2個胚移植の影響は?

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

不妊治療で移植してもなかなか着床しないケースでは「2個胚移植」が行われることがあります。

2個胚移植はその名前の通り、移植の際に胚を「2個」移植するものです。

2個胚移植では、不思議なことに1個の胚移植を2回するよりも着床率が上昇したり、流産率が低下したりする傾向がみられますが、一方で2個胚移植には多胎率が上がるというリスクがあります。

そのため、2個胚移植を行う時は良好胚×2ではなく、良好胚(AAやAB)、非良好胚(BCやCC)の組み合わせで行うことで、2個胚移植のメリットを残しつつ、多胎率のリスクを減らすように行われます。


なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

 

受精卵と子宮内膜の情報交換(クロストーク)の効率が上がるのではないかと考えられています。

自然妊娠の場合の着床過程では、精子と卵子が卵管膨大部で受精し、子宮へ移動する卵管の中で胚盤胞まで分裂し、子宮に到着し着床となりますが、その間、胚や卵管、子宮内膜はそれぞれの情報を交換(クロストーク)し、着床に向けて準備をします。

 

子宮内膜は胚の状態に合わせて内膜を着床に向けて同期するのですが、体外受精では「移植」のタイミングで胚と子宮内膜のクロストークが始まるため、着床の準備が不十分になるのではないかと推測されます。

 

「二段階移植法」や「SEET法」も同じ発想で考え出された方法です。

「二段階移植法」は、初期胚を移植しクロストークを開始させた後に胚盤胞を移植することで着床率を高める方法です。

「SEET法」は胚の培養液を凍結保存し、移植の2~3日前に子宮内に注入してクロストークに必要な因子を培養液ごと子宮内膜に注入することで、子宮内膜を刺激し着床の準備を促進させる方法です。

 

さて、このようなクロストークを利用して着床率を上げる方法ですが、2個胚移植の際の懸念点が多胎妊娠以外にもあります。それは「非良好胚」の影響です。

2個胚移植の時「良好胚」は良いとして「非良好胚」による負の影響はないのでしょうか。非良好胚の悪影響を心配される方も少なくありません。

 

2個胚移植の影響を調べた報告があります。2013年〜2015年の間の4640周期を対象にした後ろ向きの研究報告です。

報告では、2個胚移植では出生率、多胎率ともに上昇したとしています。

 

この結果はどう考えれば良いのでしょうか。

 

出生率が高くなることはわかりますが、多胎率が上昇するということは、追加した非良好胚が着床することを示しています。良好胚と非良好胚の2個移植の場合、非良好胚が着床を妨げることはなく、相互作用により、非良好胚が着床できる変化した可能性を示唆しています。

胚と子宮内膜のクロストークが行われていることを示唆する報告がされてから着床には着床する胚の能力だけでなく、子宮内膜の変化も重要と考えられるようになりました。非良好胚の場合、胚からの情報もとに子宮内膜の受容性を着床しないように調節します。

胚の受容性が高い場合、子宮内膜は出生に適さない胚の着床のリスクを高めたり流産のリスクを高めることに繋がります。また胚の受容性が低い場合、良好胚の拒絶につながる可能性があります 。

 

過去にマウスで行われた研究では、非良好胚では負のクロストークが、良好胚では正のクロストークが行われているという報告がありましたが、今回の報告から、ヒトでの良好胚と非良好胚の2個胚移植では、負の影響がないばかりか正の影響へと変化したと考えられます。

 

なぜこのようなことが起こるのかはまだわかっていません。不思議な現象です。

 

もちろん多胎妊娠のリスクは上昇しますので注意が必要です。報告では、38歳未満では多胎率が高いため、37歳までの方は良好胚の1個移植が推奨されるとしていますが、38歳以上でなかなか着床しないケースでは良好胚+非良好胚の2個胚移植による移植も選択肢としては十分考えても良さそうです。

 

もちろん、移植に向けて心身を良い状態に整えておくことも重要です。心身の状態は治療にも影響を与えます。良い状態で心身を維持することは不妊治療を成功させる助けになります。体の内側からと外側からのケアも忘れずにしていきましょう。漢方・鍼灸接骨などの病院以外でのサポートも効果的ですのでぜひ合わせて取り入れてみてください。

 

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