こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
想像はしていたかと思いますが、感染の報告数が増えています。もうしばらく続くと思いますが、どの様な状況にあれば感染しやすいかというのはわかっていますので、引き続き気を引き締めて感染予防を行なっていくことが重要です。
家庭内の感染も増えています。
東京都は感染経路が明らかになっている人のうち、家庭内感染の割合が今月に入って40%を超えて増加傾向となっていると説明しています。
家庭内感染を防ぐことは難しいのですが、自分が感染しているかもしれないと思って、手洗いや換気を徹底しできるかぎりの対策を行う必要があります。
一方で感染が増えると、後遺症についても今後心配になってきます。
新型コロナの後遺症について相談や問い合わせが多いのですが、新型コロナの後遺症についての専門家というのはいませんし(多く患者さんを見ているというレベルではなく)、まだよくわからないことが多いので、新型コロナに感染したかどうか、新型コロナの後遺症なのかどうかを確定させるということにこだわらず、今現在つらい症状に対してしっかり治療を続けてもらえたらと思います。
さて、後遺症について少し整理したいと思います。
今はアメリカの感染者が1,000万にを超えてしまいましたが、感染拡大のきっかけは中国でした。
当時は情報のほとんどを中国からのものに頼っており、それを元にいろいろ考えたりすることが多かったです。
その情報の一つに後遺症についてのものがあります。
ちょっと前(7月)になりますが、「尸检曝嗮病毒旅行轨迹,12种新冠后遗症显露!」として中国の医療者向けのサイトで、後遺症についての記事がありましたので、その内容をについて少し整理してみたいと思います。
まず、病理所見としてはコロナウイルスは、多数の臓器で観察され、消化管、皮膚、さまざまな体液など複数の伝播経路あることがわかっています。
RNAとウイルス粒子は肺門リンパ節、脾臓、心臓、肝臓、胆嚢、腎臓、胃、乳房、睾丸、皮膚、鼻咽頭、口腔粘膜中から検出されています。
かなり広範囲ですね。
また、食道、胃・腸粘膜上皮では様々な程度の変性、壊死、剥離が確認されています。脳ではうっ血と浮腫、部分的な神経細胞の変性と虚血性の変化、肝臓では肝細胞変性と斑状壊死、腎臓では糸球体のうっ血、分節節の増生や壊死、ボーマン嚢腔内の蛋白質の漏出がみられています。
これだけの変化があるのですから、後遺症についても多種多様になるのも容易に想像がつきます。
後遺症については12項目に分けて考えています。
1 妊孕性との関係
ACE2は肺以外にも精巣、小腸、腎臓、心臓、甲状腺などに発言しています。特に精巣にはACE2が多く発現していることから、精巣への影響の可能性があり、男性不妊に繋がる可能性があるとしています。
2 脳卒中との関係
新型コロナによる血栓は、肺、腎臓、心臓、肝臓、脳、神経系統に長期的な傷害を与えることがわかっています。
若年者では脳卒中のリスクが高いかどうかに関わらず、発症リスクが高くなることが示されています。
また重症ではない感染者において、脳血管障害が新型コロナウイルス感染症の主要な症状であったとしています。
3 糖尿病との関係
糖尿病の方は新型コロナ感染症が重症化するリスクが高いことがわかっています。(感染しやすいということではありません。)
これは免疫反応が過剰になる可能性があるからというのがその理由ですが、逆に感染が糖尿病を引き起こす可能性もあるようです。
重症例では、一部血糖値の上昇が確認されており、ウイルスとACE2の相互作用により糖尿病が発症するのではないかと考えられているのですが、まだはっきりわかっていません。
4 視力低下との関係
ウイルスが眼の組織に発赤や腫脹を引き起こして視力を低下させる可能性はありますが、視力に与える影響については現時点で証拠はほとんどないようです。涙に含有されるウイルスの有病率は低いですが、眼を介した感染伝播は起こりうるので注意は必要です。
5 味覚・嗅覚障害との関係
患者さんの多くは、味覚や嗅覚の障害を経験しており、1/4は1週間以内にこの症状の改善に気付き、10日後にはほとんどの患者さんで症状は改善しています。しかし回復に時間を要する患者さんも少なからずいます。
6 精神面での混乱、ICU症候群との関係
新型コロナウイルスは脳神経傷害を起こす可能性があり、感染者は精神症状、幻覚、幻聴がみられ、ひどい場合は心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状を引き起こす可能性があるとしています。
