こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「うま味」の感覚が鈍いと太りやすいという報告があります。
「味」は甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つに分類されます。そのうち「うま味」は、脳内の扁桃体を刺激し満足につながるので魅力的な味の1つで、「うま味」の感受性は、食物摂取のコントロールと関係があることがわかっています。
今回の研究は、日本人成人のうま味の感受性と肥満の相関関係を調べた研究です。さらに、1年間の前向き研究で、うま味の感受性の低下が体調や食事構成に及ぼす影響を調査しました。
その結果、うま味に対する感度が低いことは肥満と関係し、特に甘味の好みと有意に関連し、前向き研究では摂取エネルギーの増加と関連があることがわかりました。
なぜこのようなことが起こるかというと、何らかの原因で「うま味」に対する感度が低くなると「うま味」で満足感を得ることができないため、その代わりに「甘味」で満足感を得るようになり、その結果肥満に繋がるのではないかと報告者は考察しています。
さて、この状況を中医学的に考えてみます。
漢方で味覚の障害の治療することは比較的多いのですが、中医学的には味覚は、五味として、酸(さん)、苦(く)、甘(かん)、辛(しん)、鹹(かん)に分類され、「うま味」については記載がありません。
中医学はバランスの医学です。
体のバランス(肝・心・脾・肺・腎の臓や気・血・水などの物質)がとれていれば、五味(酸・苦・甘・辛・鹹)の感じ方もバランスがよく、偏った味を欲することがありません。
「うま味」への感受性が低下し、「甘味」で補うような味覚の変化はおこりません。
しかし、なんらかの影響で体のバランスが崩れると、好む味覚にも変化が生じることがあります。
例えば、ストレスを強く受けると「甘いもの」が食べたくなるというのもその1つです。
ストレスを強く受けると食事のおいしさより、「甘味」のほうがおいしい、欲してしまうようになる経験をされた方も多いと思います。
ストレスは体にとって不快なものですので、その不快感を払拭しようとして、手っ取り早く「甘味」による心地よさを求めてしまうのですが、厄介なことに「甘味」による幸福感は持続せず、またすぐに甘いものを求めてしまいます。
ストレスが解消されなければ、繰り返されます。
甘いものを食べたい、食べすぎてしまう、というときは中医学では「脾虚」つまり、消化器系の機能の低下と考えます。
「脾虚」は「ストレス」が原因であることが多いのですが、これはストレスにより気の調整を行う「肝」がダメージを受けて、気をうまくコントロールすることができず、消化器系の要である「脾」がとばっちりを受けて起こります。
「脾虚」がつづくと大変なことになってしまいますので、その機能の低下を防ぐため「脾」と繋がりが強い「甘味」を摂ることで「脾虚」を回復しようとします。
この「脾虚」を解消すれば、甘いものに偏った嗜好から抜け出すことができます。五味の感じ方のバランスもとれて、食事をおいしく味わうことができるようになります。
つまり、「うま味」をきちんと感じることができるようになるわけです。
動物実験レベルではありますが、「うま味」成分である「グルタミン酸ナトリウム」は舌の「甘味」を感じる受容体に結合し、「甘味」の感受性をコントロールしているということがわかっています。
「甘味」に対する欲求がコントロールされていることの裏付けの1つです。
もちろん「ストレス」以外にも「脾虚」の原因はありますので、甘味への偏食が見られるような時はその原因をきちんと探る必要はあります。
今回の研究では、「うま味」の低感度グループにおいて「脾虚」に関係する背景があるかどうかまではわかりませんが、もしかするとなんらかの関係があるかもしれません。
「甘味」への欲求がググッと高まった時は、ちょっと立ち止まって、体調を含めた今の状況を見直してみましょう。中医学的アプローチで「甘味」への欲求をコントロールするのも効果的です。
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