こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
抗原検査て実際どうなの？
最近抗原検査は何回もしないと意味がないと聞いたんだけどどういうことなの？
この様な質問を受けることが増えました。
抗原検査とは
抗原検査とは検査したいウイルスに対する「抗体」を用いてウイルスが持つ特有のタンパク質である「抗原」を検出する方法です。
この検査には「定性検査」と「定量検査」があります。
「定性検査」は検査キットに含まれる「抗体」が「抗原」をキャッチしたかどうか、つまりは「陽性」か「陰性」かの判別だけをするものです。単に抗原検査と呼ぶときはこちらをさしていることがほとんどです。
「定量検査」は検体にどれくらい「抗原」が含まれているか調べる検査です。基準値を超えていれば「陽性」、超えていなければ「陰性」としてます。数値による具体的な判断ができるため、診断の精度が高くなります。「定性検査」より正確性は高いですが、検査に専用の機械が必要であることからコロナウイルスの検査としてはあまり普及はしていません。
「定性検査」は「陽性」か「陰性」を判断し、特別な機械が必要なくキットのみで検査が可能です。
さて下の図が新型コロナウイルスの構造を示すものですが、抗原になるのは４つあります。
スパイクタンパク（S）、それからヌクレオカプシド（N）、それに膜タンパク（M）とエンベロープタンパク（E）です。
国立感染症研究所ホームページより引用
上記のタンパクの中でスパイクタンパクとNタンパクの量が多く検出しやすいため、検査ではどちらかを検出します。どちらを検出するかは検査キットによりますが、Nタンパクを検出するものが使われていることが多い様です。
これは量が多いことと、Nタンパクには変異が少ないことが理由です。
抗原検査キットにはこの「抗原」に特異的に反応する「抗体」が入っています。そのため「抗原」が入ってくると「抗体」が結合します。抗原検査キットではその反応を見るわけですが、仕組み自体は妊娠検査キットと同じです。
妊娠検査キットは妊娠時の尿中のhCGを「抗体」で捕まえます。
抗原検査キットにある「検体」を入れる場所には「抗原」に対して標識となる「抗体」が準備してあります。その場所にサンプルを入れるとそこで「抗原」と「標識抗体」が「検出（テスト）ライン」と「コントロールライン」に向かって毛細管現象により移動します。その時「抗原」に反応できなかった「標識抗体」も一緒に移動します。
https://www.lateralflows.com/lateral-flow-assays/ より引用
そして、「テストライン」と「コントロールライン」のところには移動してきた「抗原」と「抗体」の「免疫複合体」や「抗原」に結合していない「抗体」を捕捉する「キャプチャー抗体」が用意してあり、キャプチャー抗体に捕捉されると呈色し「線」が見えるようになります。
そのため「コントロールライン」に「線」が見えなければ何も移動していないこととなり、検査は機能していません。
これらの仕組みから分かる様に、検出できるかどうかは「抗原」に対する「抗体」の性能が全てです。また、ウイルスの量がある程度ないと検出できません。そのため抗原検査キットで「陽性」の場合は確定診断となり得ますが、「陰性」の場合はこの限りではありません。
日本では 「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」で「陰性」も確定診断に使用できるとすると見直しをしていますが、FDAは症状がない濃厚接触者に対しては 48 時間ごとに３回の検査を推奨すると勧告しています。
そのため抗原検査キットを使用したときの「陰性」判定の理解には十分気をつける必要があります。また「研究用」として使用されているものの中にはその感度が不十分なものもあり、正しい検査ができない恐れがあるものも流通しています。
抗原検査キットはでの検査は、PCR検査に比べ検出率は劣りますが、少ない時間で結果が出る、特別な検査機器を必要としないことから速やかに判断が必要な場合等に用いられることが多いです。
ただし、１回の検査で「陰性」が出たからと言って、感染していないことの証明とするのは難しい検査ですので、十分注意して検査の結果を判断する様にすることが必要です。
検査をするに至った状況も合わせて結果を判断する様にしましょう。
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