こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
アミロイドーシスという病気があります。
アミロイドーシスは、「アミロイド」という異常なタンパク質が臓器や組織に沈着していく病気の総称です。
タンパク質は通常は溶けた状態で存在していますが、それに異常が生じ、最終的に重合や凝集することでアミロイド線維となり沈着していきます。
このような異常なタンパク質は現在30種類以上あることが知られており、そのタンパク質によって沈着しやすい臓器や組織、起こりやすい症状が異なります。
原因となるタンパク質がどのようなものなのかによって、経過や治療法が変わりますが、その細かな機序についてはわからないことも多いです。
アミロイドーシスには複数の臓器や組織に沈着する全身性のものと、1つの臓器や組織に沈着する限局性のものの大きく2つにわけられます。
全身性アミロイドーシスの主なもの
・ 遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)
・ALアミロイドーシス
・AAアミロイドーシス
・透析アミロイドーシス
・老人性全身性アミロイドーシス(SSA)
など
限局性アミロイドーシスの主なもの
・アルツハイマー病
・クロイツフェルト・ヤコブ病
上記以外に、おもに心臓にアミロイドが沈着することで心臓に障害が起こるものを心アミロイドーシスと呼びます。
患者さんの数はぞれぞれのそれぞれの疾患によって異なりますが、ALアミロイドーシス、FAP はそれぞれ数百人程度、AAアミロイドーシスや透析アミロイドーシスについては数千~数万人いると推測されています。
限局性アミロイドーシスである、アルツハイマー病の患者さんは日本では約200万人存在するとされており、今後はさらに増加していと考えられています。
全身性アミロイドーシスでは、さまざまな臓器にアミロイドが沈着するため、症状は多岐に渡ります。
心臓の機能に障害が起こると心不全や不整脈がみられますし、腎臓の機能に障害が起こると腎不全やタンパク尿がみられます。
このほか胃腸の障害や手足のしびれ、麻痺、立ちくらみ、排尿の異常、便秘、下痢などの末梢神経や自律神経の障害によりみられます。
初期症状としては心不全やしびれなどの末梢神経障害が多く見られますが、症状が多岐にわたるので他の疾患との区別は難しいこともありますが、ほとんど症状がないケースもあります。
全身性アミロイドーシスの場合、全身にさまざまな症状が見られるため、まずはそれぞれの臓器の機能の状態を調べます。
血液検査、尿検査、心電図、心エコー、神経伝導検査、MRIやシンチグラフィ、内視鏡検査などを必要に応じて行い、これらの検査結果を複合的に判断し、全身性アミロイドーシスが疑われる場合は、病変部の組織を生検して顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行います。
アミロイドーシスに対する治療は、アミロイドの沈着する過程そのものを修飾する治療(抗アミロイド療法あるいは根本療法)と、アミロイドが沈着した臓器の障害やそれに起因する症状に対する治療 (対症療法、支持療法)に分けられます。
アミロイドの沈着は、アミロイドの前駆物質となるタンパク質の産生、前駆タンパク質の切断などによるアミロイドタンパクの産生、アミロイドタンパクのミスフォールド・凝集・沈着からなる過程でおこります。
それぞれの過程を標的とした治療法が開発され成果をあげており、根本治療が行われている一方で根本的治療法が確立していないタイプの病型もあります。
また、多くの臓器が障害を受けて全身状態がよくない場合は、治療が難しいこともあります。
この病気の経過はアミロイドーシスの病型および障害を受けた臓器により異なりますが、疾患に応じた適切な治療および対症療法・支持療法を行うことで良好です。
一方適切な治療を受けなければ、症状は進行し、特に心臓が障害されるケースでは予後不良となる可能性があります。また、進行が速い場合は発病後数年で死に至ることもあります。全身性アミロイドーシスを予防する方法は確立していません。
アミロイドーシスには多くの種類があり、その種類ごとに予後や治療法が異なるため、正確な診断がとても重要です。
特に全身性アミロイドーシスはかつては難治性の神経疾患として位置付けられていましたが、治療の進歩により新たな知見が次々と加わり、早期発見・早期治療を行うことができればQOLを大きく改善できるようになってきました。
現在は正確に診断ができる施設は多くなく、アミロイドーシスの診療に精通した医師も不足していますが、今後さらなる研究が進むことで、治療法や診療方針の選択で悩まれるケースも少なくなっていくものと思われます。
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