似た形をしていて、握りこぶしくらいの大きさです。

腎臓の位置<相模原 漢方 鍼灸 接骨 タナココ>

重さは1個が 150g ほどの小さい臓器です。

しかしその大きさからは想像できないほどの働きをします。腎臓には心臓から送り出される血液の 20% 以上が流れ込み、毎日 200リットルもの血液をその小さな臓器でろ過し、体内で生じた不要なものを老廃物を尿として排泄します。

このほか血圧の調整、体液の調整、骨を丈夫にする、ホルモンを作るなど様々な働きをします。とても重要な働きをする肝「」な臓器です。

この腎臓は様々なストレスを受けるとその機能が低下します。

ストレスには「糖尿病」「高血圧」などの生活習慣病、腎臓自体の病気、加齢などさまざまな要因があります。これらのストレスが腎臓に蓄積するとその機能が低下し「慢性腎臓病(CKD)」となります。

慢性腎臓病(CKD)になると今まで腎臓が担っていた働きが十分に行えず、様々な症状ができるようになります。それらの症状は慢性腎臓病(CKD)のステージにより変わってきます。


慢性腎臓病(CKD)のステージ

慢性腎臓病(CKD)では、腎臓を病気別に見るのではなく、腎臓の状態を以下のようなG1〜G5のステージ(=病期)に分けて考えます。

慢性腎臓病、慢性腎不全、漢方<相模原 漢方 鍼灸 接骨 タナココ>

慢性腎臓病(CKD)の症状

腎臓は、その機能が低下してもなかなか自覚症状がみらないため、「沈黙の臓器」といわれています。例えば、上の図で「G2」のステージでは、すでに eGFR が低下していますが、自覚症状はほとんどありません。

何かしらの症状に気付き始めるのは「G3」に入ってからです。この段階になると、問題のない状態に比べて腎臓機能は半分近くまで低下しています。

「疲れやすい」
「手足がつる」
「血圧が高くなる」
「尿が泡立つ」
「夜、何度もトイレに行く」
「貧血」
「むくみ」

などの自覚症状が現れます。さらに進むと「頭痛」「吐き気」も起こり、さらには「不整脈」「肺水腫」「心不全」「呼吸困難」など生命にかかわる状態になります。「G5」では、腎臓が体内の老廃物を排泄することができなくなっているので、腎透析や腎移植が必要になります。

慢性腎臓病(CKD)の西洋医学的治療

慢性腎臓病(CDK)の西洋医学的治療では「この薬飲めば治る」という薬はありません。慢性腎臓病(CKD)を進行させる要因を減らしていくことがで腎臓への負担を減らしていくのが主な治療になります。 

初期の段階では、腎臓に負担をかける要因を減らし、環境を改善していくことが重要になります。

・生活習慣の改善(禁煙や肥満の解消など)

・食事指導(エネルギー制限、塩分制限、たんぱく質制限など)

・糖尿病、高血圧、脂質代謝異常の治療

ステージが進んでいくと様々な症状が出てきますので、それらに対する治療も必要になってきます。

・より厳密な食事指導(カリウム制限など)

・貧血の治療

・骨やミネラル代謝異常の治療

・高尿酸血症の治療

・尿毒症毒素に対する治療

慢性腎臓病(CKD)の原因があれば、その治療も合わせて行います。

ステージがG4になるとは腎臓の機能は約30%以下にまで低下し、西洋医学的には機能の回復は望めないとされる段階になります。ステージがG5まで進行すると、自分自身の腎臓が働けなくなるので、透析腎移植などが必要となります。

慢性腎臓病(CKD)の中医学的治療

中医学でいう「腎」は、生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長、発育、生殖の基礎となる臓のことを指します。

慢性腎臓病(CKD)は高齢で起こりやすくなりますが、加齢により「腎」に貯蔵された生命エネルギーが減少することが原因の一つと考えられます。

「腎」には、水分を管理して尿を排出する働きもあり、西洋医学的な腎臓の機能を含みますので、中医学的な治療では「腎」を補い、その機能を改善させることで、体内の不要な成分である「濁」が排泄できるようにします。

腎を守り、体内の不要な成分を排泄するためには、様々な生薬を使用しますが、これらの生薬はエキス剤(粉薬)にはないものですので、煎じ薬で用いる必要があります。

実際に煎じ薬を用いて慢性腎臓病(CKD)に使用した報告では、クレアチニン値の上昇を防いだり、腎透析の直前の状態でも数年にわたり透析を先延ばしにすることができたり、さらにはすでに腎透析を行なっている場合でも、クレアチニン値を改善し、透析回数を減らすことができた例も報告されています。

しかし、中医学的な治療により慢性腎臓病(CKD)の改善効果があるにも関わらず、西洋医学的にはほとんど知られていません。

なぜかというと、処方に用いる生薬が特殊であるため保険で治療を行うことができないからです。また、一人ひとりの病態、体質、検査値に合わせて生薬を調整する難しさもあります。

このほか実際の治療では、大量に用いる生薬により発疹が出てしまうケースでは服用が難しかったり、西洋医学的に老廃物の吸着剤を用いている場合は効果が低下することもあります。クレアチニン値が6〜7まで上昇した場合では、透析に至る時期を遅らせることはできますが、回避するのは難しいこともあります。他の病気の影響や慢性腎臓病(CKD)の進行スピードによっては改善が難しい場合もあります。

万能ではないものの、実際に西洋医学的に回復が難しいと言われていたケースで、透析を先延ばしにできたり、回避できている報告があるのも事実です。

病院での治療がうまくいかない、思うように数値が改善しない、透析、腎移植のことを考えるように言われたなど、現在の状況をなんとか変えたいと思った時、ぜひ漢方を取り入れてみてください。

漢方が役立つことがきっとあります。

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