「時間がない」は、労働時間だけでは説明できない──約2,000人の調査から見えてきた「時間貧困」の原因

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🏃‍♀️ 「忙しい」──その原因は?

仕事をして、家のことをして、子どものことをして。ひと通り終えたころには、もう一日が終わりかけている。

やるべきことは何とか回っているのに、自分の時間だけが毎日少しずつ後ろへ追いやられていく。そんな状態は「時間貧困(time poverty)」として研究されています。

この「自分のために使える時間が足りない」という感覚を日本で測定するための尺度をつくり、実際に使えるものかどうかを検証した研究があります。

研究ではあわせて、睡眠や余暇、育児などの時間の使い方や、幸福感、孤独感などとの関係も調べています。

中医学でも、休む時間まで削られる生活が続けば、心身は少しずつ消耗していくと考えます。

この「時間が足りない」を研究ではどう測ったのかから見ていきます。


🧪 どんな研究?

研究で使われたのは、海外で開発された「主観的時間貧困尺度(PTPS)」です。日本語に翻訳するだけでなく、日本の生活や言葉の感覚に合うよう表現も調整されました。

質問は6つ。

人付き合い、余暇、旅行、運動、好きなこと、私生活で予定していたこと。こうしたことに使う時間が足りないと、どのくらい感じているかを答えてもらいます。

検証に使われたのは、横浜市の「Hama Study」に2024年にオンラインで回答した1,979人のデータです。多くは30代で、約9割が仕事をしており、子どものいる世帯も多く含まれていました。

この6項目が日本でも時間貧困感を測る尺度として使えるかを確かめながら、睡眠、仕事、育児、余暇などの時間、幸福感、心理的なつらさ、孤独感、仕事への満足度との関係も調べました。


📊 どんな結果?

6つの質問は、「時間が足りない」という「時間貧困感」を測る尺度として、一部の検証では課題も残ったものの、高い信頼性と一定程度の妥当性が確認されました。

そして結果を見ていくと、興味深いことがわかりました。

時間貧困感が強い人ほど、余暇時間が少なく、睡眠時間も短い傾向がありました。育児に使う時間が長いこととも関連がありました。

ところが、労働時間、通勤時間、家事時間の長さとは、はっきりした関連がみられませんでした。

仕事も家事も何とか終わった。でも気づけば、好きなことをする時間も、少し休む時間も残っていない。

今回の結果では、「時間がない」と感じるかどうかは、仕事や家事に何時間使ったかだけでは説明できませんでした。特に、余暇時間が少ない人ほど、時間貧困感が強い傾向がみられています。

心の状態との関係もありました。

時間貧困感が強い人ほど、幸福感や仕事への満足度は低く、心理的なつらさや孤独感は強い傾向がありました。

忙しさを考えるときは、何時間働いたかだけでなく、自分のために使える時間がちゃんと残っているか。そこにも目を向けてみる必要がありそうです。


🌱 中医学の視点では?

中医学では、働きすぎや休息不足による心身の消耗を「労倦」として捉えます。体を動かすことだけでなく、考え続けることや、気を張り続けることも消耗につながります。

今回の研究では、時間貧困感が強い人ほど、睡眠や余暇の時間が少なく、心理的なつらさや孤独感も強い傾向がありました。

好きなことをする。ぼんやりする。少し早く寝る。

こうした時間も、心身を立て直すための大切な時間です。自分のために使える時間まで、毎日すべて使い切っていないか──そこを見直すことも、中医学的な視点では大切です。


⏳ 自分の時間の大切さ

時間を効率よく使う方法が増えました。

時短家電は増えた。
いつでも、誰とでもすぐに連絡が取れる。
常にオンラインなので、移動中でも仕事ができる。
買い物だってポチッとな、であっという間。

それなのになぜか「時間がない」。

今回の研究では「時間貧困感」は「働きすぎ」では説明できませんでした。

一方で、余暇や睡眠が少ない人ほど、時間が足りないと感じる傾向があり、幸福感や孤独感、心理的なつらさとも関係していました。

便利になって空いたはずの時間に、また別の予定を入れる。
仕事が早く終われば、次の仕事する。
家事が片づけば、後回しにしていた別の用事に取り掛かる。

そうして一日を効率よく回しているうちに、自分のための時間がなくなっていく。

もしかしたら「忙しくない日」は来ないのかもしれません。

仕事も、育児も、人生そのものも。

だから必要なのは、もっと「効率よく」ではなく、「自分の時間」を残すことなのだと思います。

今回の研究で、余暇が少ない人ほど「時間がない」と感じる傾向があったことは、これからの私たちの暮らし方を考える材料になります。

毎日をうまく回せている、でも、なぜかしんどい。

「もっと効率よく」ではなく「自分の時間が残せているか」──時間が空いたら、すぐに次の予定を入れるのではなく、自分のために残しておく。

忙しさそのものはなくせなくても、自分の時間まで全部使い切らない。

そんな時間の残し方を、今の私たちはもう少し意識してもいいのだと思います。

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