日本感染症学会は「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開しました。現時点での日本における対象や治療薬についてです。
まず日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に適応をもつ薬はありません。
現在は薬事承認されている薬の中から効きそうなものを「適応外」として使用し、効果があるかどうか検討中の段階です。
日本では2種類の薬が検討されています。
薬を使う対象とそのタイミングについては以下のようになります。
1)概ね50歳未満の患者では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。
2)概ね50歳以上の患者では重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。
3)糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態などのある患者においても上記2)に準じる。
4)年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。
50歳未満では基本的には対症療法で軽観察ということのようです。
抗ウイルス薬については現在のところ、カレトラ配合城、アビガンの2種類が検討されています。
カレトラ配合錠:ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬)
コロナウイルスに関する明確な作用機序は明らにされていませんが、実験や動物モデルでMERSへの有効性が示されており効果があると考えられています。
用法用量
1)400mg/100mg経口12時間おき、10日間程度
2)400mg/100mg(1回5mL)経口12時間おき、10日程度
*上記は抗HIV薬としての承認用量ですので用量については今後の検討が必要です
注意点
(1)有効性に関して、適切な重症度や投与開始のタイミングは不明
(2)使用開始前にはHIV感染の有無を確認し、陽性の場合には対応について専門家に相談
(3)リトナビルによる薬剤相互作用があるため、併用薬に注意
(4)錠剤の内服困難者に内用液を使用する場合、アルコール過敏がないか確認
アビガン:ファビピラビル(抗インフルエンザウイルス剤)
「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(但し、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」に限定して承認されてものです。COVID-19への使用実績はありません。
用法用量
3,600mg(1,800mgを1日2回(1日目)+1,600mg(800mgを1日2回)(2日目以降)、最長14日間
注意点
(1)有効性に関して、適切な重症度や投与開始のタイミングは不明
(2)①ピラジナミド ②レパグリニド ③テオフィリン ④ファムシクロビル ⑤スリンダクとの飲み合わせに注意
(3)経口投与が極めて困難な場合簡易懸濁法を使用
(4)動物実験で奇形が確認されているため妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与不可
(5)妊娠していないことを確認、投与中および終了後7日間は確実に避妊し、妊娠可能性があれば服薬中止し、医療機関に連絡
(6)精液中へ移行するため投与中および投与終了後7日間は確実に避妊(妊婦との性交渉不可)
(7)有効性、危険性(胎児への危険性も)を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから開始
(8)必要性を慎重に検討
中国では
・ウミフェノビル:抗ウイルス薬
・メチルプレドニゾロン:抗ウイルス薬
・リン酸クロロキン:抗原虫薬
・バロキサビル マルボキシル/ファビピラビル/リトナビル・ロピナビル:抗ウイルス薬
・インターフェロン-α(吸入)/リトナビル・ロピナビル/インターフェロン-α(吸入)・リトナビル・ロピナビル:抗ウイルス薬
・ダルナビル・コビシスタット/リトナビル・ロピナビル:抗ウイルス薬
・リトナビル・ロピナビル・エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩/リトナビル・ロピナビル:抗ウイルス薬
・リバビリン・インターフェロンα-1b/リトナビル・ロピナビル・インターフェロンα-1b/リバビリン・リトナビル・ロピナビル・インターフェロンα-1b:抗ウイルス薬
・リトナビル・ロピナビル・インターフェロン-α(吸入)・メチルプレドニゾロン(静注)/リトナビル・ロピナビル・インターフェロン-α(吸入):抗ウイルス薬、ステロイド
などの薬剤が試されています。
早く有効な薬剤が見つかって欲しいと思います。
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