目次
🌱 最初にまとめ
- 熱や痛みをおさえる薬「アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)」について、アメリカの大統領が「自閉症の原因になる」と発言しました。
- これに対して、世界保健機関(WHO)やヨーロッパの医薬品当局(EMA)、イギリスの薬規制機関(MHRA)は、「そのような決定的な証拠はない」とし、これまでの使い方を変える必要はないとしています。
- アメリカの主要学会(ACOG など)も、必要な場面で使うなら安全と述べています。ACOGは、過去の研究が「妊婦にとって利益が大きい可能性」を強調しています。
- 熱や痛みをがまんすること自体が、お母さんや赤ちゃんにとって悪い影響を与えることもあるため、「薬の心配」と「放っておくリスク」のバランスをとることが大切です。
🗓️ 何があったか(2025年9月)
米国では、アセトアミノフェン使用と自閉症を結びつける発言が報じられました。これを受け、世界中の医療や薬の規制機関が次々と反応し、「現時点では因果関係を証明する証拠はない」と声明を公表しました。
🧪 研究の現状と限界
- 研究の多くは、妊娠中の薬の使用と子どもの発達の関係をあとから調べる「観察研究」。他の要因(熱の強さ・病気・生活習慣など)が影響している可能性があるため、薬だけを原因と断定することはできません。
- 研究をまとめた「メタ解析」もありますが、元の研究の方法や対象が違うため、結論が揺れやすいです。
- 一方で、熱や強い痛みを放っておくこと自体も、お母さん・赤ちゃん双方に悪影響を及ぼし得るので、「使う/使わない」の判断にはリスクのバランスが重要です。
✅ 具体研究の例
- スウェーデンで行われた2.4~2.5百万人規模の研究:妊娠中にアセトアミノフェンを使った例と使わなかった例を兄弟姉妹内などで比べた結果、「自閉症との関連は見つからなかった」という報告があります。
- アメリカ・CDCの自閉症統計:8歳時点での自閉症有病率は、2000年ごろの「1,000人中6.7人」から、2022年には「32.2人」へ上昇しました。ただし CDC 自身が、診断基準の変更・診断機会の増加などが影響している可能性を指摘しており、単純に「増えた=薬が原因」とは言えないとしています。
🧑⚕️ 医療現場での考え方
- アセトアミノフェンは、妊娠中にも使える数少ない薬です。
- 使うなら、必要なときに、できるだけ少ない量、短い期間で。
- 熱や痛みをがまんしすぎるのはよくありません。
- 情報は、WHO・EMA・MHRA・ACOG などの公式発表を優先して参照することが重要です。
- ワクチン誤情報にも注意。「ワクチンが自閉症の原因」という説は否定されています。
💬 よくある質問(Q&A)
Q. 家にあるアセトアミノフェンを使っちゃだめ?
→ いいえ、大丈夫です。使い方を変える必要はありません。ただし、使うときは「少ない量・短期間」を忘れずに。不安があれば医師・薬剤師に相談してください。
Q. どのくらい飲めばいいの?
→ 薬の説明書と、かかりつけの医師・薬剤師の指示に従ってください。
Q. ワクチンは自閉症の原因?
→ いいえ。世界中の専門家が「ワクチンは自閉症の原因ではない」と一致して否定しています。