清肺排毒湯の勉強会のまとめ 新型コロナへの適応のポイント

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清肺排毒湯について何度かとりあげてきましたが、この度オンライン勉強会で簡単な解説を行いましたのでこちらでも簡単にご紹介します。今までと同じ内容のものもありますがご了承ください。

 

漢方のお問い合わせが増えておりますが、清肺排毒湯やその他の漢方については下記よりお問い合わせください。

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まずは、中国のガイドラインの清肺排毒湯の部分をもう一度見て見ます。


2. 臨床治療期(感染確定症例)
2.1 清肺排毒湯

適用範囲:各地域の医師の臨床観察と合わせて考え、軽症、中等症、重症に適用する。危篤の場合の治療については実際の状況に合わせて使用する。

基礎方剤:麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15~30g(先煎)、桂枝9g、沢瀉9g、猪苓9g、白朮9g、茯苓15g、柴胡 16g、黄芩6g、姜半夏9g、生姜9g、紫菀9g、款冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6g、藿香9g

服用法:煎じたものを1日1剤、朝夕(食後40分)に分けて温服する。3日間を1クールとする。

毎回服用後に茶碗半分程度のお粥を食べる。舌の乾きがあり、津液虧虚がみられる場合、茶碗1杯を追加する。(注意:発熱が見られない場合、生石膏を減量し、発熱あるいは高熱の場合は増量)。


症状が改善したが完治はしていない場合は、もう1クール服用する。
もし、患者に特殊な事情や基礎疾患がある場合、実際の状況に応じて2クール目の処方内容を調整し、症状が消失すれば服用を中止する。


改めて見てもやはり種類や量が多い大方です。昔中国で勉強していた頃、臨床でこのような処方を作ると指導医に怒られましたね・・・。初めのうちは何でもかんでも足したくなりますし、バランスの見極めもできずに「何がしたいんだ」と言われることがありました。

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日本でお作りする際はこのままの量ではやはり多いです。量については中国でも日本でも未だ議論になる内容ですが、例えば、《傷寒論》麻黄湯では「麻黄三両、桂枝二両、甘草一両、杏仁七十個」と記載があります。

 

現在、中国では1両50gです。この量で計算すると麻黄150g、桂枝100g、甘草50g、杏仁22gと非現実的な量になります。

 

《傷寒論》張仲景の時代の一両は13.8gですので、この値で計算しなおしても、麻黄41.4g、桂枝27.6g、甘草13.8g、杏仁22gとなり、これでも多すぎます。

 

ですので、宋金元以降の時代では、経方の量1/4または1/5で考えられるようになっています。

 

さて、処方の注意点としては、まず麻黄と石膏の比率があります。

 

基本的には麻黄:石膏=1:2で使用します。これは麻黄の効果を調整する目的があります。麻黄だけだと体温が上昇してしまい、過剰な熱が出ている時には使用が難しくなるのですが、石膏を使用するとそれが避けられます。

 

石膏は硫酸カルシウムでそれ自体は明確な薬理作用を示すものではありませんが、この比率で合わせて使用すると、麻黄の抗炎症作用には影響せず、体温上昇を抑制することが示されています。

 

ですので、熱があっても麻黄を含む「麻杏甘石湯」は使用できるわけです。

 

ただし、発熱の状況は一人ひとりことなりますので、清肺排毒湯では、石膏の量が15〜30gと幅をもたせています。

 

熱がない時に石膏が多く入った処方を使用するとかえって調子が悪くなる可能性もありますので注意が必要です。この処方を使いこなすためのポイントの一つです。

 

また石膏をはじめとする鉱物類は教科書的には「先煎」ですが、あまり長く煎じるとまた別の問題が生じてしまいます。今回は先煎ではなくても良さそうです。

 

このほか五苓散の分量にも注意が必要です。五苓散の比率と清肺排毒湯中の該当生薬の比率が異なります。清肺排毒湯では、季節や体質を考慮し、滲湿利水、益脾和胃の茯苓を増量しています。

 

柴胡も量が調整されています。新型コロナウイルス感染症は「湿熱」の疾患であり、その病態を考えて設定されていますので、量を調整するときは慎重に調整する必要があります。

 

また、細辛については「6g」となっていますが、これはちょっと驚く方もいると思います。

 

細辛は「细辛不过钱」といわれ1銭(3.125g)を超えてはならないと習うからです。

 

しかし、臨床上では範囲内であり6gは調整の範囲内と考えるとする報告があり、大丈夫です。通常、寒湿傷陽、虚寒が比較的重い場合に使用します。

 

もちろん、注意は必要です。

 

また「毎回服用後に茶碗半分程度のお粥を食べる。舌の乾きがあり、津液虧虚がみられる場合、茶碗1杯を追加する。」とあるのは、津液不足(水分不足)を解消するためです。

 

西洋医学では水分が足りない場合は点滴をしますが、中医学では水分や食べ物を「受け入れられるかどうか」が重要です。

 

ですので、この処方を日本で活用する場合は、水分や食事が摂取できるかどうかというのもポイントです。

 

さて、全体的な量ですが、この処方を日本で使用する際は、やはり1/3の量から試していくのが良いと思います。中国国内でも問題になる量の換算ですが、日本では中国の量から調整して現在の量に経験的に調整してきた経緯があります。それを元に考えると1/3が適当と考えます。

 

ちなみに、現在日本では、《傷寒論》麻黄湯「麻黄三両、桂枝二両、甘草一両、杏仁七十個」は麻黄湯「マオウ4g、ケイヒ3g、カンゾウ1.5g、キョウニン4g」で作っています。。

 

中国ガイドラインで報告されてから「清肺排毒湯」が取り上げられることが増えました。

 

日本では法律上そのものは作れないのですが、「清肺排毒湯」の考え方にそった処方でお作りすることはできます。

 

日本でも清肺排毒湯そのものを作れるようになると良いのですが、すぐには無理そうです。

 

体調不良で不安がある方、受診しても自宅待機を余儀なくされている方は漢方でできることががあるかもしれませんのでご相談ください。もちろん明らかに強い症状がある方や症状の悪化時には相談センターへの相談、受診を最優先に行動してください。

 

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