7 深部静脈血栓症との関係
重症の場合、深部静脈血栓症は中国の研究によれば2つの病院の患者さんで約85%で報告があり、広範囲の血栓形成は患者さんの死亡や予後不良の要因になることがわかりました。
寝たきりの状態や、人工呼吸器の使用やカテーテル留置も血栓形成のリスクです。
8 腎障害との関係
感染により肝障害や腎障害が起こる理由として、肺が障害されることで、酸素の交換が阻害され特に低酸素に敏感な腎臓に重篤な機能障害を生じる可能性があります。
9 心臓の障害との関係
ある研究では、治療のために入院した患者さんのうち、最大50%ので心臓に障害が見られたとする報告をしています。
心臓には新型コロナウイルスが付着する受容体が存在しているため、直接心臓に感染することで障害を引き起こす可能性があります。
10 肺線維症との関係
呼吸器系の病理学的変化は最も顕著で、下記の内容が確認されています。
・ 気管や気管支には粘膜充血、分泌物増加、局所的な上皮の脱落
・ 肺実質の変化の程度と分布に差違があった
・ 光学顕微鏡下では、びまん性の肺胞損傷と滲出性炎症がみられた
・ 漿膜とフィブリン滲出液で肺胞が充満し、硝子膜形成がみられた
・ 肺胞内に浸潤した白血球は主に単球とマクロファージだった
・ II型肺胞上皮細胞の増生と限局性の肺胞の脱落があった
・ 気管支粘膜では、部分的に上皮剥脱、ムチンの蓄積、粘液栓の形成がみられた
・ 肺胞の過度の膨張や肺胞中隔の破裂、あるいは嚢胞を形成も少数みられた
・ 局所性肺出血と続発性の出血性梗塞や壊死が観察された
・ 肺血管には血管炎、血栓(混合血栓と硝子様血栓)と血栓塞栓症が認められた
・ 滲出組織と肺線維症が見られた
11 慢性疲労症候群との関係
SARS感染でインタビューを受けた生存者の半数近くは、回復後3年以上経過しても疲労感に悩まされています。
新型コロナの患者の1/4は疾病予防管理センターによる慢性疲労症候群の診断基準を満たしているとしており、新型コロナから回復した患者へのメンタルヘルス的な介入が、疲労を特徴とする長期的な回復期に対処していくために必要としています。
12 小児との関係
川崎病様の疾患発生率が増加したとの報告があり、調べてみるとウイルスに対する免疫反応を示した確定診断を受けた小児は、年齢が比較的高くて、心臓障害が多く、マクロファージ活性化症候群(MAS)がみられました。
新型コロナへの感染と川崎病の発症率には関連がみられ、新型コロナ感染がみられる国でも同様に川崎病様の疾患が多く発生していました。
この研究ではサンプルサイズが比較的小さいため、結論を確認するためには将来的に、より規模の大きい研究を行う必要があるとしています。
一方、川崎病様の症状は新型コロナが直接的な原因ではないと考える専門家もいて、ウイルスによって直接引き起こされたものではなく、感染によって引き起こされる免疫反応によるものと考えている人もいます。
これらの12の後遺症については全てを網羅したものではなくあくまでも参考ではありますが、これらをどの様に評価すべきでしょうか。
研究者の中でも意見が分かれるところで、悲観視する人もいれば楽観視する人もいます。
物事は複雑であって、慢性的な腎臓や心臓の障害を抱えることになるかもしれないし、それが神経系にも及ぶかもしれないし、全世界で何十万人にもおよぶ人々が透析などを必要とするかもしれないといとする研究者がいる一方で、様々な組織や臓器に感染・障害を引き起こすがこれは少数であり、すべてにおいて多臓器不全が見られるわけではなく、これは他のウイルス感染症でも同様であって、新型コロナに限ったことではないから過度に気にする必要はないとする研究者もいます。
また、最後に専門家の意見として回復期には定期的に診察を受け臓器機能をチェックしておけば、状況に応じて適切な対応を取ることが可能であるので、新型コロナであってもあまり心配する必要はないと締めくくっています。
感染コントロールについてはこのウイルスに対してどう対処すれば良いのかというのはほぼわかってきていますが、後遺症についてはなぜ起こるのかわかっていないことも多く、症状があらわれると回復までとても時間がかかるケースが多々あります。
治療を早い段階で行うと、比較的早く改善するとも言われていますので、体調不良を感じた場合は早めに相談をすることが大切です。
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