低出生体重児の予防に漢方を

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

近年、早産や多胎での出産が増えていることと、低出生体重児の救命率の向上などにより、低出生体重児の割合は増加傾向にあります。

低出生体重児とは、2,500g未満で出生した児のことです。

低出生体重児は、臓腑が十分に成熟する前に生まれてくることになるため、子宮外での環境に適応できないこともあり、生きていくためには補助が必要になることがあります。そのため発育や生命予後などに影響があることも少なくなくありません。

これまでの研究や報告により、早期産に伴う低出生体重が、子どもの発育や生命予後などに弊害をもたらすことは知られていましたが、正期産における出生体重と子どもの発達との関連についてはデータが十分ではありませんでした。

 

最近の報告で、正期産における出生体重との関係についての報告がありました。

スコットランドの罹患記録データベースから、2003〜15年に生まれた子どものうち、妊娠37週〜の686,284人を対象に、出生体重と児の発達との関連を検討した報告です。

 

出生体重の内訳は以下のようになっています。

・2,500g未満:14,571人

・2,500〜4,000g:576,019人

・4,000g〜:95,694人

 

子どもの発達のスクリーニングツールなどを用いて、2 歳時および 3.5 歳時に、子どもの微細運動能力、粗大運動能力、コミュニケーション能力、社会性について調査しました。

2 歳時および 3.5 歳時に調査ができた295,200人のうち、41,877人が1項目以上で発達の問題があるとされました。

 

項目別には

・微細運動機能:7,033人

・粗大運動機能:5,957人

・コミュニケーション能力:3万6,550人

・社会性:1,0865人

に発達リスクが認められました。

 

これらのデータを統計的に解析した結果、妊娠37週以降の出生児では、低体重に当たる25パーセンタイル*未満の出生児で早期発達懸念リスクとの関連が認められたと報告しています。

25パーセンタイル*:結論データを小さい順に並べたとき、初めから数えて25%の位置にある数。

 

正期産であっても、低出生体重児の場合は、幼少期の手厚い支援などを行うことで、その後の発達懸念リスクの低下につながる可能性がありますが、根本的解決のためには妊娠前、妊娠中のアプローチが必要となります。


低出生体重児の原因はさまざまですが、早産と子宮内胎児発育遅延(FGR,IUGR)に大きく分けられます。

 

低出生体重児かどうかは出生体重のみで判定されるため、通常在胎週数は判定基準になりませんが、妊娠22週0日~36週6日までの間に出生に至る早産の場合は低出生体重児が生まれやすいとされています。早産の原因としては、妊娠中の子宮内の感染症や子宮頸管無力症どが代表的な原因とされています。

 

一方、子宮内胎児発育遅延には

・母親側の原因
・胎児側の原因

の原因があります

 

母親側の原因としては
・若年出産
・高齢出産
・低栄養
・喫煙歴
・妊娠高血圧症候群
など

胎児側の原因としては
・胎盤の大きさ
・位置の異常
・多胎妊娠
・染色体疾患
・子宮内での感染症
など

が考えられます。

 

子宮内胎児発育遅延の治療は西洋医学的には確立した治療方法がまだありません。

一方で、必ずしも全ての原因を解決することはできませんが、中医学的には母子ともに心身を健康な状態を保ち、胎児の発育遅延や妊娠経過の異常のリスクを低下させるための処方が古くから用いられています。

「安胎(あんたい)」といって子宮や卵巣の血流を良くして子どもの発育を促す処方で、流産などの予防にもなります。

そのほか、妊娠期間中や出産でのさまざまなトラブルから母体を守るとされており、安胎安産の貴重な処方です。

これらの処方を服用することで、子宮内で胎児の発育を促し、母体の状態を整えることができ、安全な妊娠・出産に役立てることができます。

 

漢方は古来より妊娠中の母体と胎児を大切にすることを考え続けた医学でもあります。妊活中、妊娠中、産後に継続して漢方を積極的に取り入れることで、母子ともに健康を保つために役立ちます。

妊活を漢方でサポートする際には、妊娠だけが目標ではなく、妊娠中の母親の健康と、子どもがお腹の中でも産後もすくすくと健康に育ち、母親は産後からの速やかな回復を考えながら行います。

 

妊活がうまくいかない、不妊治療などでは漢方が役立つことが知られていますが、妊娠中の母親の健康と子どもの健やかな発育のためにも有用ですので、妊娠中や産後に漢方を役立てていただきたいと思います。

 

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